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今日は前回の外国人の雇用保険の話に続いて、外国人を雇用した場合の社会保険の手続きについて、見ていきましょう。

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まず、外国人を雇用するとその外国人からよく言われるのが次のようなことです。

健康保険は入りたいけど、厚生年金は入りたくない

 

これは、今の日本の社会保険の制度上、できません。健康保険と厚生年金は一体ですから、健康保険だけ加入して厚生年金には加入しないということはそもそもできません。

ただ、厚生年金については脱退一時金の制度があったり、あるいは10年加入していなくても合算対象期間(カラ期間)のルールを使って将来、年金をもらうことも可能です。

この辺の話は、今日の話の論点からずれるので、次回に話をしていこうと思います。

 

さて、外国人が社会保険に加入したいという場合、手続き上、何が必要なのかです。

まずは「健康保険・厚生年金資格取得届」は、もちろん必要です。扶養の方がいらっしゃれば、「扶養(異動)届」も一緒に提出します。ここまでは通常の日本人の場合と同じです。

その他に、次の二つが必要になります。

 

まず、「ローマ字氏名届」が必要です。

前回のブログで書きましたが、在留カードに書かれているローマ字のお名前を書く用紙です。これは資格取得届とは別にあるので、この用紙に在留カードに記載されている通りに記載します。

また、その外国人の配偶者が扶養親族になっていて、その配偶者の方も外国人の場合には、「第3号被保険者ローマ字氏名届」というのも必要になります。これも「ローマ字氏名届」と同様に、在留カードに記載されている通りに記載します。

ちなみに、この「第3号被保険者ローマ字氏名届」については、第3号被保険者である配偶者自身が署名・捺印します。「ローマ字氏名届」に捺印するのは雇っている法人ですから、そこは違いますので注意が必要です。

 

さて、外国人の場合にはもう一つ、書類が必要です。

なんだかわかりますか?

年金の方の話です。

実際に手続きすることを想像してみたらわかるのではないでしょうか。

 

外国人の場合、よく考えていただきたいのですが、「基礎年金番号」ってないはずですよね?

「基礎年金番号」というのは20歳になった日本国民に番号が振られます。しかし、外国人ですから、この番号自体を持っていません。つまり、基礎年金番号がないことになります。

そうすると、手続きの時は、この「基礎年金番号」を割り振ってもらうための書類が必要になります。書類としては「年金手帳再交付申請書」というものになります。

本来はこの書類は、一度年金手帳を発行された人が再交付を受ける際に使う書類ですが、外国人の場合にもこの書類を提出して、まずは「基礎年金番号」を割り振ってもらうことになります。もちろん、年金手帳も新しいものが交付されます。

 

また、外国人と言っても、以前に日本で働いていた人は「基礎年金番号」を持っていることがあり得ます。以前に日本で働いていてその際に社会保険に加入していたのであれば、「基礎年金番号」を持っていますからこの点は確認が必要でしょう。

 

外国人を雇う場合には、通常の手続きの際に必要な「資格取得届」「扶養(異動)届」の他に、「ローマ字氏名届」(場合によっては「第3号被保険者ローマ字氏名届」)、「年金手帳再交付申請書」といったところが必要なのはお分かりになりましたでしょうか。

 

もう一点、外国人を社会保険に入れる際に、その本人にお伝えしておいた方がいいことが、その雇う外国人に扶養親族がいて、その扶養親族が外国に住んでいる場合、日本の健康保険の扶養親族に入れられるのかという話です。

こういった相談も、実際、たまにあります。

 

結論としては、扶養親族の要件を満たしていれば外国に住んでいても扶養親族に入れることができます。つまり、外国に住んでいるのに日本の健康保険が使えるんです。

 

なんだか不思議だと思うかもしれませんが、これは法律的には別におかしくありません。

扶養親族の基準(年収130万円未満【日本円換算で】など)を満たしていれば当然に扶養親族に入れてもいいわけです

 

ただし、保険証は外国の医療機関では当然、使えません。この場合、どうするかというと、外国でかかった医療費があればいったん全額、自己負担で支払っておいて、あとで自己負担部分の3割を除いた7割部分を戻してもらうことになります。

健康保険海外療養費支給申請書」という書類があるのでその書類に記載して協会けんぽに提出することで、あとからお金を返してもらうことができます。

実際にお金を返してもらう場合には、この書類の他に領収書やパスポートなど、提出書類がいくつかありますから、手続きはやや煩雑です。

なお、外国に住んでいる方を扶養親族にする場合、実際に「扶養(異動)届」にどう記載していくかというところで、住所をどう記載したらいいのか、と思う方もいらっしゃると思います。

外国に住所地がある場合、住所の欄には国の名前だけ記載すればいいことになっています。「中国」とか「韓国」とか「アメリカ合衆国」とかだけ書けばいいんです。中国のどこかまで記載する必要はありません。

 

外国人の社会保険の手続きは、雇用している外国人に事業主側から本人にきちんと説明しないといけません。上記のようなことは雇う際に、きちんと把握しておきましょう。

次回は、外国人の厚生年金について、ご説明していきます。

 


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