この4月から、いろいろと変わっている点があります。年度の切り替えにはよくある話ですが、今回は、経営上影響のある話が多いように思います。
その一つが、キャリアアップ助成金の上乗せ制度、「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」です。
従来、東京都ではキャリアアップ助成金の上乗せ制度として「東京都正規雇用転換促進助成金」というのがありました。それが4月にあたって改組され新しくできたものです。
今日はこの概要を説明したいと思います。
前提となるのは、まず国のキャリアアップ助成金の正社員化コースに該当することです。
その前提があったうえで、次のような条件に該当することが要件になっています。
- 平成29年4月1日以降に都内の事業所で正規雇用に転換していること
- 3か月の支援期間(あとで説明します)終了時において、1年以上正規雇用に転換している状態が継続していること
- 有期契約労働者でないこと
- 以前の制度である「東京都正規雇用転換促進助成金」の受給を受けていないこと
これらが要件です。
前回の東京都のキャリアアップ助成金の上乗せ制度の「東京都正規雇用転換促進助成金」は、キャリアアップ助成金の受給を受けて国の受給の通知を受けてから2か月以内に支給申請することが要件でした。(他にも要件はありました)今回は、このような期間の制限はありません。とにかく国のキャリアアップ助成金の受給をしていれば対象になります。
ただ、条件として、以下のようなものがあります。
- 対象労働者に対して3年間の指導育成計画を策定すること
- 指導者(メンター)を選任し、メンターによる指導を行うこと
- 実際に研修を実施すること
これらを「支援期間」と呼ばれる期間内に対象労働者への研修を行うことが要件です。
では、受給額はいくらになるのでしょうか。
次のようになっています。
対象労働者数に応じ、下記に定める金額を事業主に支給します。
対象労働者数 | 金額 |
1人 | 20万円 |
2人 | 40万円 |
3人以上 | 60万円 |
以前の「東京都正規雇用転換促進助成金」は有期雇用から正規雇用への転換の場合、50万円支給されていましたから金額はかなり少なくなってしまいました。
何人キャリアアップ助成金の受給をして支給申請しても、年間で最高、60万円までの支給になります。
そして、この助成金は「新たに」退職金規定を設けた場合、10万円を加算されます。
さらに、この助成金は、申請の受付期間というのが決まっています。そして、対象労働者に研修をやる期間が決まっています。決まった期間に研修をして、その報告をしないといけないわけです。
申請受付期間 | 支援期間 | 実績報告提出期限 | 予定社数 | |
第1回 | 5月15日(火)~6月1日(金) | 7月1日~ 9月30日 | 10月31日(水) | 500事業所 |
第2回 | 6月15日(金)~7月2日(月) | 8月1日~10月31日 | 11月30日(金) | 500事業所 |
第3回 | 7月17日(火)~8月1日(水) | 9月1日~11月30日 | 12月28日(金) | 500事業所 |
第4回 | 8月15日(水)~9月3日(月) | 10月1日~12月31日 | 1月31日(木) | 500事業所 |
第5回 | 9月18日(火)~10月1日(月) | 11月1日~1月31日 | 2月28日(木) | 500事業所 |
第6回 | 10月15日(月)~11月1日(木) | 12月1日~2月28日 | 3月29日(金) | 500事業所 |
そして、この助成金の最大の特徴は、「予算が達したら打ち切られる」ということです。
つまり「早い者勝ち」なわけです。抽選とかではありません。受給申請したものから順番に支給されます。要件に該当するのであれば、早めに手続きしたほうがいいということです。
さて、私の感想ですが、この助成金は「支援期間」が決まっていて、研修しないといけない期間が設けられたり、一見すると面倒なように思えますが、決して面倒ではないです。積極的に受給していった方がいいです。そして、予算がありますから、該当するのであれば早めに手続きしたほうがいいでしょう。
ちなみに、国のキャリアアップ助成金受け付けは、支給申請してから支給決定まで約8か月かかります。この東京都の助成金は国のキャリアアップ助成金の支給決定があった後でないと支給申請できません。平成29年4月1日以降の正社員転換しかたいしょうになりませんから、平成29年10月1日以降に支給申請したものしか対象になりません。一番早く対象になるものであっても、第1回目の申請期限には間に合わないのではないかと想定されます。
東京都の担当者もそこまでは想定していなかったかもしれませんね。
いずれにしても第1回目は本日【5月15日】から受け付け開始になっています。キャリアアップ助成金の上乗せ制度として、是非活用を検討してみましょう!