手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

さて、今日は銀行融資で銀行がやってはいけないことがあるという話です。

ちょうど1ヶ月くらい前になりますが、東日本銀行が金融庁から業務改善命令を受けました。まずはその記事です。↴

https://jp.reuters.com/article/higashi-nippon-bank-fsa-idJPKBN1K315N

 

東日本銀行が業務改善命令を受けたのは何点かありますが、主に次の二点についてこのブログでは書いていこうと思います。

まず一つ目が、本来受け取るべきではなかった手数料を受け取っていたというものです

具体的には、地方公共団体の制度融資を使った融資で手数料を受け取っていたというものです。

もう一つがいわゆる「歩積み両建て」というものです。

これは、融資を受けた金額の一部を定期預金にしてもらうという約束をして融資をすることです。

他にも、支店の営業エリア内に実態のない融資先の営業所の登記を行わせ、支店長専決権限を行使させる、といったこともやっていたようですが、上記の二点に絞ってその問題点について考えてみましょう。これらは、銀行融資では固く禁止されている行為で、今回は金融庁からその指摘を受けました。では、なぜいけないのでしょうか?

 

一つ目はわかると思います。

銀行融資で本来、受け取るべきでない名目で手数料を受け取るというのが禁止されているのは何となくお分かりだと思います。今回の大きな問題は「制度融資」という税金を使った融資制度なのにもかかわらず、銀行が手数料を徴収していたという点です。融資を受ける側からすると、手数料が発生していることについて大きな疑問を持たなかったのかもしれませんが、税金を使った制度を使ったら銀行が手数料を取るというのは自治体との協定で禁止されています。さらに言えば、融資を受ける側から手数料を取ってしまったら制度融資を勧めることが銀行のためにやっているようなものになってしまうからということもあるのだと思います。

 

そして二つ目の「歩積み両建て」というのは、昔はよくあった話で、禁止されている融資の最たるものです。

具体例で考えればわかります。たとえば、1億円を融資したとします。そのうち、5000万円を定期にしてほしいと融資の際に依頼したとします。

こんなことをするのであれば、単純に5000万円を融資すればいいのでは?と思うかもしれません。これは具体例で考えればよくわかります。

たとえば、1億円の融資を利率2%で融資を受けたとします。年間の支払う金利は200万円です。「歩積み両建て」で同時に5000万円の定期を組んだとします。そうすると銀行は、1億円から定期預金の5000万を引いた金額で実際には考えます。銀行的には、この会社には定期預金の5000万を差し引いた5000万円を実質的に貸している金額と考えます。銀行からすると、実質的に貸している5000万円に対して、利率200万円を受け取っていることになり、実質的には利率4%で貸しているのと同じになるわけです。もちろん、定期を組んでいるわけですから銀行からしたら定期の利息を支払う部分がありますが、現状では、定期の利息と言っても年利で0.1%とか0.2%とかです5000万円の定期であっても会社からしたら受け取る利息は5万円とか10万円とかいうレベルです。銀行からしたら圧倒的に受けとる利息の方が大きいわけです。単純に5000万円を利率2%で融資しても受け取る利息は100万円です。このように考えれば銀行の受け取る利息が「歩積み両建て」の方がはるかに大きくなることがお分かりだと思います。

このように、ある意味、企業からしたらわからないうちに銀行が儲かるような仕組みになってしまっていることに問題があるといっているわけです。加えていえば、「歩積み両建て」で積んだ定期預金は簡単には解約できないようにしています。企業からしたら事実上、1億円の融資ではなく5000万円の融資と同じことなわけです。倫理的にも問題があるのはお分かりだと思います。

 

さて、このように、融資でやってはいけないことがあるというのを経営者の皆さん、ご存知でしたでしょうか?知らなかったということであれば知っておいた方がいいでしょう。

その上で、たとえば、銀行から「投資信託があるのだが、買ってほしい」とか「カードローンの契約をしてほしい」とか、そういった依頼を受けたことがある人も多いと思います。

これらは、銀行が本業の貸付業務でなかなかもうけが出ないため、本業以外の業務で稼いでいこうという表れです。本業のお金の貸付でもうけが出ないため、支店単位でノルマを課して「投資信託」や「カードローン」、あるいは「保険」といった部分で儲けようとしているわけです。

 

経営者の皆さんは、こうした銀行の申し出に「無下に断ったら融資に影響が出るのではないか」と思うようです。実際、経営者の皆さんから「銀行から投資信託の販売を持ち掛けられたんだけど、やっておかないといけない(融資に不利になってしまう)のでしょうか」といったようなご相談を受けることは多いです。ですが、仮にこうした「投資信託」や「カードローン」や「保険」の勧誘を断ったことで、融資の判断に影響させるような行為も禁止されていることです。純粋にその「投資信託」や「カードローン」「保険」が魅力のあるもので、経営者自身がこれらをやってもいいと判断しているのなら別ですが、必要もないのに「融資に影響がある」と思う必要は全くありません。むしろ、そうしたことをちらつかせてくるとしたら、金融庁に言ってもいい違反行為です。経営者の皆さんは毅然とした態度で臨むべきです。

 

今回の東日本銀行の業務改善命令は経営者自身も知っていれば起こらなかったような話なのではないかと思います。もしご存知ない経営者の方がいらっしゃいましたら、この機会に「やってはいけない融資」について知っておきましょう。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

免責事項

当ブログで記載されている情報においては、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めています。しかし、誤情報が入り込んだり、情報が古くなったりすることもあります。必ずしも正確性を保証するものではありません。また、合法性や安全性なども保証しません。

当ブログに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。