本当なのか、嘘なのか・・・
安倍首相が消費税の増税延期を示唆したとの報道がされています。
連立を組む公明党も了承済みとか。
前回のブログでも書いた通り、もともと、今、消費税を上げることは安倍首相の言う三本の矢の三本目の「成長戦略」と矛盾することは明らかでした。そのため、有識者を招いて意見を聞いたりして、安倍首相自身「平成29年4月には必ず10%に消費税を上げる」とは言ったものの、かなり迷っているところがあったようです。
さて、この消費税の問題を経営的に考えるとどうなのか。
経営者にとっては、消費税という税金が厄介なのは「払う」という意味が二つあることです。
どういうことかと言いますと、通常の消費者として、対価の支払いをする際に払う消費税があります。これは、経営しているとかは関係なく、個人の事業をやっていない人であっても日々の買い物やサービスの対価で支払っています。お子さんからお年寄りまで、何かを買ったり、サービスの提供を受けてお金を支払えば誰だって支払いますよね。つまり、「買い物などをするときに支払う消費税」が一つ目の消費税の「支払い」です。
もう一つ。経営者にとっては、確定申告をする際に払う「消費税」があります。この消費税は、「消費者などから預かった消費税」からモノやサービスの対価として「支払った消費税」の差額を納付するものです。言ってみれば、「皆さんから預かった税金を代理で納付する」のが経営者にとっての「もう一つの消費税」です。
経営者にとっては、この「もう一つの消費税」が問題です。
具体的にいうと、たとえば、車の購入だったり、あるいは、建物を購入する場合など、大きな買い物をいつするのかが大変重要な問題になります。会社や個人事業者が事業で購入するのであれば、いつ購入するのかで事業者が納付する消費税に影響してきます。
ですが、そもそも「簡易課税」(売り上げに対して何%という簡易な方法で事業者の消費税を計算する方法)だったり、「免税点未満」(消費税のかかる売り上げが1000万円未満だったり、個人や法人の事業を立ち上げたばかりの事業者は消費税の納税義務自体がない)だったりすれば、そもそも「皆さんから預かった税金を代理で納付する」消費税はないので、払う方の消費税の問題だけ考えればいい話になります。
つまり、いわゆる「原則課税」(預かった消費税から支払った消費税の差額を納付する事業者)の場合が特に問題になるわけです。
たとえば、建物のような大きな金額になるものの場合、影響は大きい話です。前回5%から8%に上がった際のことを踏まえると、仮に平成29年4月から予定通りに10%に消費税を引き上げるとなった場合、 「建物の引き渡しが平成29年4月以降であっても、契約が平成28年9月30日までだったら8%」「契約が平成28年10月以降であっても、平成29年3月までに建物が引き渡しになれば8%」といったようになるはずです。契約をいつまでにすればいいのか、引き渡しはいつまでにすればいいのか、など影響は大きい話です。
これは、個人の方が住宅を購入される場合にも同様の話です。
2年半延期(つまり、平成31年10月からに延期されるということです)というのは経営だけではなく、個人の方にもよく考えないと損をする、という意味で少なからず影響があるわけです。
ちなみに、消費税10%と同時に導入予定だった「軽減税率」(食料品などの一部は8%のまま税率を据え置く)も2年半延期されるという話のようです。経理の側面から見ると、この軽減税率の導入は非常にややこしい話で、これが2年半延期になったというのは正直、ホッとするところがあります。軽減税率対策なんて、実務上はほとんど進んでいませんからね。
ということで、今日は消費税増税延期かも!?という話でした。