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さて、今日は前回と引き続きで見ていただければと思うテーマです。前回は社会保険の扶養という話をしました。どこからが社会保険の扶養になるのかという話を書いていきました。

今回は税務の方での扶養、「生計を一にする」という考え方を書いていきたいと思います。

税務では扶養親族になるかどうかというのを「生計を一にする」という言葉で表現します。では、この「生計を一にする」というのは具体的には何を意味するのでしょうか。

所得税法の基本通達という中で、「生計を一にする」というものの意味を次のように書いています。

法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。

(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。

イ当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合

ロこれらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

社会保険では扶養親族かどうかは原則としては3親等内の親族としつつ、「同一世帯」というもので規定しています。これに対して、税務の扶養は「生計を一」というもので規定しています。まずは社会保険と税務に共通していえるのは、扶養というのは「同居」が要件ではないということです。

ただ、税務の方の「生計を一」は上記の通達の(2)で「親族が同一の家屋に起居している場合には、(略)生計を一にする」とあるので、同じ家に住んでいれば原則的には「生計を一」と考えていいようです。ただ、上記の通達の(2)にも書かれている通り、「明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き」とあるので、明らかに別生計の場合には扶養にはならないとされています。これは社会保険の方も同じです。「被保険者と住居および家計を共同にすること」に該当していても、生活費の支援がない場合には扶養にはならないとされています。この辺はおおむね共通する点です。

そして、税務の方が難しいのは、上記の通達の(1)です。これは、「同居」でない場合を書いています。同居でない場合には、二つあるとしています。

一つは、単身赴任のお父さんや大学に通っているお子さんなどのことです。お盆やたまの休みに帰ってくるような関係なら、扶養だと言っています。

もう一つは、生活費や学費などのお金を送金していることといっています。

この二つの要件が両方必要な要件なのか、片方だけ当てはまればいいのか、ここがこの通達だけだと読み取れないわけです

たとえば、単身赴任のお父さんがいて休みの日には帰ってきます。自宅にいる奥さんはご自身がパートで働いている収入で家計は賄っているため、送金をしてもらったりはしていないとします。そうすると、最初の要件には当てはまるのですが、二つ目の要件には該当しないので、この場合は扶養にはならないということになります。

では、このケースではどうでしょうか。

田舎に高齢のお母さんがいらっしゃいます。息子さんは東京に住んでいます。この息子さんはお母さんに毎月、一定額のお金を送金しています。つまり要件の二つ目には該当しています。しかし、普段、お母さんの所へ行ったりということはほとんどしません。お母さんも息子さんに会いに行ったりすることはありません。この場合、要件の一つ目には該当しません。では、このケースでは扶養ではないという話になるのでしょうか?

単身赴任のお父さんと奥さんの関係にしても、送金はしてもらっていなくても実際にはその家はお父さんの名義の家で、たまたま今は奥さんのパート収入で家計を賄っているということだったら、扶養の関係といってもいいのではないでしょうか。また、二つ目の例として挙げたお母さんと息子さんの関係も、あってはいなくても経済的に息子さんが支えているのなら扶養といってもよさそうですよね?

国税庁のHPでは「生計を一にする」という言葉について、次のように記述しています。「日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

つまり、お金の送金の有無とたまに一緒に生活することの両方がないと扶養にならないというわけではない(どちらかが当てはまればいい)という趣旨のことを言っているようです。

ここは、税理士によっても解釈が分かれるところのようですので、このブログではこれくらいにしておきますが、税務の扶養は特に「別居」の場合、解釈が難しいというところです。。

前回のブログと合わせて、社会保険や税務の扶養というのを整理してみると、社会保険も税務も扶養の考え方はほぼイコールではあるものの、たとえば、同居していないケースなどで考え方に少し違いがあるというくらいの整理でいいのかと思います。

同居でない場合、扶養に入れられるか入れられないかは、よく検討した方がいいでしょう。

ということで、今日は税務の方の「扶養」の話を通じて、社会保険と税務の扶養の違いについての話でした。


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