さて、今日は社会保険の調査についてです。
私の顧問先でも、社会保険の調査についての案内の文書が届き、「こんなのが届いているんですけど、どうしたらいいんですか?」と不安そうにお電話いただいたりすることもあります。この社会保険の調査とはどんなものなのかについて書いていきたいと思います。
社会保険の調査として代表的なものは二つあります。
一つは「〇月△日に事業所へお伺いして調査したい」というものです。年金事務所の職員が会社へ行って調べるというものです。税務調査の社会保険版のようなイメージですね。
もう一つは、年金事務所へ出向くというものです。通常は、算定基礎届の案内と一緒か、それよりも少し早く会社に案内が届きます。
どちらの調査も以下のような書類を求められます。
・賃金台帳
・タイムカード(出勤簿)
・就業規則
・雇用契約書
・源泉所得税の納付書の控え
・社会保険の提出書類の控え
さて、これらを求めて、年金事務所の職員は何を調べているのでしょうか?
見ている項目はおおよそ次のようなものです。
・社会保険に加入すべき者を加入させているか
もっとも重点的に見ているのはここでしょう。
規定上は、常勤者の4分の3以上の労働時間がある場合、社会保険に加入しないといけません。たとえば、よくあるケースとしては、パート・アルバイトで勤務時間が増えているようなケースで、社会保険に加入していない場合です。社会保険の調査ではほぼこの点をチェックしているといっても過言ではないでしょう。
たとえば、常勤者の勤務時間が月間170時間だったとすると、月間の勤務時間が約130時間を超えているような方は社会保険の加入対象になる可能性があります。
もちろん、たまたまその月だけが130時間を超えてしまうということもあるはずです。たまたまなのか、常に130時間を超えているのか、その辺を賃金台帳、タイムカード、雇用契約書などから確認していくわけです。
賃金台帳・タイムカード(出勤簿)、雇用契約書などから判断して、社会保険の加入について、調査のあった日以前にさかのぼるということもあり得ます。遡りは調査時点から最大で2年です。2年分の社会保険料となると結構な金額になってしまいます。
調査がある場合、この社会保険に入らないといけないのに入っていない人、特にパート・アルバイトを重点的に再度、調べて調査に臨む必要があります。
・新規採用者の加入年月日が適正か
これもチェックポイントです。
会社さんによっては「試用期間中は社会保険には加入しないことになっている」と言われることがあります。これは社会保険加入の基本的なルールからは外れています。2か月以上の雇用契約のある者については、加入義務があります。逆に、雇用期間が2か月未満である者については社会保険に加入する必要がないことになります。ただし、この場合であっても2か月たった時点で継続して雇用されているのであれば加入義務が発生します。
・賞与の支払いがされている場合、給与から天引きして賞与支払届が提出されているか
賞与の支払いがあって、賞与支払い届が出ていなければ、これは指摘事項です。またきちんと給与から社会保険料が天引きされているのかも確認されます。
・報酬の変更があった場合、月額変更届がきちんと出ているのか
社会保険料は、算定基礎届の提出があって毎年9月分の社会保険料から改定が行われます。
原則的には、その社会保険料は1年間同じ金額です。しかし、年の途中で①固定的賃金(基本給など)に変動があり、②3か月以上の給与を平均した金額が③社会保険料の料率表で二等級以上変動があった場合、月額変更があって、9月を待たずに社会保険料が変更されることがあります。この月額変更の要件に該当するのか、該当しているのであれば月額変更届が出されているのかもよく確認されるポイントです。
今日はここくらいまでにしましょう。
次回、社会保険の調査ではどのような点に注意したらいいのか、お伝えしたいと思います。