前回に続き、セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の話です。
まず、最初に言っておきますとこれは税理士でも失念しているケースが多いので特に注意が必要な点です。
セーフティ共済は払ったら原則、全額損金計上というのは前回、お伝えした通りです。
ですが、税法的にはこれは正しくはありません。
実は、税法上は「原則:積立金、例外:損金(必要経費)」なんです。
えー、って思いましたか?
法人の場合、別表10(6)『特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書』に記載し、『適用額明細書』に条文番号等を記載して初めて損金計上できることになっています。
個人の場合には、こうした別表はないことから、任意の形式で『中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書』というのを書いて添付しないと必要経費にできないことになっています。
これはどういうことなのでしょうか?
実はどうも税務の考え方は、セーフティ共済というのは基本的には積立金と認識しているようなのです。
前回のブログで、セーフティ共済は積立金というイメージがあると書きましたが、税務はその考えを前提としておいているようなのです。
そのため、「損金(個人は必要経費)に計上するのであれば別表を添付する」となっているようです。
では、個人の場合の簡単な添付書類というのはどういうものでしょうか。これは本当に簡単なもので問題ないようです。
「平成〇年分確定申告において、租税特別措置法28条第1項二号に基づく中小企業倒産防止共済掛け金は次の通りです。○○円 ××太郎印」
とこんな感じの文章で作ったものを添付します。
ここまでやって損金計上(必要経費)できるということです。この別表や個人の場合の任意の書類添付については、冒頭に書きました通り、税理士でも失念の多いものであることも頭に置いておきましょう。
ちなみにですが、過去に出した申告書にこの別表や明細書が添付されていなかった場合ですが、即座に損金や必要経費の計上が否認されるというのは考えづらいかなと個人的には考えています。実務上は「今度からちゃんと出すようにしましょうね」という話で終わるような気がします。
ただ、あくまでも、規定上は別表や明細書の添付が要件とされていますから、その点は誤解のないように。
また、もう一点。
これも忘れがちですが、このセーフティ共済はかけらける金額に上限があります。
累計で800万円です。それ以上はかけられません。
ということは、累計額でいくらになっているかの管理が別に必要になるということです。
「今期もセーフティ共済を掛けようと思ったら上限いっぱいで掛けられないと言われた」と後からわかってもそれで節税を図ろうとしていた場合、計算が狂います。
累計額については、毎年2月頃に中小企業基盤整備機構から掛け金累計額についてお知らせが来ます。セーフティ共済の累計額を表などで管理するのと同時に、毎年、その通知で改めて確認するようにしましょう。
ということで、2回にわたってセーフティ共済についての話でした。