手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

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久しぶりの更新となりました。

今日は先日発表された介護保険法の改正がらみの情報提供をどうしてもしておいた方がいいと思い、久しぶりにブログ更新です。

 

介護事業所の経営者は「BCP」というのは当然、ご存じでしょう。

コロナ禍において、介護や福祉の事業所はそうした事態に直面しても事業を継続的に行うことの重要性が再認識されました。もっともコロナのような感染症だけでなく、近年は、害や地震といった自然災害が発生した場合であっても、介護サービスが安定的・継続的に提供されるための前述のような業務継続続計画が不可欠となっています。

2021年の介護報酬改定において行われました。その際に、介護施設における事業継続計画(BCP)の策定が義務づけられました。2024年3月までに全ての介護や福祉の事業所について、BCPを作成するこが義務付けられました。この義務化に対応するため、また自然災害や感染症などが発生しても介護サービスの提供を続けるためにも、介護施設におけるBCPの策定は急務といえる状況となっています。

 

それに加えて今回の介護保険法改正で、BCPを作成していない事業所については介護や福祉の報酬について減算処理をしないといけなくりました。BCP未作成減算の猶予期間は、令和7年3月31日までです。この期限までにBCPが作成できていない場合、一定の割合で減算処理されることになりました。

ただし、デイサービスや施設は感染対策の指針かつ被災時の具体的な施策を作っていることが通常です。もしお手元に揚場その写しをいご用意いただく必要があります。

 

また、令和6年4月以降はBCPを作っていなければ運営基準違反にはなるため行政指導は受けることになります。

それから、

それから、BCPは作って終わりではありません。そのあと、研修をやって、避難訓練等をやる必要があります。また、一定の研修棟を実施し、BCP作成責任者を据える必要があります。

今回は期限が来年の3月と迫っていたのですが、事業者の対応は変わることもあり得ます。終わっている項目があればすぐに教えてください。

以上でした。

 

では、よろしくお願いいたします。

 

 

 

様々な改正がありまずが、まずは現状のドジャース(新処遇改善加算)についてです。

 

BCPは意外と進めていけば、会社も営業をしていないため、当面はこうした状況を遺棄する可能性も調べていく必要があります。

いずれにしても、BCP減債については今後も変化はないでしょう。

今年もあとわずかになりました。皆様の健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございました。

 

 



なかなか頻繁にブログ更新ができませんが、今日は更新したいと思います。

雇用保険の助成金の「生産性要件」という話です。

 

雇用保険の助成金の「生産性要件」というのは、助成金を申請する事業所が、次の方法で計算した「生産性要件」を満たしている場合に、助成の割増等を行うというものです。

これは、助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、 その3年度前に比べて6%以上伸びていることが要件となります。

生産性とは、次の算式によって計算します。

生産性 = 付加価値/雇用保険被保険者数

これが、3事業年度前と比べて6%以上伸びていることが必要なわけです。

付加価値というのは「営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+ 租税公課」の式で算定されます。(一般法人でない法人は若干異なります)実務上はエクセルシートがあり、そこに金額を入れて計算を出します。これは税務署に提出された決算書ベースで計算を出していきます。また、直近の会計年度もその3年度前もプラスであることが必要です。つまり、赤字決算だと適用はできません。

また、その3年度前に比べて伸び率が6%未満であっても、1%以上であれば、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていればいいとされています。「事業性評価」とは、事業の見立て(市場での成長性、競争優位性、事業特性及び経営資源・強み等)を与信取引等のある金融機関に照会し、その回答を参考にして、割増支給の判断を行うものです。「与信取引」とは、金融機関から借入を受けている場合の他に、その金融機関に借入がなくても、借入限度額(借入の際の設定上限金額)が設定されている場合等も該当します。「事業性評価」というのは一見すると難しそうですが、実務上は一定の書類を提出すればそれで足り、それほど難しくはないものになります。

 

また、この生産性要件を使うには3年度前の初日に雇用保険適用事業主であることが必要です。会計期間の変更 などにより、会計年度が1年未満の期間がある場合は、当該期間を除いて3年度前に 遡って算定を行います。

 

この生産性要件はキャリアアップ助成金をはじめ様々な助成金に使われています。生産性要件を満たしているという書類を出せば、助成金の金額が増えるというもので、黒字決算の場合、必ず検討した方がいいでしょう。

 

さて、この生産性要件ですが、残念ながら、令和5年3月31日に廃止されました。

廃止されたのだったら関係ないのかと考えると思います。

しかし、適用になるケースがあるので、今日はその経過措置について、このブログで確認していただきたいのです。

 

具体的には、 令和5年3月31日までに助成金の対象となる取組を行ったなどの場合は、経過措置が適用されます

たとえば、キャリアアップ助成金の場合には、正社員化の取り組みを令和5年3月31日までに行って、その後6か月経過して申請したような場合には、生産性要件は使えます。たとえば、15日締めの会社で、令和5年3月16日に正社員化したような場合には、生産性要件はまだ使えます

生産性要件は様々な助成金にあります。その助成金によって生産性要件を使えるタイミングが違いますから注意が必要でしょう。

 

生産性要件は廃止といってもまだ使えるケースもあるので、使えるのかどうなのかの確認は必ずしていくようにしましょう。

以上、今日は生産性要件の経過措置の話でした。



さて、今日は登記の話です。

会社法上、最後の登記から 12 年間登記内容に変更がない株式会社のことを休眠会社といいます。
株式会社の場合、少なくとも 10 年に 1 度は登記内容が変更されることになります。2 年の猶予期間を与えた 12 年が経っても何も登記されない株式会社は、休眠会社と判断されます。これは実際に事業を継続しているかどうかは関係なく、登記がされていない事実があった場合にそのように取り扱われます。

対象となる休眠会社には、管轄法務局から「法務大臣によるみなし解散の公告をした」旨の通知書が発送されます。通知があったにもかかわらず、役員変更の登記がないときには、解散したものとみなされると公告されます。

みなし解散の登記が行われた後は、その法人は存在しないことになります。登記事項証明書や印鑑証明書の発行を受けることができません。税務申告もできなくなります。そうなると、新たな借り入れやリースを組んだりすることもできません。

また、みなし解散の登記が仮に行われてしまった場合はどうなるのでしょうか。

この場合、登記を元の状態に戻したい場合は、3年以内に限って戻すことはできます。その場合、株式会社の場合には、株主総会の特別決議によって、一般社団法人又は一般財団法人の場合には、社員総会の特別決議又は評議員会の特別決議があれば、会社・法人を継続することができます。 この継続の決議をしたときには、そこから2週間以内に継続の登記の申請をする必要があります。

ただし、登記は元の状態に戻すことはできますが、登録免許税が新たにかかります。余計なコストもかかりますから、やはりまずは「みなし解散」される前に速やかに登記をするということです。

 

そもそも株式会社の取締役の任期は原則2年(最長10年)、一般社団法人と一般財団法人の理事の任期は2年で、それぞれ任期ごとに登記が必要です。これらの登記をお忘れの場合は、早めに登記の手続きをしましょう。一応、本来申請すべき時期に登記を怠っていた場合には100万円以下の過料という罰金が科されることになっています。

 

登記については、普段意識していない経営者も多いと思います。

この機会に「うちの会社はどうなっているんだろう」と確認してみてもいいかもしれません。

ということで、今日は登記の話でした。



だいぶ久しぶりのブログ更新となってしまいました。

これからはちょくちょく更新していこうと思います。

 

さて、今日はインボイスがテーマです。

いよいよ10月1日からインボイス制度がスタートすることになりました。

私の顧問先からもインボイスがらみのいろいろなご質問をいただくようになりました。

 

さて、以前から言われていた「個人タクシー」についての取り扱いです。

個人タクシーの場合、免税事業者でインボイスの登録をしていないケースが多くあるのではないのか、タクシーを利用する際に利用者はそれを選別できないのではないか、といった懸念が示されていました。

 

それに対応するため、国土交通省では個人タクシー業界のインボイス対応についての指針等が示されました。

 

まず、現状で全国個人タクシー事業連合会と日個連事業協同組合の加盟事業者の97%以上がインボイス登録済み(登録予定の人も含む)という報告があったようです。

そのうえで、個人タクシーの事業者がインボイスの登録をしているのか否かをタクシーを見れば一目でわかるように表示するような表示をタクシーにするようにする方針が示されています

 

たとえば、タクシーに「インボイス登録済み」とか「このタクシーはインボイスを発行できません」とかを表示するとか、タクシーの表示灯にインボイスの登録が済んでいる表示をするといったことするようになそうです。

 

また、タクシーの領収書もインボイスに対応したレシートを発行するようにするということです。

 

大手のタクシー業者だとすでにインボイスが書かれている領収書が発行されたりするケースもあるようですが、個人タクシーの場合、しばらくはインボイス対応があるか否か、どのようにそれを見分けるのに注意が必要なようです。

 

以上、今日は個人タクシーのインボイスの話でした。



さて、今日は最新判例に基づいた話です。

中小企業が損金に算入できる交際費の範囲についての話です。

 

現行の制度では、法人が支出した交際費のうち「接待飲食費」の50%相当額を超えない範囲で損金算入が認められ、また中小法人の場合、50%損金算入をしない場合には支出した交際費等の額が定額控除限度額(年800万円)を超えない部分については損金算入できるとされています。

 

さて、上記の現状の取り扱いを頭に置きながらの話です。

法人が支出した飲食代」というのはどこまでが損金算入できるのかという部分の話です。令和5年5月12日の東京地裁での最新判例を踏まえたもので裁判所が考える基準を確認していきたいと思います。

 

まず、裁判所は交際費に計上される「飲食代」の基準についてどのように考えているのでしょうか。これは次のように示しています。

法人が支出した飲食等の代金が交際費等に該当するといえるためには、当該支出にかかる飲食等の日時が特定されていることを前提に、当該支出の相手方が事業に関係のある者等であること、当該支出の目的が相手方との親睦を密にして取引関係の円滑な進行を図ることにあること、当該支出の態様が租税特別措置法61条の4第4項に規定する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為であることを要するというべきである

そして次のように示しています。

原告らにおいて、本件各支出が原告らの業務との関連で支出された交際費等に該当するものであることを立証することを要する

 

業務とどういう関係があって支出したのかは納税者側が立証しないといけないものだといっています。

 

さて、これをもとに、具体的にどのような判断がされたのか、見ていきましょう。

まず、認められた関係者というのをみていきます。

A氏はこの会社の代表者のほか複数の企業の広告作成業務に関与して、互いに仕事を受注しあう関係にあったということです。このA氏との飲食代は「交際費」と認められています。

また、B氏は飲食店の内装などのデザインをしており、この会社の代表者からも自社のロゴや名刺のデザインを依頼しているなどの関係にありました。このB氏との飲食代も「交際費」と認定されています。

 

一方で、認められなかったのはどういう関係の人たちだったのでしょうか。

 

C氏とは業務との直接的な関連性はなく、広くC氏の経営する飲食店で様々な経営者との交流を通じて人材を広げるという目的があって支出した飲食代という「交際費」でした。これは裁判所は認めませんでした

D氏は飲食を共にする仲間であったのですが、CDやDVD作成を依頼したとする陳述があったのですが、それらを示す具体的な証拠がありませんでした。

 

C氏・D氏のように単に「人脈を広げる」とか、仕事を依頼したといっても「具体的な証拠がない」ようなものは認められていません

 

つまり、「業務の関連性」をどこまで説明できるかで「交際費」と認められるか否かが判断されているというわけです。また、同時に、国側が「A氏・B氏との飲食についても、プライベートで飲食したもので、業務との関連性が立証されていない」と主張していましたが、裁判所は「明確に業務との関連性のないプライベートとして行ったものでない限りは、これにより親睦を密にして取引関係の円滑な進行を図るために必要なものであったということができ、明確にプライベートなものとして行ったものであることをうかがわせる証拠はない」として国側の主張を退けています。

 

ここから読み取れるのは、「実際に仕事を依頼する(される)関係にあれば『交際費』として経費計上が認められるが、「人脈を広げるためというような具体的な業務の関連性が説明できないものは『交際費』ではない」という基準です。

 

飲食代の経費計上については、古くからどのような線引きになっているのか、言われることです。今回の判例はそれをある程度、範囲がわかるように判事しており、参考になる事例かと思います。

以上、今日は交際費の話でした。



ブログの更新が久しぶりとなりましたが、今日は経営者の皆様にどうしてもお伝えしないといけないと思い、久しぶりに書きます。テーマは「税制改正」。退職金課税の話です。

 

政府の「新しい資本主義実現会議」というのが5月16日に開催されました。その中で「退職所得控除額」について、次のような言及がありました。

 

退職所得課税については、勤続 20 年を境に、勤続1年あたりの控除額が 40 万円から 70 万 円に増額されるところ、これが自らの選択による労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘 がある。制度変更に伴う影響に留意しつつ、本税制の見直しを行う。

 

ここに書いてある通り、現状では20年までの勤務の場合、勤続1年あたり40万円である退職所得控除が21年目以降は70万円と増額されます。つまり、現状の税制は勤続年数が長ければ長いほど、税金が少なくなるような制度設計がされています。そのために、在籍し続けるインセンティブを税制が与えてしまっているということです。一言でいえば「人材の流動化」を目指した税制改正ということです。そこで、改正後の制度は退職所得控除額を勤続年数にかかわらず、1年〇万円と一律にしようとする改正が検討されているわけです。

 

では、退職所得控除額がいくらにされるのかということです。今のところ20年までの40万円と20年超の70万円という間を取って50万円とか55万円というのが検討されているという話です。勤続年数にかかわらず1年につき50万円もしくは55万円の控除とする改正案です。この改正は、来年、令和6年の税制改正で取り上げられることが検討されています。

なお、退職金の計算の際には「(退職金額-退職所得控除額)×1/2」となっていて、退職所得控除額を引いた後の金額を2分の1にして計算するのですが、この2分の1される現行の制度は維持されるということです。

 

さて、この改正で考えないといけないのは、たとえば生命保険の解約返戻金を使った形で長期に社長などの経営者に対して退職金を支給することを前提にプランニングしていたようなケースです。これらのケースでは、この退職所得控除額の改正が全体のスキームにどの程度の影響があるかを今一度、検証する必要があるでしょう。生命保険を使ったスキームは長期にわたって節税を考えたような設計になっているはずですから、全体のスキームにどの程度影響があるのか、今一度、検証してみてください。

 

また、これからこのような制度設計を考えるような場合についても、現行の制度だけではなく、改正の方向性を踏まえた退職金スキームを検討した方がいいでしょう。退職所得控除額が50万もしくは55万円になるというのを見越して退職金制度を考えていく必要もあろうかと思います。

 

ということで、今日は退職金課税の税制改正の話でした。



今日はコロナ特例の雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の申請期限の話です。

 

雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、「労使間の協定」に基づき、「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。
また、事業主が労働者を出向させることで雇用を維持した場合も誇張調整助成金の支給対象となります。事業主に雇用された雇用保険被保険者に対する休業手当などが、「雇用調整助成金」の助成対象です。
学生アルバイトなど、雇用保険被保険者以外の方に対する休業手当は、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。(雇用調整助成金と同様に申請できます)

 

この雇用調整助成金の特例措置は令和4年12月以降は通常制度に移行し、一定の経過措置を講じてきたところですが、令和5年3月31日をもって経過措置を終了します。ただし、令和5年4月1日以降の休業等については支給要件を満たせば通常の雇用調整助成金を申請することができます。

 

また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、雇用保険被保険者とはならない労働者に係る休業を対象にした緊急雇用安定助成金を実施してきましたが、この助成金は令和5年3月31日までの休業をもって受付を終了します。

 

加えて、今回はこれらの助成金の申請期限についての確認です。

通常は支給対象期間の末日から2か月以内です。たとえば、20日締めの会社の場合、3/20までの分は5/20までの申請となります。

ただし、 令和5年3月31日を含む判定基礎期間の申請期限は、令和5年5月31日までです。つまり、3/21~3/31の分の申請期限は5/31までとなりま

令和5年3月31日を含む判定基礎期間については、賃金締め切り日や最終休業日にかかわらず、判定基礎期間末日が一律に令和5年3月31日までとなります。なお、令和5年4月1日以降も休業を実施した場合であっても、助成対象となるのは令和5年3月31日までに実施した休業のみとなります。

ただし、たとえば20日締めの事業所の場合、令和5年2月21日~令和5年3月20日の申請期間は令和5年3月21日~令和5年5月20日です。また判定基礎期間令和5年3月21日~令和5年3月31日は判定基礎期間(最終)の申請期間は令和5年4月1日~令和5年5月31日です。

一方で、判定基礎期間令和5年2月21日~令和5年3月31日の判定基礎期間(最終)の申請期間は令和5年4月1日~令和5年6月20日です。これは、判定基礎期間(最終)の初日の2か月後の日から起算して、2か月以内としているためです。

雇用調整助成金の制度自体は令和5年4月以降も継続しますが、令和5年4月以降の取扱いについては、緊急雇用安定助成金は廃止し、雇用調整助成金は通常の申請に戻るのが原則的な取り扱いです。改めて確認しましょう。

 

今日は雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)のコロナ特例の申請期限の話でした。

 



さて、かなり久しぶりのブログ更新となりました。業務が重なったこともあり、更新が滞っておりました。記事として書きたい案件はかなりありますので、ネタはたくさんあります!!順次、ブログ記事として書いていこうと思います。

 

さて、今日は実際に最近、ご相談があった案件です。

ご相談内容はこのようなものです。

昨年、新築マンションを購入し、年末に引っ越ししました。ところが、住宅ローン控除の申告をするのを忘れてしまいました。もう住宅ローン控除は受けられないのでしょうか?

 

さて、この場合ですが、まずは、サラリーマン(給与所得者)で他に所得がないのか、確定申告をした者なのか、によって変わってきます。

 

まずはサラリーマン(給与所得者)の場合です。

給与所得者で他に所得がない場合、通常、確定申告はしません。このような方の場合、その年の翌年から5年以内に申告書を出せば、住宅ローン控除は受けられます。確定申告書の期限の3月15日を過ぎても問題ないわけです。所得税の還付の申告になるので俗に「還付申告」といったりします。この「還付申告」の場合、5年以内に申告すればいいことになっています。

 

ということは、住宅ローン控除に限らず、たとえばふるさと納税や医療費控除も同様です。給与所得者の方がふるさと納税があったのに確定申告していなかったとか、医療費控除があるのに確定申告していなかったとかというご相談も受けることがありますが、同じことです。いわゆる「還付申告」なので、5年以内に申告すればOKです。

また、この5年以内というのはいつから5年以内かというと、翌年1月1日からです。ですから、令和4年の「還付申告」の申告書は令和5年1月1日から令和9年12月31日までに出せばいいことになります。

ということは、いつの申告書までさかのぼれるかというと、今時点ですと、平成29年以前の「還付申告」は出せないことになります。平成30年以降の「還付申告」はまだ出せます。

出していない「還付申告」があれば今からでも出せますから出して所得税の還付を受けておきましょう。

 

さて、問題はサラリーマン(給与所得者)でない人の場合です。

3月15日の申告に間に合わなくてまだ申告をしていなかったのでしたら、期限後申告になりますが、早めに出しましょう。住宅ローン控除に3月15日までに出さないと住宅ローン控除を受けられないといった要件はありませんから、期限後でも出して控除を受けることです。

一方で、給与所得者以外の方で申告してしまった方が住宅ローン控除を入れるのを忘れて申告してしまったらどうしたらいいのでしょうか。

この場合は、申告書は出しているので「更正の請求」というものを出して、税額の還付を受けます。税務署に出した申告書はいったん申告書を出してしまうと税額は確定します。それに間違いがあった場合の修正方法は主には2種類あります。一つは修正申告です。これは申告した税額が少なかった場合です。申告して差額の税金を納付します。もう一方が、申告した税額が多かった場合、税金を取り戻したいというときに「更正の請求」を行います。

そもそも「更正の請求」は書類の書式が全く違いますから、この点を注意してください。

「更正の請求」には住宅ローン控除を受ける際に添付する必要書類一式(住民票や売買契約書の写し、登記簿謄本などです)を添付します。税務署側はそれを受けて審査をし、問題ないようだったら住宅ローン控除の還付が受けられます。

また、この「更正の請求」ですが、こちらも出せる期間は期限があります。

この「更正の請求」の期限は法定申告期限から5年以内です。つまり、令和4年の確定申告でいえば、令和4年の確定申告期限は令和5年3月15日が申告期限です。この令和5年3月15日から5年以内、つまり、令和10年3月15日までとなります。

「還付申告」と期限が異なりますので注意が必要です。

 

以上、今日はこの時期くらいにたまにご相談のある住宅ローン控除等の申告漏れのお話でした。



さて、今日は久しぶりのブログ更新です。

2月16日から確定申告が始まりましたが、基礎控除の話です。

 

私も実際、確定申告をやっていて気づいたことではあるのですが、不動産の譲渡があると基礎控除が受けられないケースがあるということです。

 

そもそも基礎控除というのは、というお話からです。

基礎控除は所得が2500万円以下の人であれば適用されるもので、所得の金額2400万円以下であれば、控除額の満額、48万円が控除されます。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

 

上記のような所得額によって控除できない仕組みは2020年の税制改正で導入されたものです。とはいえ、所得2400万円だから、基本的にはほとんどの人が基礎控除は適用されるわけですが、通常であれば所得が2500万円を超えるということはないのに、適用できない人がいます。それが、不動産の譲渡があった場合です。

 

実はこの基礎控除の合計所得金額というのは特別控除前の金額です

 

ですから、たとえば、居住用財産を譲渡した場合、3000万円を控除できるのですが、この3000万円の特別控除をする前の金額で判定します。

そのために、通常であれば所得が2500万円を超えるようなことのないサラリーマンでも、自宅を譲渡したといったような不動産の譲渡があると、基礎控除が使えなくなる可能性があるわけです。

 

たとえば、年末調整だけをしたサラリーマンが自宅を売却したとします。今、不動産は割と高く売れる傾向にあるので、売却額と取得費(購入時の金額から償却費を控除した金額等)で利益が出るケースも多いと思います。この場合でも、居住用財産の譲渡は3000万円の特別控除があるため、税金が出ないことも多々あります。しかし、年末調整した給与所得と譲渡所得の3000万円の特別控除前の金額を足すと2500万円を超えた場合、基礎控除が適用できないケースがあるわけです。

 

実際、私もそういうケースがいくつかあり、「不動産の譲渡があると基礎控除が使えないケースがあるんだ」と思った次第です。

 

申告書は自動で計算させるケースが多いでしょうから、自動計算させれば基礎控除が出てこないことになるでしょう。ですが、なぜそうなっているのか、ご自身で申告される場合、わからないケースもあり、「これって間違えている!?」と思う方もいらっしゃるでしょう。基礎控除がゼロになっていたら実は上記のようなことが絡んでいるのではないかと確認してみていただければと思います。

 

以上、今日は基礎控除の話でした。



現在の朝ドラは「舞い上がれ」です。空へのあこがれからパイロットを目指し航空学校を卒業した主人公が、父が急死したとことで、父が経営していたネジ工場を向上を引き継いだ母とともに立て直すという展開になっています。この中で、ねじ工場を投資家の兄に売却し資金を得てその資金で会社の立て直しを図るという話が登場してきます。これはいわゆる「セールアンドリースバック取引」と呼ばれるものです。今日はその概要を見ていきたいと思います。

 

いわゆる「セールアンドリースバック取引」とは何なのでしょうか?

簡単に言えば、今持っている土地や建物などの不動産は、見た目には手放さないまま売却(もしくはリース)している形にして資金を得て、貸主には毎月返済していくという取引のことを言います。つまり、見た目は不動産を今まで通りに使っていても問題はないのに、資金は得ることができるという非常に便利な取引なわけです。

 

これに似たものとして「リバースモーゲージ」というのがあります。「リバースモゲージ」は「セールアンドリースバック」との違いに注目すれば何なのかが理解できます。

大きく違う点は「資産の売却をしているかどうか」です。資産自体は売却する(所有権は手放す)のが「セールアンドリースバック」であるのに対して、「リバースモゲージ」は資産の売却はせず、資産を担保にしてお金を借りるという点です。お金を借りるというのが「リバースモゲージ」の特徴であるため、そのことから資金使途は事業資金などに制限されます。一方で「セールアンドリースバック」取引は資金使途に制限はありません。

 

さて、今日はこのセールアンドリースバックはどのように経理処理されるのかという話をしたいと思います。

 

「セールアンドリースバック」というのは名前からしても「リース取引」の一形態です。資産はいったん売却するという取引と、それとは別にお金を借りるという取引と、二つの取引を同時に行うものになります。二つの取引を別々に処理していけば、それほど難しくはないと理解できるはずです。

 

問題なのはこの「セールアンドリースバック」は取引形態によって主に二つの会計処理に分かれるということです。実は会計基準と税務処理とで微妙に考え方が違うのですが、少し税務寄りにここでは解説していきます。今日はごく簡単にこの概要を以下で説明したいと思います。

 

まず、リース取引には主に「ファイナンスリース」と「オペレーティングリース」の二つがあります。「ファイナンスリース」に該当するかは主に次の二つです。

①途中解約不能

②フルペイアウト

 

上記のうち①はいいと思います。リース契約の途中での解約はできない取引です。②のフルペイアウトというのは、たとえば固定資産税など、その物件にかかる経費負担をしているかどうかです。固定資産税を払っているのであればリースといっても実質的に所有権は残っているものだと判断されるわけで、それを「フルペイアウト」と呼びます

この①と②の要件を満たしていれば「ファイナンスリース」で、どちらか片方(もしくは両方)満たしていないのであれば、「オペレーティングリース」になります。

 

では、次にファイナンスリースとオペレーティングリースで取引がどう違うのか、簿記の仕訳で見ていきたいと思います。簿記がよくわからない方はここはざっと見ていただければ結構です。

 

ファイナンスリースの場合

<売却損の場合>

(預金)40000  (建物)50000

(売却損)10000

(長期前払費用)10000 (売却損)10000

<売却益の場合>

(預金)60000  (建物)50000

         (売却益)10000

〇オペレーティングリースの場合

<売却損の場合>

(預金)40000  (建物)50000

(売却損)10000

<売却益の場合)

(預金)60000  (建物)50000

         (売却益)10000

 

税務と会計が一致していないのですが、一応、ここでは税務上の考え方で処理していくこととします。

売却の場合に損が出たときは一度に経費計上はできません。リース期間で案分して費用に計上していくことになります。一方で、売却益が出た場合には、税務上は一括で収入に計上することになります。(会計の考え方だと、一度に収入に計上するわけでなく、いったん「長期前受収益」にしてリース期間に応じて収入計上することになります)

また、オペレーティングリースでは、売却時の差額は売却損か売却益かどちらかで処理することになります。

 

さて、上記は売却時ですが、次はそのあとはどうなるかです。

〇ファイナンスリースの場合

(リース資産)40000  (リース債務)40000

毎月の返済時

(リース債務)800  (預金)1000

(支払利息)200

〇オペレーティングリースの場合

毎月の返済時

(リース料)1000  (預金)1000

 

ということで、ごく簡単にしましたが、ご理解できましたでしょうか。

 

それから、消費税のことも少しふれておきます。消費税については売買取引と判定され場合には、売却価額が課税売上になります。一方で、金融取引とみなされた場合には、売却額は借入金と同じとみなされ、消費税は発生しないことになります。

売買取引か金融取引かについては、当事者間の関係やリース資産の内容等から総合的に判断されます(これは法人税基本通達12の5-2-1に載っている話となります)。

また、ファイナンスリースの場合には返済する際には、リース債務の返済や支払利息であるため消費税は関係しないのですが、ファイナンスリースの場合には支払額全体がリース料となるため、消費税は仕入れ税額控除できることになります。

 

ファイナンスリースなのか、オペレーティングリースなのかによって、会計処理や消費税の処理の仕方がガラッと変わります。これをお読みいただいているのが中小企業経営者の皆さんやその経理担当者だとしたら上記のような処理をするのだとざっくりとまずは理解しておいていただければと思います。

 

さて、朝ドラ「舞い上がれ」に出てくる工場をお兄ちゃんに売却するという話ですが、話の概要からすると、おそらくですが、セールアンドリースバック取引のうち、ファイナンスリース取引なのではないかと思います。お兄ちゃんが社長であるお母さんに「1度でも返済が滞ったらすぐに売りに出すからな」という趣旨の発言をしていることから、たぶん所有権自体はお兄ちゃんにわたっているのではないかと思われるからです。

ただ、このお兄ちゃんが将来的に社長になってこのねじ工場を継いだとすると社長個人に返済するという話になるわけです。その場合、例えば会社の状況が好転したら会社の資金でお兄ちゃんへの借入をいったん返済するというのもアリなのではないかと思ったりするわけです。お兄ちゃんがお父さんの遺志を継ぎ、ねじ工場を引き継ぐなんて話はどうなんでしょうか。

「舞い上がれ」は今後どのように展開していくのか見ものですが、このセールアンドリースバック取引をした工場はどうするのかも注目していくと面白いかもしれません。

 

以上、今日は朝ドラ「舞い上がれ」から見る「セールアンドリースバック取引」のお話でした。


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