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Category Archives: 社会保険・労働保険

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さて、今日は顧問先からあったご質問を元に書いていきます。社会保険の延滞金についてです。税金の延滞金と混同しがちですが、取り扱いが異なりますのでその辺を見ていきたいと思います。

 

ご質問いただいたのはこのような内容でした。

社会保険料と労働保険料の納付が未納になっているものがあります。これに加えて、賞与の社会保険料も未納になっています。まだ延滞金はかかっていないのですが、いつから延滞金がかかるようになるのでしょうか。

 

比較の意味で、まず、税金の延滞金についてみていきましょう。

税金については納付期限が基準となります。納付期限を1日でも過ぎると延滞金がかかります。延滞税の額は、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて計算され、課されます。

 

その一方で、社会保険料の延滞金です。

これはまずは本来の納付期限まで納付がされないときは「督促状」が送付されます。実は社会保険の延滞金はこの督促状の発送がポイントとなります。督促状に「〇月〇日までに納付を要する」と納付の期限が記載されます。この督促状の指定する期限までに納付がされないときにはじめて延滞金がかかります。

逆に言えば、本来の納付期限までに納付ができなかったと言ってもすぐに延滞金がかかるわけではありません。本来の納付期限までに納付がされなくても、そのあとに発せられる督促状に従ってその督促状に記載されている期限までに納付がなされれば、延滞金はかからないことになります。

 

督促状に記載されている期限までに納付ができなかった場合には延滞金が課されますが、この延滞金の計算をする際は本来の納付期限の翌日から納付した日の前日までの日数に応じて課されます

つまり、延滞するときに計算する方法は税金を延滞したときと同じ計算方法となります。

 

この延滞金のルールは社会保険料だけでなく、労働保険料にも共通したルールとなります。

労働保険もやはり督促状が発せられてその期限までに納付ができなかった場合に延滞金がかかります

 

社会保険料と労働保険料の延滞金がいつからかかるのか、参考になさってみてください。



今日は新型コロナの傷病手当金の取り扱いの特例の話です。あくまでも臨時的な取り扱いであることはまず確認しておきましょう。

そのうえで、これは新型コロナウィルスに罹患して、仕事を休業しその間、有給ではなかった人(欠勤控除の扱いをされた人)の傷病手当金の特例です。今日はこれを見ていきましょう。

 

まず対象となる者は以下に該当する方です。

 

次の①、②に該当する方で、傷病手当金の支給要件を満たしている方が対象です。

①自覚症状があり、労務が困難な場合

② 自覚症状はないが、医療機関を受診し、PCR検査を受けた結果、「陽性」となった場合

自覚症状とは、風邪の症状や37.5℃以上の発熱、または、強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)があるような場合です。

ですから、たとえば、濃厚接触者であっても自覚症状がなく、PCR検査の結果「陰性」の方は、そもそも傷病手当金の支給の対象にはなりませんのでご注意ください。

 

この新型コロナに該当した場合の傷病手当金ですが、令和4年8月9日以降に申請を受け付けたものに関して、当面の間の取り扱いとして、傷病手当金支給申請書(2ページ目 被保険者記入用)の申請内容3 発病時の状況欄に発症年月日、発症時の症状等を記入いただくことで、担当医師の証明や公的な通知書の添付は不要となっています。

また、これが特徴的なのですが、2ページ目の傷病名の欄に「新型コロナウィルス感染症」と書いている方については、当面、4ページ目の【療養担当者記入用】の欄に担当医師の証明をかいていただくのですが、このページは記入しなくていいことになっています。

 

ただし、申請者の請求期間が14日以上の場合は、「療養状況申立書(新型コロナウイルス感染症用)」の添付が必要となります。「療養状況申立書」は協会けんぽのHPにもひな形がありますから確認してみてください。

 

また、療養14日以上の方で、審査したうえで必要がある場合には、公的な通知書等の提出や日ごとの症状の確認をお願いすることもあるそうです。

 

公的な通知書の一例としては、「My HER-SYS(マイハーシス)」の療養証明書を印刷したものや、保健所発行の「宿泊・自宅療養証明書」の写しや「就労制限通知書」の写しといったものになります。

 

また、従来から、国民健康保険には傷病手当金はありませんが、新型コロナウィルスに感染してお仕事を休まれ、その間、給与がなかった(収入がなかった)国民健康保険の加入者については、世帯主に対し、次のとおり傷病手当金を支給することがあります。これは個々の自治体に確認した方がいいでしょう。

 

新型コロナウィルスに罹患した国民健康保険の傷病手当金の要件は主に次のものです。

  • 新型コロナウイルス感染症に感染し、又は発熱等の症状があり感染が疑われることにより、療養のため労務に服することができなくなったこ
  • 3日間連続して仕事を休み、4日目以降にも休んだ日があり、4日目が令和2年1月1日から令和4年12月31日までの間に属すること。
  • 給与等の支払いを受けられないか、一部減額されて支払われていること。

 

また、支給期間も個々の自治体によりますが、令和2年1月1日から令和4年12月31日までで、最長1年6か月としているところが多いようです。期間についても確認してみてください。

 

 

健康保険の傷病手当金や、国民健康保険の傷病手当金の両方の共通する注意点としては、支給申請には時効があることです。傷病手当金の支給申請ができることとなった日から2年間です。2年を過ぎてしまうと申請できませんのでこの点は要注意です。

 

以上、傷病手当金のコロナ特例の話でした。



10月1日からは社会保険・雇用保険などが法改正でいろいろと変わります。10月1日という日付でここまでいろいろと変わるというのも珍しいかもしれません。今日は経営にかかわるという視点から10月1日から変わるものを見ていきたいと思います。

 

〇雇用保険料率の改正

10月1日から雇用保険料率に改正があります。給与計算にも影響がありますから注意が必要です。

 

4月1日~9月30日についても改正がありましたが、労働者負担分には変更がありませんでした。

労働者負担分は、一般の事業の場合、3/1000、農林水産・清酒製造の事業・建設の事業の場合、4/1000でした。

これが、10月1日からは一般の事業の場合、5/1000、農林水産・清酒製造の事業・建設の事業の場合、6/1000に改正になります。

 

ちなみに、労働者負担分も含めた雇用保険料率は4月1日から9月30日では一般の事業は9.5/1000、農林水産・清酒製造の事業では11.5/1000、建設の事業は12.5/1000でしたが、10月1日以降は一般の事業は13.5/1000、農林水産・清酒製造の事業では15.5/1000、建設の事業は16.5/1000と変わります。

 

労働者負担分の変更があるため、給与計算に影響がありますので、10月以降に支給する給与では注意が必要です。特に給与の締め日が9月末で支給日が10月以降になるような場合です。この場合、支給しているのが10月でもあくまでも9月分の給与なので、9月分の給与(10月支払い分)は従前の雇用保険料率で、改正後の雇用保険料率で給与計算するのは10月分の給与(11月支払い分の給与)となりますので注意が必要でしょう。

 

〇最低賃金の変更

 

都道府県ごとにことなりますが、10月1日から変わります。

首都圏が一番高い時給となり、東京都は1041円が1072円に、神奈川県は1040円が1071円にそれぞれ変わります。変更するのは10月1日からですが、たとえば給与の締め日が15日締めの場合、9月16日から9月30日の時給と10月1日から10月15日の時給を変更しないといけないかというとそこまで厳密に考える必要はありません。この場合、10月16日~11月15日締めの給与から改定すればいいとされています。あわせて確認してみてください。

 

〇出生時育児休業の新設と育児休業分割取得、育休開始時期の柔軟化

育児休業制度が改正され、パパ休暇が出生時育児休業と育児休業分割取得に見直され、施行されます。新しくできる出生時育児休業の対象となるのは、産後休業をしていない労働者(日雇い労働者を除く)です。男性は産前産後休業がないので、この「出生時育児休業」の対象となるのは、原則的には男性になるはずですが、一定の場合(養子縁組している場合や、専業主婦【主夫】の場合)には女性が対象になる場合もあります。

対象期間は子の出生後8週間以内に4週間(28日)までです。休暇の取得回数分割して2回までで、分割して取得したい場合には初回申請時にまとめて申出をする必要があります。

また、1歳以降の育児休業開始時期が柔軟化され、夫婦交代での取得が可能となります。配偶者が1歳以降の育児休業を原則の育休開始日から取得する場合、もう一人は配偶者の育児休業終了予定日の翌日以前を育児休業開始日とできるというものです。原則として、この1歳以降の育児休業は、1歳到達日の翌日から1歳6ヶ月到達日まで、1歳6カ月から2歳までの育児休業は1歳6カ月に到達した日の翌日から2歳までとなります。

これら改正に合わせて、企業側は就業規則の改正等の措置をして、対応する必要があります。

 

〇雇用保険に出生時育児休業給付金が創設

上記の育児休業の改正に伴い、雇用保険の育児休業給付も改正され、新しく「出生時育児休業給付金」が創設されます。この「出生時育児休業給付金」は、雇用保険の被保険者の方が、子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、出生時育児休業を取得した場合、一定の要件を満たすと支給を受けることができるというものです。

主な支給要件は次の通りです。

  1. 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するため出生時育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
  2. 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。
  3. 休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること。
  4. (期間を定めて雇用される方の場合)子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は、出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、その労働契約の期間が満了することが明らかでないこと。

 

また、出生時育児休業給付金の支給対象期間中は最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)まで就業することが可能です。休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。たとえば、14日間の休業の場合には、最大で5日(5日を超える場合は40時間)が就業可能日数となります。

 

〇育児休業期間中の社会保険料の免除要件の見直し

育児休業期間中の社会保険料の規定が10月1日から変わります。従来は月末時点に育児休業期間がかかっていれば社会保険料が免除される規定でした。そのため、月の途中から育児休業を開始し、月の途中で育児休業が終了する場合、社会保険料が免除される対象にはなりませんでした。これが10月1日以降は育児休業期間が同月中に14日以上ある場合、社会保険料が免除されることになります。

また、賞与の社会保険料についても、従来は育児休業期間に月末が含まれる月に支給された賞与に係る社会保険料は免除されていました。これが、賞与の社会保険料の場合、1か月を超える育児休業を取得したときに限り、育児休業期間に月末が含まれる月に支給された賞与の社会保険料が免除される形に規定が改正されます。

 

この論点は前回の私のブログを参照してみてください。

育児休業期間中の社会保険料免除制度が10月1日から変わります!

〇社会保険の適用拡大

社会保険の適用対象が拡大されます。

従来は事業所の規模が常時500人超の事業所について、賃金要件(月額8.8万円)、労働時間要件(週労働時間20時間以上)、勤務期間要件(1年以上継続して使用される見込み)であり、かつ学生でない場合、という要件に該当する場合、健康保険・厚生年金への加入義務が生じる形でした。

これが、事業所の規模が常時100人超に変更され、また、勤務期間要件が1年以上継続して使用される見込みというのが2か月を超えて継続して使用される見込みに改正されます。

 

また、2か月を超えて継続して雇用されるというのも、細かく要件が見直され、「2か月以内の期間を定めて使用され、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれない方」のみが社会保険の加入義務がない形となっています。したがって、たとえば2か月の雇用契約を更新していくような場合は加入義務があるということになっていますのであわせて注意が必要でしょう。

 

なお、社会保険の適用拡大は令和6年10月からは、常時100人超の事業所から常時50人超の事業所に変更となります。該当する中小企業の数が大幅に増えることが予想されますので今から確認しておく必要があります。

 

〇個人経営の士業も社会保険の適用対象

これはいわゆる士業の個人事業所の話です。

護士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、弁理士など士業の事務所で個人事業としてやっている場合、これまでは社会保険の適用対象ではありませんでした。それが常時5人以上を雇っている士業の事務所も社会保険の適用対象となります。

 

税理士向けの新聞などを私も読んでいますと、この点について書かれていることが多いので税理士はご存じの方が多いようですが、該当する場合には注意が必要です。

 

〇安全運転管理者によるアルコールチェック義務化等

従来、緑ナンバーの自動車に課されていたアルコールチェックが、乗車定員11人以上の車を1台以上、または、その他の自動車を5台以上使用する事業所の白ナンバー自動車を使用する企業にも適用されることとなりました。運転前後のアルコールチェックでアルコール検知器を用いなければならないこととされています。該当する場合には、早急に対応が必要でしょう。

 

〇  「介護職員等ベースアップ等支援加算」がスタート

介護事業所特有のもので、処遇改善のための加算はこれによって3本立てとなります。

新設されたベースアップ等加算は、今年2~9月に実施された介護職員処遇改善支援補助金の目的を引き継ぐ施策です。既存の介護職員処遇改善加算を手厚くする位置づけで設定された介護報酬になります。

加算はこの他に、経験・技能のある介護職員にフォーカスした介護職員等特定処遇改善加算があります。ベースアップ等加算は、処遇改善加算を算定している事業所であれば申請でき、加算額の3分の2を介護職員等のベースアップ等に使用することが要件となります。

 

10月からの改正項目を列挙してみましたが、ご覧にように改正される項目が多いことがわかります。このほかにも後期高齢者のうち一定所得以上の者の窓口負担の割合が2割になったり、企業型DC加入者のiDeCo加入要件の緩和などもあります。ほかにも、職業安定法の改正などもあります。求人の際の情報を的確な表示が義務付けられるなどすることから、求人の際にも影響が少なくないでしょう。

4月1日ではなく10月1日という年度の途中での改正でこれだけ多いのも珍しいのではないかと思っています。

上記の改正項目について、ご存じなくてまだ対応していないものがあればこれからでも遅くないです。早めに対応していきましょう!



今日はこの10月1日から改正がある項目の話です。

育児休業期間中の社会保険料の取り扱いの話です。

育児休業されている方がいる会社さんは給与計算に影響がありますので必ず知っておく必要があります。

 

まずはこれまでの育児休業期間中の社会保険料の取り扱いを確認してみましょう。

これまでは月末時点で育児休業を取っているかどうかが問題でした。

ですので、たとえば3日しか育児休業を取っていなかったとしても、月末時点で育児休業を取っていれば社会保険料が控除されないことになっていました。

また、逆に、2週間くらい育児休業をした方があったとしても育児休業期間に月末がかかっていないと社会保険料は免除されない結果となってしまいました。

 

これは毎月の給与から天引きされる社会保険料だけでなく、賞与の社会保険料についても同様の取り扱いでした。育児休業期間に月末が含まれる月に支給された賞与は社会保険料が天引きされなかったわけです。

とにかく月末時点で育児休業をとっているかどうかで判断されていたというのが9月30日までの取り扱いなわけです。

 

それが、令和4年10月1日以降は、月末時点で育児休業を取っていた場合に加えて、月末時点で育児休業を取っていなくても、14日以上育児休業を取っていれば社会保険料が免除されることになりました。

 

男性の育児休業の場合、女性の場合と異なり、まだ期間が短いものが多いのが実態です。2週間・3週間程度の育児休業というのも男性の場合には多いです。私も実務に携わっているとそれは実感します。そうした場合でも、14日以上であれば社会保険料の免除の対象になるわけです。

 

また、賞与の社会保険料については「1か月を超える育児休業を取得したとき」に限って育児休業期間に月末が含まれる月に支給された社会保険料が免除されることになりました。

これはたとえば、9月10日~10月15日に育児休業を取った方がいた場合、もし9月に支給される賞与があれば社会保険料が免除されるということです。

 

今回の改正は社会保険料削減スキームというようなものを防ぐ一環のようなもののようです。給与計算の際にも育児休業を取っている方について従来と少し取り扱いが変わりますので注意が必要でしょう。また、特に男性の育児休業は期間が短くなる傾向があるので、注意が必要といえるでしょう。

 

以上、10月1日から変わる育児休業の社会保険料の話でした。



さて、ブログ更新が久しぶりとなりました。今日は国民健康保険の話です。
解雇や雇止めなど、本人が退職を申し出たわけでない理由で退職し、その後、市区町村の国民健康保険に加入した場合、国民健康保険が安くなるという話です。

会社を離職したかたのうち非自発的失業者(雇用保険の特定受給資格者及び特定理由離職者のかたのことをいいます。これについては後で説明します。)の国民健康保険税は申請により最大2年間軽減されます。

具体的には、雇用保険の離職票の離職理由がどうなっているかが問題となるわけです。
離職理由が次のコードになっている方が国民健康保険の軽減対象となります。

特定受給資格者(理由11,12,21,22,31,32)特定理由離職者(理由23,33,34)

特定受給資格者というのは、倒産・解雇等の事業主の都合により離職した人を言います。また、特定理由離職者というのは、雇用期間満了などにより離職した者をいいます。

この離職理由が何番になるのかというのは、「雇用保険受給資格者証」で確認します。失業したあと、会社で手続きしてもらった「離職票」をもって本人がハローワークに行きます。ハローワークで失業給付の受給手続きをした後、あらためて開催される受給説明会で渡されるのが「雇用保険受給資格者証」です。失業手当を受け取る資格(受給資格)を証明するもので、失業給付の認定日には必ず必要なものになります。
その「雇用保険受給資格者証」の「離職理由」の欄に何番と書いてあるのかが問題になるわけです。

また、この国民健康保険の軽減の特例を受けるには、離職した時点で65歳未満の方に限ります。加えて「特定受給資格者」や「高年齢受給資格者」という区分の方は対象外となりますので注意しましょう。

さて、では、国民健康保険の軽減はいつまであるのでしょうか。対象となる期間は「離職日の翌日から翌年度末まで」で、国民健康保険の加入期間に限ります。ですから、たとえば、再就職して会社の健康保険に加入した場合など、国民健康保険を脱退すると終了します。また、仮に、いったん国民健康保険を脱退した後、再度国民健康保険に加入した場合には、また改めて申請することが必要です。

そして、問題なのは国民健康保険料が実際、いくらになるかです。
国民健康保険税は、加入者全員の前年の所得により算定しますが、前年の所得のうち、離職者本人の給与所得を100分の30とみなして保険税を算定されます。
つまり、前年の所得の3割(70%マイナス)で計算されます。
前年の所得の3割で計算されるのでかなり軽減されるはずです。

また、国民健康保険料で注意が必要なのは、給与以外の所得がある場合、その所得については軽減されず、100/100で計算されます。また、国民健康保険の計算は、世帯に属する他の被保険者の所得も計算しますが、軽減対象になる方以外の保険料は、通常の計算方法となります。

この軽減制度を受けるためには、黙っていても保険料が安くなるわけではありません。市区町村の国民健康保険課の窓口へ行って手続きすることが必要となります。あくまでも申請が必要なわけです。
その手続きをするには、すでに国民健康保険に加入していたら国民健康保険証を持参するのはもちろんのこと、その他に雇用保険受給資格者証(原本)、あとはマイナンバーカードなどのマイナンバーを確認できるものも必要となってきます。これらを持参して手続きしてください。

事業主の皆さんもこれらの制度の概要くらいは知っておいた方がよろしいのかと思います。
ということで、今日は国民健康保険の軽減の話でした。



今日はこの10月1日から改正される被用者保険の適用拡大の話です。現在はどういう要件の人が健康保険・厚生年金に入らないといけなくて、どう改正されるのか、確認していきたいと思います。

 

まず、現在の制度を確認していきましょう。

厚生年金保険・健康保険に加入する基準は労働時間や所定労働日数によります。

正社員でない短時間労働者であっても「1週の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」が、同じ事業所で働いている正社員(この法律では「通常の労働者」と呼ばれます)の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上の短時間労働者は厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。これを「4分の3基準」と呼んでいます。

この4分の3基準に加えて、平成28年10月1日以降は4分の3に満たない人であっても次の5つの要件を満たせば厚生年金・健康保険に加入することとなりました。

① 1週の所定労働時間が20時間以上であること。

② 雇用期間が継続して1年以上見込まれること。

③ 月額賃金が8.8万円以上であること。

④ 学生でないこと。

⑤ 以下のいずれかの適用事業所に使用されていること

(ⅰ)「特定適用事業所」

(ⅱ) 労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った特定適用事業所以外の適用事業所

(ⅲ) 国又は地方公共団体の適用事業所

 

この上記の取り扱いのポイントは会社が「特定事業所」に該当するかどうかです。特定事業所というのは、「被保険者の総数が常時500人を超える」事業所をいいます。法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12 か月のうち、6か月以上500 人を超えることが見込まれる場合を指しています。

中小企業を想定しているわけではなく、仮に中小企業であったとしても少し人数の多い会社を想定していることがわかります。

 

さて、これが令和4年10 月1日以降どう変わるかです。

10月1日以降の要件は以下の5つになります。

① 1週の所定労働時間が20時間以上であること。

② 雇用期間が2か月超見込まれること

③月額賃金が8.8万円以上であること。

④ 学生でないこと。

⑤ 以下のいずれかの適用事業所に使用されていること

(ⅰ) 特定適用事業所

(ⅱ) 労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った特定適用事業所以外の適用事業所

(ⅲ) 国又は地方公共団体の適用事業所

 

このうち特定適用事業所については、令和4年10 月1日から、特定労働者の総数が常時500 人を超える企業から、常時100 人を超える企業に引き下げられることになります。

 

つまり、変更点は二つになります。

一つは「雇用期間が継続して1年以上見込まれること」という要件が「2カ月超」に変わります。そして、もう一つは、対象となる企業が常時500人超の企業から100人超の企業に範囲が拡大されます。

 

これによって新たに70万人近くが厚生年金・健康保険に加入すると試算されています。

 

そしてこの特定適用事業所の要件は、2年後の令和6年10月1日からはさらに、常時50人を超える企業にまで拡大される予定です。この改正によって、かなりの多くの中小企業がこの改正の影響を受けるものと予想されます。

 

さて、上記の5つの要件をもう少し見ていきましょう。

これは、顧問先からもご質問をいただくのですが、これはいずれか一つを満たせば要件を満たすものではなく、いずれも該当した場合です。どれか一つに該当すると社会保険に加入しないといけないと戦々恐々されている事業主もいっらっしゃいますが、そうではないです。

また、今回の改正によって、年金を受給している短時間労働者も該当するのかというご質問をいただくこともあります。つまり、それによって年金の一部が支給停止になることがあるのか、というものです。これについては、もし厚生年金・健康保険の加入要件に該当して加入することになったとすると、もらっている年金が支給停止になる可能性はあり得ます。ですので、この辺は該当しそうな方については事前にアナウンスが必要となってくる部分かと思います。

 

今回の改正は特に特定適用事業所の拡大の部分が影響が大きい部分かと思います。100人超もしくは50人超という部分で該当しそうな企業は、施行前から事前の準備が大事な部分です。怠りないようにしましょう。

ということで、今日は社会保険の適用拡大の話でした



ブログの更新が久しぶりとなりました。

今日はいくつかの顧問先からいただいている質問で、今年の労働保険の申告書はどうやって書けばいいのかというご質問にお答えしたいと思います。

 

まずその話をする前に、令和4年は9月30日までと10月1日以降で雇用保険の保険料率が変わります

一般の事業の場合、9月30日までが9.5/1000(労働者負担分は3/1000)で、10月1日以降は13.5/1000(労働者負担分は5/1000)となります。

 

ちなみに農林水産業等は9月30日までが11.5/1000(労働者負担分は4/1000)、10月1日以降は15.5/1000(労働者負担分は6/1000)、建設業は9月30日までが12.5/1000(労働者負担分は4/1000)、10月1日以降は16.5/1000(労働者負担分は6/1000)となっています。

 

1年の途中で雇用保険料率が変わるということは、労働保険の申告書のうち、特に概算保険料の欄をどう書いていったらいいのかというのが実務上の問題が生じてきます。実際、今年の労働保険の申告書はどうやって書いていったらいいのか、具体例を交えてみていきたいと思います。

 

まず、9月までと10月以降と雇用保険料率が変わるので、雇用保険に関しては前半と後半で分けて計算を出す必要があります

確定保険料で出した年間の算定基礎額をそのまま使う場合、その年間の算定基礎額を2で割ります。それを9月までの保険料率と、10月以降の保険料率でそれぞれ掛けて計算を出し、最後、その二つを足すという計算方法になります。

 

具体例でみていきましょう。

 

年間の雇用保険の保険料算定基礎額が13,651千円で、確定保険料で使った金額をそのまま概算保険料の計算に反映させるものとします。また、保険料率は一般の事業だったとします。

 

まず9月30日までを出します。

まず、13,651千円÷2=6,826千円となります。細かい話ですが、9月30日までの保険料については2で割った千円未満の端数があれば切り上げて計算します。これに9.5/1000を掛けた金額が64,847円となります。

次に10月1日以降を出します。

まず、13,651千円÷2=6,825千円となります。細かい話ですが、9月30日まではここで千円未満切り上げをしましたが、10月1日以降の計算ではここで千円未満は切り捨てます。この6,825千円に13.5/1000を掛けた金額で、92,137.5円となります。この時点では円未満の端数は切り捨てしません。

9月30日までの64,847円と10月1日以降の92,137.5円の合計156,984円(ここで円未満の端数を切り捨てします)が概算の方の雇用保険料の金額となります。

 

気を付けたいこととしては、これは概算保険料の金額の計算です。確定保険料の計算には変更はありません。一般の事業であれば9/1000で計算します。確定保険料の欄は9/1000で計算することに変更はありません。

 

また、雇用保険料率の欄は9月30日までと10月1日以降で違うので2段に書くのかという点も疑問としてあると思います。こちらに関しては保険料率の欄は特に書かずに空欄でいいということになります。

 

それから、この計算方法はあくまでも雇用保険の話です。労災保険の方に変更はありませんので改めてご確認ください。

 

9月までと10月以降で雇用保険の計算の元となる算定基礎額が違うことが見込まれるのであればその数字を使って計算していくことも考えられます。上記の具体例で見た計算の仕方は、原則通りのもので、確定保険料の金額をそのまま概算保険料に使う場合の話です。

 

今年は雇用保険料率は年度の途中で変わるという少しイレギュラーな年です。

上記を踏まえて申告書を作成してみましょう。

 

ということで、今日は労働保険料の申告書の話でした。



令和2年に成立した年金制度改正法の施行により令和4年4月から年金制度が一部変更になります。改正の内容について、今日は書いていこうと思います。

 

改正の内容は6点です。一つずつ見ていきましょう

 繰下げ受給の上限年齢引上げ

令和4年3月までは、老齢年金の受給開始時期は、自身の希望により60歳から70歳の間で選択することができ、老齢年金を66歳以後に受給開始(繰下げ受給)する場合、年金額は65歳から繰り下げた月数によって増額(1月あたり0.7%増額)しました。それが、令和4年4月から繰下げの上限年齢が70歳から75歳に引き上げられ、年金の受給開始時期を75歳まで自由に選択できるようになります

 

対象となる方は令和4年3月31日時点で、次の①②のいずれかに該当する方です。

① 70歳未満の方 (昭和27年4月2日以降生まれの方)

②老齢年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過していない方 (受給権発生日が平成29年4月1日以降の方)

 

まとめますと、繰下げの上限年齢は75歳です(増額率上限:84%(120月))。対象となる方は昭和27年4月2日以降生まれであって、受給権発生日が平成29年4月1日以降の方となります。65歳以後もお仕事をされている方は検討されてみてはいかがかと思います。

 

繰上げ受給の減額率の見直し

繰上げ受給をした場合の減額率が、1月あたり0.5%から0.4%に変更されます。

令和4年3月31日時点で、60歳に達していない方(昭和37年4月2日以降生まれの方)が対象となります。

 

 

 在職老齢年金制度の見直し

在職中の老齢厚生年金受給者について、年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が一定の基準を超えたとき、年金の全部または一部が支給停止されます。令和4年4月から60歳以上65歳未満の方の在職老齢年金について、年金の支給が停止される基準の見直しが行われ、65歳以上の在職老齢年金と同じ基準(28万円から47万円)に緩和されます。

 

在職老齢年金は質問が多い項目の一つです。これについては、具体例を交えつつ、またの機会に書いていこうと思います。

 

 加給年金の支給停止規定の見直し

加給年金の加算対象となる配偶者が、被保険者期間が20年(中高齢者等の特例に該当する方を含む)以上ある老齢、退職を支給事由とする年金の受給権を有する場合、その支給の有無にかかわらず加給年金が支給停止となります。 また、令和4年3月に加給年金の支給がある方については、経過措置があります。

 

在職定時改定の導入

在職中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者について、年金額が毎年1回定時に改定が行われます。基準日である毎年9月1日に厚生年金保険の被保険者である場合は、翌月10月分の年金から改定されます。

 

国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え

年金手帳は 基礎年金番号通知書 に変わります

令和4年4月以降、 新たに年金制度に加入する方もしくは、年金手帳の紛失等により再発行を希望する方 には、基礎年金番号通知書が発行されます。また、マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルから「ねんきんネット」にアクセスできます。ただし、既に年金手帳をお持ちの方には基礎年金番号通知書の発行は行われませんのでご注意を。

 

以上の6項目の改正がこの4月1日から入っています。

関係のある項目について、確認してみてください。

 

以上、今日は4月1日から改正されている年金の話でした。



久しぶりのブログの更新となりました。

今日は4月1日から改正となった労災の話です。

柔道整復師や、はり・あん摩マッサージ指圧師の先生方は知っておいた方がいいでしょう。

 

従来、個人で開業されている柔道整復師やはり・あん摩マッサージ指圧師の先生方はご自身自体は労災保険に加入することはできませんでした。こうした事業所で労災保険に加入することができるのは、先生ご自身ではなく、従業員さんの方です。ですから、従業員として働いている柔道整復師やはり・あん摩マッサージ指圧師の先生方は従来から労災保険に加入はできていますので関係ない話です。関係するのは、個人事業主である柔道整復師やはり・あん摩マッサージ指圧師の先生方です。

 

対象となる方をもう一度、確認しましょう。対象となるのは、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に基づく「あん摩マッサージ指圧師」、「はり師」、「きゅう師」のいずれかの国家資格をお持ちの方です。

 

これらの方が労災保険に加入できるというのはどういうことでしょうか。

労災保険は、業務中にケガをした場合の治療費などの療養費や、ケガ等で休業する際の休業期間の給付、治療後に障害が残った場合の給付、お亡くなりになった場合の遺族への給付等が支給されるものです。

 

この労災保険に「特別加入」という形で加入できます

加入できる形態は2種類あります。

従業員を雇っていない方については、「一人親方その他の自営業者」として加入します。

一方で、従業員を雇っている方は、労災保険に現に加入しているはずなのでその方は「中小事業主」として加入します。

中小企業主の基本的な要件は、常時使用している労働者が100人以下であることです。その上で以下の二つが必要となります。

① 雇用する労働者について保険関係が成立していること

② 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること

 

特に②が重要です。中小事業主で加入するには、労働保険事務組合に加入しないと手続きできません。

 

加入できる人は事業主に限りません。請負で契約している(外注扱いになっている)柔道整復師やはり・あん摩マッサージ指圧師の方も加入できます

 

これらの方が特別加入で労災保険に加入を希望する場合には、「特別加入に関する変更届」と「あん摩マッサージ指圧師免許(写)」、「はり師免許(写)」または「きゅう師免許(写)」を記載した書類を労働保険事務組合に提出する必要があります。詳しくはご依頼される労働保険事務組合に聞いてみましょう。

 

ということで、4月1日から改正になった柔道整復師やはり・あん摩マッサージ指圧師の方の労災保険への加入の話でした。



さて、今日は雇用保険料率の令和4年改訂の話です。

 

令和4年は、令和4年4月からと令和4年10月からの2回の改定が予定されています。

これは、コロナの影響で雇用調整助成金の支出が増加しており、雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金を含む)の支出が実に5兆円を超えており、そのための財源不足に対応するためのものです。

 

まずは、変更後の雇用保険料率をみる前に、現状の雇用保険料率を確認してみましょう。

まずその前に、現状の雇用保険料率を確認してみましょう。

一般の事業をみていくと、労働者負担については、給与の3/1,000です。

事業主負担は 6/1,000となっています(このうち、失業等給付が3/1,000、雇用保険二事業 分が3/1,000)で、合計すると給与の 9/1,000が雇用保険料となっています。

これは平成29年からこの料率で、長く、変更がありませんでした。

 

それが、4月からはどうなるのでしょうか。

まず、労働者負担分については、引き続き3/1000となります。変わるのは事業主負担分です。事業主負担分が6.5/1000(このうち、失業等給付は3/1000、雇用保険二事業が3.5/1000)となります。

 

そして、今回の改正ではさらに10月からも雇用保険料率が変わることになっています

まず、労働者負担分が5/1000となります。

そして、事業主負担分も増えます。事業主負担分は8.5/1000(このうち、失業等給付は5/1000

雇用二事業分が3.5/1000)で全体で、給与の13.5/1000となります。

 

このように労働者負担が増えるのは10月からです。給与計算に関して言えば、10月以降について、忘れずに新しい雇用保険料率で計算する必要があります。

 

また、雇用保険料率が変わるということは、労働保険の申告の際にも気を付けなければいけません。しかも今回は4月からと10月からの2回、変更があるため、労働保険の申告時にはなおさら、注意が必要でしょう。

 

ちなみに、今回、説明上、一般の事業のみで割愛しましたが、農林水産業、建設業についても雇用保険料率が変更されていますので、個別に確認してみてください。

 

雇用保険料率は平成29年度から実はずっと変わっていませんでした。今回の改正は実に7年ぶりとなります。給与計算や労働保険の申告時に注意が必要ですので、その点には十分に留意しましょう。

 

ということで、今日は雇用保険料率の改正の話でした。


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