7月10日というと、実はいろいろと事務作業が多く、忙しい時期です。
算定基礎届、労働保険の年度更新、納期の特例(源泉所得税を半年に1回納付する方法)の源泉所得税の納付・・・
毎年、特に、小規模事業者にとっては忙しい上に、キャッシュが出ていくことが多いというのがこの時期です。
私の顧問先は従業員数が10名・20名程度かそれよりも少ない数の小規模事業所が多いため、どうしてもこの時期はこうした事務作業が多くなり、かなり忙しくなります。そのために、なかなかブログの更新もできませんでした。
私の趣味で声楽を勉強していて、その一環で合唱をやっているのですが、その練習にも参加できずにおりました。
さて、私の近況はさておき、今日は確定拠出年金についてです。
日本版401Kなんて言われたりします。
経営者の皆さんだったら、どこかで聞いたことくらいはあるのではないでしょうか?
しかし、どういうものなのか、よくわからないといった方が多いのではないかと思います。
経営者の皆さんからも質問の多いこの確定拠出年金について、私が顧問先の皆さんに説明するときのだいたいの概要について、書いていこうと思います。
まず、確定拠出年金というのはどういう位置づけのものか、わかりますか?
違う言い方をすると、なぜこういうものを企業が導入するのでしょうか?
これはまず、「退職金制度」の一環として導入しているということです。
確定拠出「年金」と言っていますが、「退職金制度」なんです。このことはまず理解しておきましょう。
企業の退職金制度というのは、従来は「基本給×功績倍率」なんていう形で計算しているものが多かったと思います。この功績倍率はだいたいが勤続年数によっているようなものです。この制度は、企業が退職金の支払い義務を負う形のものであることから、企業にとってはリスクになります。そのため、この制度をやっていたとしても多くの企業では時間をかけて移行しているというのが現状です。
また、「厚生年金基金」といったもの(いわゆる三階建ての年金)もありましたが、近年は厚生年金基金自体が運用がうまくいかないところも多いようです。
そこで、「確定拠出年金」です。これは、企業が掛け金を支払ったらあとの運用は本人に任されるものです。本人の負担と会社の負担があり、本人負担・会社負担がそれぞれ全額控除(従業員本人は全額社会保険料控除、会社側は支払ったものは全額損金)で、会社としては支払ってしまえばあとの運用は本人がやることなので、退職金の支払い義務が生じないというメリットがあります。
数年先の経営がどうなっているのか読めないような今の時代の経営には合っている制度であると言えます。
では、あとはどんな特徴があるのでしょうか?
箇条書きしてみるとよく理解できると思いますので、書き出してみましょう。
(本人にとっての話)
・確定拠出年金の口座はその会社を辞めても次に再就職した会社でも引継ぎできる。
・個人ごとにいくら残高があるのかを、ネットでいつでも確認できる。
・原則として、確定拠出年金の口座からの払い出しは60歳以降
・払い出し時に、一時金としてもらえば退職所得となり、年金形式でもらえば公的年金等の雑所得とみなされる
・厚生年金に加入している人は全員が対象
・支払った掛け金は全額、社会保険料控除
(会社にとっての話)
・運用が低迷しても、確定給付年金のように追加負担はない。
・確定拠出年金の支払いをすれば会社としては退職債務は負わない。
・支払った掛け金は全額所得控除
・月額55,000円が掛け金の上限
・あとから掛け金の減額は出来ない
・勤続年数が3年未満の社員は、退職時に掛け金相当額の返還を求めることができる
こんなところでしょうか。
経営者の視点からすれば、要するに、支払ってしまえば責任はないという実に簡単なところが確定拠出年金の一番のメリットと言えます。
概要だけでも少し理解できましたか?
いろいろと確定拠出年金のことを説明している本もたくさん出ていますが、経営者の皆さんは上記のような概要だけ知っておけば私はそれでいいのではないかと思います。
次回は、個人型確定拠出年金、通称iDeCo(イデコ)について、これも簡単に概要だけご説明することにします。