マイナンバーが平成28年1月から運用が開始しました。雇用保険が先行して1月以降運用が開始されたはずですが、実際はどうなっているのでしょうか?
運用開始の時期は以下の通りです。
雇用保険・・・平成28年1月~
社会保険(健康保険・厚生年金)・・・平成29年1月~(予定)
税務申告・・・平成28年分の申告~
上記のように、雇用保険が先行して運用が開始されています。つまり、現状ですでに雇用保険の資格取得届や離職票の発行などの手続きには、マイナンバーが必要になっています。さらに、育児休業給付や高年齢継続給付などの手続きにも同様に、マイナンバーが必要なわけです。
しかし、現状はどうなのでしょうか?
先日、社労士会の研修に雇用保険の手続きを実際に行っているハローワークの職員が来て、講師としてマイナンバーについてのお話をしていました。
その話によると、実際に、現時点でマイナンバーの記入されている届出書は、全体の届け出のうちの5%だそうです。つまり、9割以上、ほとんどの届け出がマイナンバーは書かずに届け出を出しているんですね。
これはいろいろな理由があると思いますが、行政の側も積極的にはマイナンバーを書かせようとはしていないことが大きな要因なような気がします。
私もある届出をマイナンバーを記載した形で提出したのですが、その際にハローワークの職員に「一括で提出していただいたほうがいいですよ」と言われました。
これはどういう意味でしょうか?
雇用保険の資格取得届や離職票などは、新様式では個人番号を記載する欄がありますが、旧様式(平成27年12月までの様式)にはマイナンバーを記載する箇所はありません。この場合、旧様式で提出するのでマイナンバーを記載しない場合には、この届け出とは別に「個人番号届出書」という別の様式の書類にマイナンバーを記載して、マイナンバーを提出することになっています。
ですが、マイナンバーは、事業所ごとに一括で「個人番号登録届出書(連記式)」というのがあり、これに従業員分を全員記載して一括でマイナンバーを提出することができるんです。実は、ハローワークとしても、手続きの都度、マイナンバーを提出されるよりも、従業員全員分、一括で提出してもらったほうがやりやすいようなんです。
ということで、ハローワークとしては、マイナンバーを記載するんだったら事業所ごとに全員、記載してもらうか、まったくマイナンバーは記載せずに提出してもらうか、のどちらかの方がやりやすい(という印象があります)ようなんです。
平成28年1月以降の雇用保険の手続きには、マイナンバーが必要だと思って、マイナンバーを記載して出した方もいたかもしれませんが、出すのであれば、一度、従業員全員分を「個人番号登録届出書(連記式)」で提出してからにした方が良さそうです。
ちなみに、これは私が個人的に考えることですが、マイナンバーは実際には、平成28年の年末調整くらいまでに集めておけばいいのではないかと思っています。雇用保険は先行して平成28年1月から運用開始していますが、実際の運用状況がそんな感じなので、慌てて対応しなくてもいいのかなと思っています。
ということで、今日はマイナンバーの実際の運用状況の話でした。