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さて、今日は助成金の「生産性要件」という話です。今日のブログは税理士の先生たちにも是非、ご覧になっていただきたいような内容です

 

先日、税理士向けのある研修で講師の税理士の先生がこのような話をされていました。

みなさんは従業員さんの通勤のための交通費をどう経理処理されているのでしょうか?私は『旅費交通費』とかで処理してしまいます。ですが、人件費の一項目として処理される先生も多いようですね。まあ、どちらでもいいのでしょうが・・・

 

このお話を聞きながら、「どっちでもいいわけないよ!旅費交通費か人件費の一項目にするかは、大変な違いなんですけど・・・」と思いながら聞いていました。つまり、この先生のように多くの税理士の先生は、決算書の勘定科目も振り分け方で助成金の受給額が増えるという話自体、そもそも知らないんです。これは、特に中小企業にとっては知らず知らずのうちに損をしているということを意味します。ほとんどの税理士の先生はこのように助成金に対しての理解がないのです。

 

私の以前のブログにも書きましたが、助成金には「生産性要件」というのがあります。

これは簡単にいえば、決算書の「営業利益」に「租税公課」「賃借料」や「人件費」を足した金額を雇用保険の被保険者の数で割って、一人当たりの営業利益を求めるというモノです。それが、3期前の決算と比較して6%以上(一定の場合には6%未満でも1%以上だったらOK)改善していると助成金が増える、というのが「生産性要件」です。

この辺の話は以前の私のブログを参照してください。

 

https://vanguardwan.com/blog/%e5%8a%a9%e6%88%90%e9%87%91%e3%81%8c%e5%a2%97%e3%81%88%e3%82%8b%ef%bc%81%e3%80%8c%e7%94%9f%e7%94%a3%e6%80%a7%e8%a6%81%e4%bb%b6%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%af%e4%bd%95%e3%81%ae%e3%81%93%e3%81%a8%e3%81%8b

 

 

それで問題なのは、この生産性要件というのは決算書の作り方で該当するケースが多くあるということです。中小企業の場合、実際には決算をまとめる作業の中心は税理士です。税理士が勘定科目の振分けもやります。その税理士の先生が「決算書の表示の仕方一つで助成金の金額が増える」ということを知っていればいいのですが、ほとんど知っている人がいないというわけです。

キャリアアップ助成金の場合、有期雇用契約から正社員に転換するいわゆる「正規雇用化コース」だと57万円のところが生産性要件に該当すれば72万円に増えます。決算書の組み方を変えるだけでもらえる金額が増えるんです!

このブログをお読みの方が中小企業の社長さんだったら、顧問税理士の先生にこの話を知っているか、聞いてみてください。

 

さて、では具体的に、決算書の表示の仕方をどのようなことすればいいのでしょうか。代表的なものを三つ挙げてみたいと思います。

 

①通勤手当は「旅費交通費」とせずに「通勤交通費」などの独立科目として人件費扱いにして表示する。

従業員さんの通勤手当は先ほどの研修講師をやっていた税理士の先生のように、会計処理上は「旅費交通費」だろうと「通勤交通費」として人件費の一項目で表示しようと、別にどちらでもいいわけです。ですが、これは税務や会計の側面からの話です。助成金上は、「旅費交通費」としてしまうと不利になります。人件費扱いにしたほうが1人当たりの単価で割る際に有利に働きます。助成金の生産性要件についての説明にこうした記述があります。

「「通勤費」は諸手当の一種として人件費に該当しますが、出張旅費などの「旅費交通費」(通勤費を「旅費交通費」の中に含めている場合を含む)は人件費に該当しないものとします。」

「旅費交通費」としてしまうと「タクシー代」や「出張旅費」のような人件費以外の交通費も含まれてしまうため、この表示ではダメなわけです。

通勤手当は「通勤交通費」のような独立科目で表示しないと人件費としてくれないわけです。

先ほどの講師の税理士の先生も、こうしたことをご存知であれば、「どちらでもいいわけではない」と考えると思います。もし、税理士の先生が知らなかったら、通勤手当は「通勤交通費」と変えてほしいと伝えたほうがいいでしょう。

 

②助成金や補助金収入は「雑収入」で表示せず、販売管理費に費用のマイナスとして表示する。

 

たとえば、キャリアアップ助成金が入金になったとします。ほとんどの税理士の先生は、営業外収益に「雑収入」という科目があり、そこに表示させるはずです。これでは助成金受給上、不利になります。私は、人件費の下に「人件費等補填助成金収入」というような科目を作って、費用のマイナスとして表示します。「雑収入」として表示しようが、「人件費等補填助成金収入」として費用のマイナスとして表示しようが、利益は変わりません。つまり、税務署的には同じなわけです。ですが、「雑収入」で表示してしまうと、営業利益は増えません。販売管理費で「費用のマイナス」として表示すれば営業利益は増えます。営業利益が増えれば、生産性要件を考える際に有利になります。 「雑収入」で表示するのが税務会計をきちんと習ってきた人にはなじみはあるのでしょうが、ここは有利な方の表示でやるべきです。どれだけで助成金が増えるのだったら、少しなじみはなくても「費用のマイナス」でいいのではないかと思います。

 

③研修があったら「研修費」で表示、印鑑証明や住民票などは「雑費」ではなく「租税公課」とする

細かい話ですが、日々の帳簿もこの「生産性要件」を意識して経理処理したほうがいいです。研修に行った際の費用を例えば、「新聞図書費」とか「雑費」といった科目で処理しないほうがいいです。「生産性要件」の算定の際に有利にするには独立した「研修費」などの科目で表示すべきです独立した科目で表示すれば「人件費」として扱われ、助成金上、有利になります。また、細かいですが、民票の取得や納税証明書の取得などの行政に対して払った経費はなるべく「租税公課」としたほうが生産性要件の算定の際には有利になります。日々の経理処理の段階で、勘定科目の付け方をなるべく意識したほうがいいでしょう。

 

ほとんどの税理士は助成金には詳しくないです。そのためにこうした決算書のちょっとした工夫で助成金が増えるということ自体、知らないわけです。知らなかったら、その税理士の先生に教えてあげましょう。このブログをご覧になった特に中小企業の社長さんは自社の経理処理がどうなっているのか、助成金が増える方の経理処理でできているのか、直接、税理士の先生に聞いてみてもいいでしょう。いずれにしても確認してみてはいかがかと思います。

ということで、今日は、助成金の「生産性要件」と決算書にかかわる話でした。

 


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