5月はやはり忙しいですね。
もともとゴールデンウィークがあって日数が少ないせいもあります。
4月から新卒で入社した人は、ここからが正念場です。なにせ、ゴールデンウィーク後の次の連休は7月の海の日までないですから・・・
さて、今日の話は顧問先からも質問があった「社会保険の適用拡大」の話です。
現在、社会保険の扶養に入るのって、年収いくらかご存知ですか?
130万円ですね。
103万円が所得税の扶養に入れる範囲、100万円が住民税の非課税の範囲、そして、年収130万円未満だと、社会保険の扶養に入れる。今の基準はそうです。
その130万円が106万円になるんです。
知ってましたか?
「えー、そうなの?」「いつからそうなるの?」
と気になりますよね。
そうなんですが、要件がいろいろとあるのであわてないでくださいね。
まず、いつからか。これは、最短の人で「平成28年10月1日から」です。
「最短の人」というのがポイントです。年収106万円(月で割ると月額給与8.8万円)という基準が導入されるのは、まずは大企業です。大企業にお勤めの方の社会保険の扶養親族になっている場合には、今年の10月1日から対象になります。
「特定適用事業所」と言って、厚生年金の被保険者数が常時500名を超える事業所がまずは対象になります。この500名の判定は、法人のマイナンバーである「法人番号」で数えます。別々のところにあっても「法人番号」でよせて500名以上かどうかを判定します。
それから、106万円の判定には、「通勤手当」や「時間外労働」、「家族手当」「皆勤手当」なんかは入りません。いわゆるボーナス、「賞与」も対象外です。
ですので、単純に給与が106万円(月額8.8万円)というわけでもないので注意が必要です。
ところで、この社会保険の適用拡大の話ですが、「マイナンバー」の導入と決して無関係ではありません。むしろ、大いに関係があります。(と私は考えています)
マイナンバーって、なぜ導入されることになったんでしょう?
「税金を補足しやすくするため」
「行政サービスを使いやすくするため」
「年金をいくら納めたか、将来年金をいくらもらえるのかをわかりやすくするため」
どれもその通りです。
もう一つ、大事なことがあります。
それは、「ズルをしないようにするため」です。
今まで、所得があっても申告しなかったり、本当は稼いでいるのに、社会保険はなぜか扶養になっていたり、そんなことが結構あったわけです。
特に、「税金」と「社会保険」は役所が違うため、情報の共有ができず、本来は社会保険に入るべき人が入っていなかったり、ということがまかり通っていたわけです。
「マイナンバー」を使うことの意義はここにあります。
つまり、「いくら稼いでいるのか」という情報と「社会保険の扶養に入れるのか」という情報が「マイナンバー」でつながれば、年金事務所が「扶養に入れるのか」を調べるのは簡単になります。
こうした流れの中に、106万円に基準を下げ、厚生年金(社会保険)の適用を拡大して、年金を納める人を増やせば、年金の財政問題も解決するし、老後に無年金になる人も減らせる、こんな思惑があるわけです。
「え、130万円が106万円になるの」とかいう、単発の情報に惑わされず、全体の流れの中でどういう位置づけがあって、社会保険の106万円の話が出ているのか、という視点で考えてみるのも意味があると思うわけです。
ということで、今日は、厚生年金(社会保険)の適用拡大の話でした。