突然ですが、経営で一番大事なことって何だと思いますか?
経営の三要素をよく、「ヒト」「モノ」「カネ」なんていいますね。
その中で、特に「カネ」で大事なことって、何でしょうか?
ちょっとクイズみたいですが、考えてみてください。
預金が1千万あります。借金が500万あります。この借入金は毎月、15万円くらいずつ返済しています。この借入金は、返済があと3年くらい残っています。
毎月、1か月で必要なお金は500万だったとします。
さて、この借金、一括で返しちゃった方がいいでしょうか?
この会社の経営者がご自分だったら、どうされますか?
上記のような質問を、私はよく顧問先にします。
その時、私はよく「経営が家計と違うのは借入金に対する考え方だ」という話をします。
ほとんどの経営者が、事業を起こすとき、借り入れをします。銀行だったり、政策金融公庫だったり・・・
経営者になりたての頃はこの借り入れをとにかく、重く感じるようです。
つまりは、「早く借金を返したい」と考えるんです。
まあ、そうですよね。
気持ちはよくわかります。
事実、私も事業を起こして1年ですが、借入してますし、早く返したいと思いますし・・・
ですが、経営にとって最も大事なのはこの「借金を減らす」ことではないんです。
借金はしていても問題ではないんです。
問題なのは「キャッシュがない」ことです。
もっと言えば、手元にキャッシュを持っておくことが経営にとって一番大事なことなんです。
借金があることより、現貯金がないことの方が余程、問題なんです。
上記の例では、毎月、500万は必要資金なんですよね。
つまり、借入金を返すと、預金は500万と1か月の必要資金しかないことになります。
ケースバイケースではありますが、通常、この状況では、借入金を一括返済すべきではないです。
1000万預金があるのであれば、2か月分の資金はあるわけです。この状況をキープすべきです。
一括返済してしまうと、1か月分の資金しかなくなります。
経営というのは何が起こるかわかりません。
常に、余分にキャッシュを持っておくこと。これが重要なんです。
せっかく、2か月分の資金をもっていたのに、わざわざそれを1か月分の資金にする必要性は低いです。
また、銀行に対する考え方として大事なことがあります。それは、本当に必要な時に必要な資金を銀行から引き出せる状況を作っておくことです。銀行からすれば、お金を貸しているということは取引があるわけです。取引があれば経営状況について、報告したり、そういうつながりが常に銀行とあるはずです。それが大事なんです。
私は、このように、中小企業と銀行との付き合い方や考え方についても、経営者の皆さんにレクチャーすることも重要な仕事の一つだと思っています。
「家計」と「経営」とは違います
それを理解することが、まずは経営者にとっては重要だと思っています。