日本の国家公務員のレベルがここまで低いとは思いませんでした。水増しの人数の多さに驚きました。しかし、それ以上に閣僚たちの弁解の内容のおそまつさにはあきれてしまいました。こんな言い訳で国民が納得すると思っているのでしょうか? (平成30年8月29日朝日新聞) 障害者の雇用の機会を増やそうというのは政府の大きな方針です。そのため企業や役所は、従業員の数に応じて一定の割合の障害者を雇用するよう法律で義務づけています。これが法定雇用率です。今回問題になった平成29年6月1日現在の法定雇用率は民間企業が2.0%、国、地方公共団体は2.3%でした。 厚生労働省はこれまで、国の機関が雇用している障害者は6,867.5人、雇用率は2.49%と発表してきました。ところが、改めて調査を行ったところ、実際に雇用されていた障害者は3,407.5人で、公表されていた数字の半分にも届きませんでした。雇用率は1.19%に過ぎません。法定雇用率など、どこ吹く風です。 障害者を雇用する義務がある国の行政機関は33あります。このうち8割に当たる27の機関で障害者の雇用数が不足していました。つまり、障害者雇用数が大幅に水増しされていました。 水増しが最も多かったのは国税庁です。障害者の雇用数1,415人という公表した数字に対して、実際の障害者は389人でした。残りの1,022人、実に72%が水増しでした。続いて国土交通省で、890人のうち603人が水増しで、雇用されたいた障害者は286人、法務省が3番目で、公表802人のうち539人が水増しで、障害者の雇用は262人でした。過半数どころか、実際の障害者の2倍から3倍を水増しして、法定雇用率を達成したかのように見せかけていました。 こうした数字を見るだけで、国の行政機関がいかにでたらめな人事をやって来たが分かります。「障害者雇用の拡大」などというのは口先だけで、障害者の法定雇用率を守る気など全くないということでしょう。菅官房長官は記者会見で「障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていく立場として、あってはならないこと」と述べて陳謝しました。しかし、なぜ、こんな事態になったのかについては触れず、職員の処分についても、検証チームの検証結果をふまえて適切に対処すると答えたに止まっています。 そもそも、なぜ、こんなことになったのでしょうか? 各省庁の大臣は「障害者の雇用を率先して拡大していく立場にあるものがそれを怠った」を謝罪しました。しかし、原因については「(ガイドラインの)解釈を間違った」「拡大解釈した」と弁解しています。ガイドラインはそんなに曖昧なのでしょうか? 厚生労働省は「水増しの調査結果」と合わせて、ガイドラインを明らかにしています。それには次のように書かれています。 身体障害者であることの確認 身体障害者であることの確認は、原則として身体障害者手帳によって行うものとするが、身体障害者手帳を所持しない者については、次の(1)及び(2)による医師の診断書によって確認するものとする。 (1)身体障害者福祉法第15条の規定により 都道府県知事の定める医師又 は労働安全衛生法第13条に規定する産業医により法別表に掲げる身体障害を有するとの診断書を受けること。 (2)(1)の診断書は、障害の種類及び程度並びに法別表に掲げる障害に該当する旨を記載したものとすること。 マスコミ報道によると、各省庁庁は「原則として」という文言が曖昧で、解釈を間違った、適応を誤ったといっています。具体的には「障害者手帳で確認するのが原則だが、原則ということは、必ずしもそれにこだわる必要はない、つまり、手帳や診断書による確認は省略してもかまわない」と解釈したといいます。本気でそういっているのだったら、直ちに公務員をやめることを勧めます。日本語の解釈能力が失格です。 もう一度ガイドラインを読んでください。そこに書かれているのは、 身体障害者であることは障害者手帳で確認するのが原則ですが、手帳を持っていない人もいるので、その場合は法律で定められた障害があることを証明する診断書を「指定医師」又は産業医に書いてもらって確認してください、 ということです。手帳のない人は確認しなくてもいい、とは書かれていません。診断書以外でもいい、とも書かれていません。解釈の間違いなど起きようのない文章です。この文章の意味が分からない人はやめた方がいいと思います。 新聞報道によると、各省庁では健康診断の結果や職員の自己申告をもとに障害者と認定したと伝えられています。しかし、担当の職員がガイドラインを知らなかったとしたら職務怠慢です。もし、知っていたら無責任を通り越して、犯罪行為だと思います。障害者問題に詳しい弁護士は「障害者を雇いたくないのが本音だろう」と話したという記事もありました。 各省庁はガイドラインの文言が曖昧だと口裏を合わせたように弁解していますが、各省庁が同じような理由で一斉に、障害者雇用の水増しを行っていたことはそれだけで異常だとは思いませんか? これは公務員世界の一種の常識になっているのでしょう。世間の目で見ると公務員のモラルの退廃です。 政府は第三者委員会をつくって経緯や原因を調べ、10月中に再発防止策をまとめるといっています。その際には、なぜこんなことになったのか、経緯や原因追及に止まらず、責任問題を明らかにして欲しいと思います。今回は厚生労働省だけでの問題ではありません。こんな場合、誰が責任を取るのでしょうか? 官房長官か、それとも政府全体を取り仕切る内閣総理大臣の責任か、そこらまで明確に指摘するべきだと思います。 「信なくんば立たず」というのは政治家だけの話ではありません。公務員一人一人が胸に刻むべきことです。最近の役所の不祥事は職員個人の範囲を超えて、公務員不信、役所不信にまで広がりつつあるように思います。公務員制度そのものが時代の変化に対応できなくなっているのかもしれません。 ### |
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