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経営者の皆さん、セーフティ共済(中小企業倒産防止共済とも言います)というのをご存知でしょうか?もしご存じなければ必ず知っておいた方がいいものです。この機会に概略だけでも知っておきましょう。

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まず対象になるのは「1年以上事業を行っている中小企業」です。創業間もない事業者は対象外です。また、「一般消費者を取引先とする事業者、金融業者および不動産賃貸業者などは、取引先事業者に対する売掛金債権等が生じず、共済金の貸付けの対象とならない」となっている点も要注意です。

 

さて、まずこの共済制度がどんなものなのかということです。

運用主体である中小企業基盤整備機構の出しているセーフティ共済の説明文を以下に引用します。

 

貴方の会社が健全経営でも「取引先の倒産」という事態はいつ起こるかわかりません。経営セーフティ共済(正式名称:中小企業倒産防止共済制度)は、そのような不測の事態に直面された中小企業の皆様に迅速に資金をお貸しする共済制度です。」

 

つまり、この共済制度というのは、売掛金の相手先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合、中小企業基盤整備機構がその回収不能になった売掛金の代金相当額のお金を貸してくれるというものです。貸すという話で、もらえるわけではないです。また、無利子で貸してくれます。ただし「貸付けを受けた場合、共済金の貸付額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。控除された額に相当する掛金の権利は消滅します。」(中小企業基盤整備機構の説明文から引用)となっています。

つまり、共済の事由が発生してお金を貸してもらった場合、貸してくれたお金の10分の1は戻ってこないということです

 

このセーフティ共済のイメージですが、払ったお金が積まれている感じです

実際に共済の事由(売掛金の相手先の倒産)が発生したら、お金を貸してもらえますが、貸してもらったら貸してもらったうちの10分の1の金額は積んでいたお金からマイナスされる。こんな感じでイメージしていただければわかると思います。

 

また、私の関与先は介護事業所や治療院が多いわけですが、こうした事業の場合、売掛金の相手先が国保連や各保険者だったりするわけで、これが倒産するということはまず考えられないことです。つまり、こうした業種では、この共済の本来の機能を使うことはまずないと言えます。

 

さて、このセーフティ共済ですが、実際にはその共済制度自体というよりかは、節税を目的として加入することが多いです。(特に、介護事業所や治療院のような共済自体の本来の機能を使うことがないような業種ではほぼ、節税目的です。)

このセーフティ共済の掛け金は全額、損金(個人だったら必要経費)になります。払ったものが全額引けるわけです。さらに、40か月以上かけると、解約しても払ったものは100%戻ってきます。払っている間は全額損金(もしくは必要経費)で、40か月以上、かけていれば解約しても全額戻ってくる(戻ってきた場合には、全額収入計上【雑収入】)ため、税金が出るときに支払い、逆に赤字傾向の時に解約して現金化(収入計上)するような形を取れば、節税が図れるわけです。

 

また、解約はしたくないが、資金が必要というような場合、解約手当金の95%の範囲でお金を借りることも可能です。この貸付制度は仮に返せないとしても積み立てている共済金からマイナスされるだけですので、その意味でも利用しやすい制度です。

 

また、月額5,000円~200,000円まで5,000円刻みで選択できます。月払いにもできますが、年払いも可能です。

保険料というのは、セーフティ共済に限らず、原則、支払ったときに費用計上(損金計上)となります。そのため、私は顧問先には、決算月に加入し、年払いにすることをお勧めしています。決算月に年払い契約することで、毎年、決算前の状況を見ながら掛け金をいくら払うのかを検討できるからです。決算が厳しい状況(赤字決算)なのであれば、決算の翌月に支払って、次期の経費にすることも可能です。状況を見ながら今年はいくら払うか、もしくは払うのをやめて次期に繰り越すかを決められるので、決算月契約しに年払いにすることが私のお勧めです。

 

また、月額20万円までかけられることから、たとえば、20万円×12ヶ月分で240万円をいっぺんに支払ってもすべて経費計上されます。たとえば、月払いで月額20万円払っていて、決算月に翌年の12ヶ月分を前払いすると、合計で年間480万円支払うことになり、支払ったときに経費計上という点から、480万円すべて経費計上とすることも可能です。

 

ただし、前払いする保険料が1年を超えた期間になってしまうと、その期間に対応した部分のみが経費計上になりますので注意が必要です。

たとえば、平成29年3月決算の法人で、平成29年3月に平成29年4月~平成30年3月までの保険料を前払いしたのであれば全額経費計上が可能ですが、平成29年4月分~平成30年4月分(13か月分)を前払いしてしまうと、期間に対応する部分のみが経費計上になることから、平成29年3月決算ではすべて経費計上できないことになります。

この辺は、いつまでの期間について支払ったら経費計上できるのかという点はよく考えて検討すべきです。

 

セーフティ共済の特徴をもう一度まとめますと・・・

・売掛金の相手先が倒産したらその売掛金の金額の範囲内でお金を貸してもらえる。

・払ったときに全額損金計上(必要経費)、解約金を受け取ったら全額収入計上

・解約せずにお金を借りることもできる。

・月額5,000円~200,000円まで掛け金を選択できる

・40か月以上かけていれば解約しても払ったお金は100%お金は戻ってくる。

・月払い、年払いいずれも選択できるが、決算月に契約し、年払い契約にするのがお得

・13か月以上の分を前払にしてしまうと、今期の経費にはできず、次期以降の経費になる

 

こんなところでしょうか。

 

今日はこれぐらいにして、次回はこのセーフティ共済に加入した後の注意点などについて、書いていこうと思います。


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