伊勢志摩サミットがありましたね。
「オバマさんが広島に行った」「タックスヘイブンが話題になった」「警備が厳しかった」・・・
いろんな感想がありますね。
「サミット」なんて、経営には関係ないって思いますよね。
特に、日々、資金繰りに追われている社長にとっては、「サミット」なんて、単なるお祭りですし、別に関係ない話だと思われて、まあ、当然でしょう。
ですが、関係はあると思うんです。
というよりかは、そう思えるような視点が必要だと思うわけです。
安倍首相は「三本の矢」というのを盛んに言います。
「三本の矢」の「三本」って何かはわかりますか?
「財政政策」「金融政策」「構造改革」が三本の柱です。
「財政政策」は、政府も経済を担う柱なので、積極的に政府が投資をして(要するにお金を使って)景気を良くしようというものです。
「金融政策」は、今、盛んに日本銀行がやっています。政府・日銀が市場にお金が回るような政策をしましょうという話です。今は「マイナス金利」なんていうことをやっていますよね。あれが「金融政策」です。
問題なのが(いつも言われることですが)、「三本の矢」の三本目です。つまりは「構造改革」です。「構造改革」というのは「成長戦略」なんていったりします。どちらかというと、この「成長戦略」という言葉が使われますね。
要するに、民間企業がお金を使いやすい環境にしていく、というものです。
「法人税減税」だったり、「子育て支援政策」だったり、「非正規雇用の問題解決」だったりという政策は、全て安倍首相のいう三本の矢の三本目の政策です。
「民間にお金を使わせて景気を良くしよう」
法人税を減らせば、企業がお金を持つようになる。そうすれば、企業はお金を使ってくれる。
子育て支援政策をやるというのは、要するに、女性が働きやすい環境を整えることで、女性が働ければ経済が好循環するということです。
非正規雇用の問題もそうです。非正規雇用は年収が低い。だから、非正規雇用を正規雇用化して、お金を積極的に使える人を増やそう。
「三本目の矢」というのは、言い換えれば、「お金を使える人や環境を増やそう」ということだと理解していいと思います。
法人税を減税にするということは、個人よりも法人へ資金をシフトしていく方がお金が残るということですし、女性が働きやすい環境を整えるというのは、女性が働きやすい職場環境を今から整えておくことは政府の方向と合致するので、税制や社会保険の制度が後押しすることにつながってきます。非正規雇用の問題はすでに「キャリアアップ助成金」という形で表れています。 「キャリアアップ助成金」を活用して、非正規雇用の問題を解決していくことが会社側にとっても、得することになります。
要するに何が言いたいかというと、「サミット」のようなお祭りごとであっても、言えば「国際公約」になります。守らないといけなくなるわけです。そこで言ったことは、確実に「実現」していかなければならないことになる。
ここを「他人事」ではなく、経営をする上での方向性に活用していくという視点が大事だと思うわけです。
安倍首相は、今回のサミットで改めて「三本の矢」の「三本目」の重要性の話をしています。
すでに、「国際公約」なわけです。
こうした背景を理解したうえで、個人ではなく法人にお金を残していく方向だったり、女性を積極的に雇用していったり、現場の責任者に登用したり、あるいは、「キャリアアップ助成金」を積極的に活用していくような経営をしていくことが「経営者のセンス」だと思うわけです。
ちなみに、消費税を来年の4月から10%に引き上げるのはこの「三本目の矢」の政策には反してしまいます。明らかに「民間にお金を使わせて景気を良くしよう」という方向とは真逆です。サミットでも、日本が消費税を増税することに懸念を示す国の発言もあったようです。安倍首相の政策からすると、今、消費税を引き上げるのは「三本目の矢」と言っているのに矛盾してしまうんですね。さてどうするのか・・・
ということで、サミットの話題から「大きな視点から経営を考える」ということも必要だという話でした。