確定申告の時期ですね。治療院はご自分で申告される方も多いので、この時期、気をもむ人も多いことでしょう。私の顧問先でも、確定申告自体はご自身でやられる方も多いです。今日は、治療院が特に気を付けるべき確定申告のポイントをいくつか挙げてみました。
まず、大前提として、治療院であろうなかろうと、確定申告の一般的なチェックポイントは同じようなところにあると思います。今日は、治療院特有の確定申告のポイントをいくつか挙げてみました。
① 棚卸をする
これは結構、やっていない治療院も多いようです。そもそも「棚卸って何」という先生方も多いでしょうね。治療院の棚卸は、期末、つまり、12月31日時点で使っていない治療に直接使う材料のことです。サポーターや包帯、シップ、鍼などのことです。これを期末時点で使っていないもの数えることを棚卸と言います。
なぜ棚卸が必要かといえば、期末時点で残っていたということは、使っていなかったということになるため、費用から除いて計算する(来年の費用にする)ということです。治療に直接使う材料は、使って初めて費用になるという考え方です。逆にいえば、使ってなくて残っていたのなら、これは費用ではないという話です。
とはいえ、12月末時点で棚卸をしていないという人も多いでしょうね。その場合には、12月末に仕入れたサポーターや包帯などから概算で計算してみましょう。おおよその計算でもしているのとしていないのとでは大違いです。棚卸は必ずやりましょう!
② 保険診療の期末の残高を把握する
保険診療の場合、何らかの請求団体を使っている治療院の先生方は多いと思います。その請求団体の12月末の残高をきちんとあわせるようにしましょう。請求団体のよっては、12月末時点の残高一覧を出してくれるところもあります。その場合には、残高を出してもらい、12月末時点の保険診療の売掛金残高をあわせましょう。
さて、これはなんのためにするのでしょうか。
治療院の先生方はお判りでしょうが、治療院の保険請求には返戻がつきものです。つまり、健康保険などの保険診療では、治療して請求してももらえないことが多々あります。理由はいろいろですが、ともかく請求時点で売り上げを立てても実際には入金がないということはよくある話です。それを調整する作業を期末で行うわけです。
12月末時点の経理上の売掛金の残高と実際の売掛金の残高の差額を売り上げのマイナスという処理をして残高を合わせる作業をする必要があります。
③ 自賠責保険の売掛金が計上されているか確認しよう!
交通事故の治療などで自賠責保険による治療が行われる場合、保険会社に請求しますが、これも数か月分たまってから入金されたり、保険会社によっては支払いを一時保留にされることがあります。これも保険診療と同様、理由は様々ですが、とにかく、治療をしていてまだ入金のない自賠責保険の金額をきちんと確認して、その金額は売り上げに計上するようにしましょう。
④ 窓口の現金の残高をきちんとあわせましょう。
これは現金管理という意味で重要です。特に、窓口で患者さんから預かる現金の12月末時点の残高をきちんと青色申告決算書の現金とあわせるようにしましょう。12月末でいくら置いていたのか、きちんと思い出してくださいね。その残高を青色申告決算書の貸借対照表の現金とあわせるんです。(ただし、白色申告だったり、青色青色申告特別控除を10万円の控除しか使わないのであれば関係ない話です)
なぜこれが大事かと言いますと、税務調査などでは窓口現金の管理方法が重要なポイントの一つでもあります。きちんと現金を合わせて管理しているというのは税務署へのアピールの意味もあり重要です。
また、これも忘れしがちですが、12月末時点で患者さんからの窓口現金でもらっていないものがあればそれも「未収金」として収入計上しましょう。
治療院特有のポイントで代表的なものはこんなところです。
あとは、減価償却をしたり、未払金(支払は1月以降で、12月までに買ったりサービスの提供を受けたもの)の処理などは、治療院でない業種と同じです。
治療院特有の経理処理にも注意を払いながら、3月15日の期限までに確定申告を済ませましょう!