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実際に最近、私の顧問先から受けた質問について書いてみようと思います。

4月で入社する社員は多いことと思います。質問のあった会社さんも例にもれず、4月1日採用の社員がいたのですが、2週間ほどで辞めてしまうことになったわけです。こんなこともあり得ますよね?さて、社会保険料の徴収はどのようにしたらいいのでしょうか?

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このように入社した月に退社してしまうことを「同月得喪」といいます。同じ月に資格の取「得」と資格「喪」失があるために、そのように言います。

さて、この入社した月に退社した場合、社会保険料はどうなるのでしょうか。

 

結論から言いますと、「保険料は徴収する」というのが原則です。

ただし、次のようなことをきちんと把握しておかないといけません。

 

まず、社会保険料の控除は原則、「月ごと」です月末に在籍している者についてはじめてその翌月に「支給」される給与から控除します。ですが、その例外がこの「同月得喪」です

「同月得喪」の場合には、月末に在籍していなくても社会保険料が引かれます。

 

これはたとえば、健康保険に加入して病院にかかった時を考えれば理解できます。

仮に4/1入社で4/15退社の場合、月末まで在籍していないので社会保険料を徴収しないとすると、この間に病院に係ると医療費は3割負担で済むのに、保険料は負担しないということが想定されます。さすがにそれはまずいわけです。そのため、「同月得喪」の場合には、月末に在籍していなくても社会保険料が引かれるわけです。

 

ただ、一方で、年金のことを考えるとどうでしょうか?

年金は「月」で加入したかどうかを判断します。仮に、4/1入社で4/15退社の場合、4/20に別の会社に再就職したとすると、4月分は年金の保険料が二重に控除されることになります。あるいは、4/1入社で4/15に退社した場合に、再就職しなければ国民年金に移行します。この場合、4月分の国民年金の保険料が発生します。つまり、再就職するかしないかにかかわらず、2か月分の年金の保険料が発生することになります。

 

健康保険は保険証を使うことを考えると保険料が発生するのは理解できるのですが、年金は「月」ごとに判断するため、保険料が二重になってしまうという問題があるわけです。

 

実は、この論点は以前から問題があるとされていて、平成27年に改正があった点です。

つまり、このように保険料が二重に発生してしまう場合、今回の例でいえば、4/1~4/15に在籍していた会社の分の厚生年金保険の保険料はいったんは徴収しますが、その後、二重になっていることが確認できた場合、その厚生年金に入っていた会社に戻すことになったわけです。

 

勘違いしてはいけないのは、この規定を先回りして考えて、「同月得喪」の場合、厚生年金の保険料は最初から引かないようにする、と考えるのは正確ではないということです。あくまでも、厚生年金の保険料が会社に還付されたらそこで初めて本人に戻してあげる、ということです。

面倒かもしれませんが、そうすることが正しい手続きです。

 

まとめます。結論としては、このようになります。

「同月得喪」の場合、健康保険も厚生年金もいったん保険料を控除する。ただし、厚生年金については、その後、還付されたら本人に保険料を還付する。

 

さて、この「同月得喪」ですが、逆に、厚生年金の保険料を返さない場合というのはどういう場合があるのでしょうか?

 

・20歳未満の方、もしくは60歳以上の方

・「同月得喪」の月末までに海外に居住した場合

 

お分かりになりますでしょうか?つまり、これらのケースでは、そもそも年金に加入する義務がない方であるという共通点があります。退職後に年金に加入しなければ二重払いの問題もないわけです。

それから、規定に書いてはありませんが、たとえば、4/1入社4/15退職で、その後、国民年金の加入手続きなどを特に何もしておらず、保険料の支払いがなかったような場合も、やはり二重払いの問題がないので、4/1~4/15に在籍していた会社の厚生年金の保険料を戻してもらうこともないと思われます。

 

いずれにせよ、これらは4/1~4/15に在籍していた会社では判断できない話なので、「同月得喪」もいったん健康保険も厚生年金も引いておくことが正しいと思います。

 

ちょっと難しい話でしたが、理解できましたでしょうか。

今日は「同月得喪」の社会保険料の話でした。


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