今日は今年から改正のあった労働基準法の改正の話です。 労働契約の明示の仕方が変わったのはご存知でしたでしょうか?
会社が労働契約を明示する方法は労働基準法で定められています。 原則は書面です。書面で明示する内容も決められています。次のような内容です。
①労働契約の期間
②就業の場所・従事する業務の内容
③始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
④賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項
⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む)
このような内容は会社側が労働者側に明示することになっています。しかも、書面によることが義務とされていました。これ以外にも、昇給に関する事項や退職金に関する事項なども、なるべく書面による明示をすることが求められています。
これが今年の4月(2019年4月)から変わりました。労働者の希望があれば、必ずしも書面による明示でなくてもいいことになりました。 faxや、E-mail、ラインやショートメールなどで明示することも許されるようになったのです。 これは、労働者本人から希望があった場合に限ります。原則はやはり書面による明示です。労働者本人が希望していないのにメールで送ったりする方法はとれません。本人が希望して初めて書面でなくてSNSやe-mailでやってもいいという話です。
また、ショートメールによって明示するのも許されてはいますが、文字制限などがあることから望ましくないとされています。 それから、印刷がしやすいように添付ファイルなどの方法で送ることを労働局は推奨しています。
私は、e-mailやラインなどで明示する方法は私はその方法が認められるのであれば、書面によらずに、積極的にe-mailやラインなどの方法を使ったほうがいいのではないかと思います。 メールやSNSの方法の利点は「記録が残る」ことです。その方がお互いに確認しやすいという点が最大のメリットです。中小企業の場合、どうしても口頭での約束事になりがちです。法律でいくら義務化されているとはいえ、口頭で約束することが多いのではないかと思います。口頭での約束をあとから書面で確認するという流れが最も多いと思います。そうした特に中小企業の労働契約の交わし方の現状からすると、メールやSNSなどの方法で初めから明示したほうがあとで揉めないで済みます。 また、労働条件の通知は使用者側から労働者側へ明示すれば足りるとされています。本人の同意は必要ないわけです。そういう労働条件の明示のルールからしても、使用者側が労働者本人にメールやSNSなどの方法で労働条件の明示して証拠を残すというのは大変有意義だと思います。労働者側にとっても証拠を残せるという点から、積極的にSNSやe-mailで労働条件を示してもらったほうがいいと思います。
現在はまだこの制度が導入されたばかりのため、原則は書面により、例外的にメールやSNSによる方法を条件付きで認めているというスタイルです。ですが、これが一般的になれば書面による交付というのも原則的な方法ではなく労働条件の明示の一つの方法という位置づけに変わってくると思います。 時代の流れにあわせて、貴方の会社でもメールやSNSで労働条件を明示することを検討してみてはいかがかと思います。