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Category Archives: 銀行融資


いろいろな業種の企業がある中、昨年よりも今年の方がよくない企業も多いと思います。昨年は融資を受ける必要はなくて使わなかったが、今、いわゆるコロナ貸付を使うことができるのか、という疑問を持たれる中小企業経営者も多いと思います。そこで、今日は日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」について、こういう場合はどうなるのかという点について書いていこうと思います。

いろいろな業種の企業がある中、昨年よりも今年の方がよくない企業も多いと思います。昨年は融資を受ける必要はなくて使わなかったが、今、いわゆるコロナ貸付を使うことができるのか、という疑問を持たれる中小企業経営者も多いと思います。そこで、今日は日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」について、こういう場合はどうなるのかという点について書いていこうと思います。」

まず、この日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」(以下は「コロナ貸付」と略して書きます)とは、最近1ヵ月間等の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます)の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している中小企業が対象です。

公庫の既存の融資制度を適用した貸付残高にかかわらず別枠で、融資限度額は8,000 万円です。このうち 6,000 万円(日本公庫の既存融資のお借換部分も含みます。)を限度として、当初3年は災害発生時の 融資制度に適用される基準利率から 0.9%低減した利率が適用されます。3年経過後は災害発生時の融資制度 に適用される基準利率となります。

さて、疑問の一つ目です。

この政策金融公庫の融資を既存の融資の借り換えで利用することはできるのでしょうか。

公庫のQ&Aによると、以下のように書かれています。

お借換日までの利息等は必要ですが、基本的には可能です。 なお、以下の要件を満たす「つなぎ融資」に対応する場合を除き、民間金融機関の借入金のお借換えにはご利用いただけません。

 ① お客さま、民間金融機関のいずれからも、「日本公庫の新型コロナ感染症対策関連の融資を受ける予定でいたが、その間のつなぎ融資と認識して民間金融機関から融資を受けた(民間金融機関は融資を行った)」ことが確認できること。

 ② 前①で受けた融資の実行日が、新型コロナウイルスに関する経営相談窓口の設置日(令和2年1月29日) 以降であること。

公庫の既存融資を借り換えて「コロナ貸付」に一本化することは可能ですが、民間の金融機関の借り換えは基本的にはNGです。民間金融機関の融資を公庫のコロナ貸付に借り換えできるのは「つなぎ融資」という一部の例外的な場合に該当する場合だけです。

次の疑問です。これも私も顧問先の中小企業の経営者からいただくことの多い質問です。

この「コロナ貸付」は直近の売り上げが5%減となっていることが要件となっています。ところが、直近だと売り上げが5%減ではないケースも多々あります。そのような場合にはこの「コロナ貸付」が使えないのかという点です。

これについても、公庫の「コロナ貸付」のQ&Aに書かれています。

「ご利用いただける方は「最近1ヵ月間等の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高 が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している方」とされていますが、新型コロナウイルス感 染症の影響でここ2週間で売上が急減しているものの、今月の売上高としては前3年のいずれかの年の同期と比較すると増加しています。このような場合は、新型コロナウイルス感染症特別貸付は利用できないのでしょうか。」

「最近1ヵ月間等(※)の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高」は、単純な前 3年のいずれかの年の同期の売上高との比較だけでなく、売上高の確認日を基準として、①確認日の前月の売 上高又は②確認日の前日や直近の売上集計日から遡って1ヵ月の売上高等を確認させていただきます。 たとえば、確認日が令和2年7月 18 日の場合は、最近1ヵ月の売上高は、①令和2年6月の売上高又は② 令和2年6月 18 日から令和2年7月 17 日までの合計売上高などで確認させていただきます。 なお、その際には帳簿等を確認させていただくことがございます。

(※)「最近1ヵ月間等の売上高」には、最近1ヵ月間の売上高に加え「最近 14 日間以上1ヵ月間未満の任意の期間」の売上高 を含みます。

上記のほかにも5%減ではないケースとして、たとえば、直近だと4%減だったとか、昨年は法人なり前の個人事業であったため、むしろ売り上げが今年の同月と比べると少なかったとか、そういったケースもあります。いずれもまずは公庫の担当者にその旨を相談してみた方がいいでしょう。

また、3年間利息が実質かからないという実質無利子化の制度もこの「コロナ貸付」を使うことで引き続き利用可能です

新型コロナウイルス感染症特別貸付は、一定の要件に該当する場合、当初3 年間、6,000 万円を限度として、災害発生時の融資制度に適用される利率から 0.9%低減した利率が適用されます。 ご融資後は、利息も含め日本公庫にご返済いただきますが、後日、低減した利率の利息部分について、お客さまへ3年間分の利子相当額を一括で助成する 利子補給の制度(特別利子補給制度)を中小企業基盤整備機構が実施しており、利子補給を受けることで、当初3年間は実質的に無利子でご利用いただけます。

これについては、私の以前のブログを参考にしてみてください。↓

以上、今日はまだまだ利用できる「コロナ貸付」の話でした。



コロナ禍にあって、日本政策金融公庫から昨年、融資を受けた事業者の方も多いと思います。

日本政策金融公庫から受けた融資がコロナ禍にあっての特別な融資だった場合、「新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度」というのが使えることがあります。今日はこの制度についての話です。

この「新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度」、通称、「特別利子補給制度」というのは、日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関からコロナ禍の貸し付けを受けた場合、最大で3年間、利子相当額を一度に受け取ることができるものです。

この制度は、コロナ禍にあって、政府系金融機関から借り入れをした場合、小規模の個人事業主は無条件に受けられるもので、小規模の法人事業主は、確認する最近1か月に加え、その後の2か月も含めた3か月間のうちのいずれか1か月で⽐較(前年⼜は前々年と同期⽐較)売り上げが15%以上減少している場合や、小規模事業者でない中小事業主の場合、売り上げが20%以上減少している場合に受けられるものです。(以前の私のブログを参考になさってください↓)

この特別貸付制度に該当すると、対象期間分の利子が一括で振り込まれます

問題なのはこの経理処理です。

入金があったときに一括で収入計上すればいいのでしょうか。

収入はいつ計上すべきなのか。法人税や所得税では、「収益計上時期」の原則というのがあります。原則として収入は、「その収入すべき権利が確定した日」に計上すべきであることになっています。法人であれば、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度、個人であれば、その収入すべき権利が確定した日の属する年分に、それぞれ計上することとなります。

そこからすると、この利子補給の入金は入金が確定したときに全額、収入計上すべきであることになります。

ですが、これについては、令和3年2月26日に更新した国税庁のFAQに回答があります。

該当する部分をそのまま以下に抜粋します。

「この特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、その融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものです。
 そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
 加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。
 このようなことから、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
 なお、この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、一旦前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。」

つまり、入金時にはいったん前受金で経理処理します。

(普通預金)/(前受金) ×××

そして、決算時に支払っている利息と同額の分を前受金から収入に振り替える形で以下のような処理をします。

(前受金)/(雑収入) ×××

このように処理することで支払利息(費用)と雑収入(収入)が同じ期にそれぞれ同額が計上され、実質、無利子化が図れるというわけです。

また、特別利子補給制度に似ているものとして、民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度というのがあります。これを使って融資を受けた事業者の皆様も多いことと思います。この制度は、都道府県などが一定の制度融資について、保証料や利子を補助する制度です。これらの制度はほとんどが保証協会等に対して国等から補助分が直接支払われ、事業者が支払うことがないものになっています。そのため、これらの補助分は処理は特に必要とされていません。(国税庁のFAQにもこのことが載っています)

政策金融公庫などの政府系金融機関の場合との違いに注意しましょう。

ということで、今日は政府系金融機関からの利子補給を受けた場合の経理処理の話でした。



本政策金融公庫や商工中金などのいわゆる政府系金融機関からコロナの融資をうけた事業者の方は、「特別利子補給制度のご案内」というのが届いていると思います。

「この書類はどうしたらいいの?」というお問い合わせを私の顧問先からも数多くいただいております。今回はこの「特別利子補給制度」について、解説したいと思います。

まず、この政府系金融機関での新型コロナウィルス感染症特別貸付を受けた場合の利子補給制度の概要からお話を進めましょう。

新型コロナウィルスの貸付を受けた事業者に対して、借入した日から最長3年間の利子相当額のお金をもらえるというのがこの制度の概要です。

新型コロナウィルス感染症の影響で売り上げが減少した事業者向けの制度であるということがまずあります。

さて、この利子相当額の助成金を受けるにはどんな要件が必要でしょうか。

次の3つのうちのいずれかに当てはまることが必要となります。

①個人事業主・・・要件なしですべて該当します。

②法人のうち小規模事業者・・・前年もしくは前々年同月比で売り上げが15%以上減少していること

③②以外の法人(中小企業者等)・・・前年もしくは前々年同月比で売り上げが20%以上減少していること

個人事業者の場合には無条件でこの利子補給制度を使えます。法人の場合には②に該当するのか、③に該当するのかという判断が出てきます。

②に該当するのがどういう法人かがわかればいいわけです。

これは二段階あります。

まずは、業種です。これは「日本標準産業分類」というので判断します。法人の主たる事業がこの日本標準産業分類のどれにあてはまるのかを判断しないといけません。

これは、利子補給制度の「申告書A」の裏面に記載があるのでそれで確認しましょう。業種によって従業員数が20人以下なのか5人以下なのかが変わってきます。

②に該当すれば売り上げの減少が15%で要件クリアとなりますし、②に該当しない中小企業なら売り上げの減少が20%以上となります。

さて、この要件に当てはまったとします。次に、「申告書A」の「2 売上高減少判定」という部分でみなさん悩むようです。これは先ほど判定した売り上げの減少のところを確認する欄です。日本政策金融公庫等の政府系金融機関での借り入れの申し込みをしたときに売上の減少が15%以上もしくは20%以上となっているというのを確認するためのものです。

政策金融公庫で借り入れをする際、この売り上げの減少というのを確認しているはずです。それを書いていきます。

この利子補給制度の用紙の肝はここになりますから、くれぐれも売上の減少が要件を満たしているか、きちんと確認していきましょう。

それから、「申告書」のほかに提出する書類は2つ、全部で3つです。

「様式1」特別利子補給助成金交付申請書及び請求書

「別紙1」誓約・同意書

「別紙2」申告書

「様式1」と「別紙1」は記入していくだけです。問題はないでしょう。

「別紙1 誓約・同意書」と「別紙2 申告書」の右上に「取引番号」を記載する欄があるので記載を忘れないようにすれば他は問題ないと思います。

また、「申告書」ですが、業歴が1年1か月以上の場合は「申告書A」に書いていくことになります。ですが、業歴が3カ月以上1年1か月未満の場合には、「申告書B」個人事業主の場合には、業歴が1年1か月以上の場合には「申告書C」個人事業主で業歴が3カ月以上1年1か月未満の場合には「申告書D」となります。

業歴が1年1か月未満と短い場合、この利子補給制度が使えないわけではありません。「前年または前々年」との売り上げの比較になっているので、書けないとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、そもそも用紙が違うのです。また、個人事業主の場合、これも用紙が違います。政策金融公庫等から送付されてきた中にはこうした「申告書B」「申告書C」「申告書D」が入っていないこともあるかもしれません。自分がどれに該当するのかよく注意してください。

用紙がなければ、「新型コロナウィルス感染症特別貸付利子補給制度で検索すれば専用サイトが表示されます。そのサイトから探して印刷してみてください。

それから、申請書は出したら出しっぱなしです。控えはありません。コピーを取って提出したほうがいいでしょう。提出は専用の返信用封筒があるはずです。もし専用の返信用封筒をなくしたのであれば、お持ちの封筒でお送りすればいいでしょう。その場合、10月27日以降は送付先が変わっていますから注意しましょう。(10月27日以降も旧送付先に送っても問題はないようです)送付先はこれも「新型コロナウィルス感染症特別貸付利子補給制度」の専用サイトに記載されていますからそれをみて送ってください。

そして、この利子補給制度は申請期限があります。12/31までに提出が必要です。期限がある話ですから、間に合うように十分に留意しましょう。

その他、ここに書ききれなかった細かなことは下記の「新型コロナウィルス感染症特別利子補給事業について」を参照してみてください。

https://www.smrj.go.jp/news/2020/riho.htm

ということで、今日は政府系金融機関の利子補給制度の話でした。



コロナの関係で日本政策金融公庫の借入を利用される方も多くなっています。 融資が決定され、契約書を取り交わす際に公庫の担当者に必ず聞かれるのが「団体信用生命保険に加入しますか」というものです。

そこで私が顧問先の皆さんから聞かれるのがこういった質問です。

団体信用生命保険(団信)って加入する必要はあるの」「そもそも団信って何

今日はこの「団信」についてみていきましょう。

団体信用生命保険というのは住宅ローンなどにもありますが、日本政策金融公庫の事業の借入金についてもあります。公庫団信制度と呼ばれています。 公庫団信制度とは何かというのは次のように書かれています。

死亡・所定の高度障がい状態になられた場合に補償します。 ご加入者が死亡または所定の高度障がい状態になられた場合、残りの債務が全額弁済されます。 株式会社日本公庫(国民生活事業)または沖縄公庫のご融資を受けられた方がご利用いただけます。 事業資金融資(貸付種類に限定があります)または恩給・共済年金担保貸付が対象です。 事業資金融資団信保険をご利用いただけるのは、満15歳以上 満68歳未満の方です。 恩給・共済年金担保貸付団信保険は、満15歳以上 満80歳未満の方です。 年齢の基準日は、告知日(申込書兼告知書の記入日)現在です。 (公益財団法人公庫団信サービス協会 HPより抜粋)

要するに、事業主が公庫の借入金をした後、死亡したり重度障碍者になったときに残債を保険で賄うというものです。

引受先の保険会社があり、明治安田生命や第一生命などの日本の保険会社となっています。 保険としては、全額掛け捨ての保険です。

保険料の金額としてはおおよそ借入額の0.25%前後のようです。

つまり、1000万円の借入金でだいたい年額25,000円くらいです。保険料がだいたいいくらくらいになるのかという参考としてみてください。

また、この保険の加入の有無が審査に影響するかということもよく聞かれます。これは審査上にはまったく影響がないようです。

そもそも契約書が送付されてきて(融資額や返済方法が決まっていて)同時に団信の資料も送付されてくるので、審査に影響がないことは明らかです。

ですから、純粋にこの保険自体に加入する必要はあるのかどうかという点から考えればいいということになります。

さて、ここからは私が顧問先の皆さんに「団信は入ったほうがいいですか」と聞かれたときに必ずお答えしていることです(もしこのブログをご覧になっている私の顧問先に方がいらしたらたぶん同じことを言っています。)

加入が必要な場合というのは、たとえば次のような場合だと思います。

個人で他に保険に入っていない

借入金の金額が会社の規模に比べて大きい

役員に家族がおらず、社長自身に何かあった時に事業を引き継ぐ人がいない

他にもあるでしょうが、上記のようなケースに複数、該当しているのでしたら加入を検討してみてもいいと思います

通常は個人で保険に加入済みであって、少なくとも借入金額が1000万円にみたないような場合には不要だと私は考えています。

また、加入した場合の保険料の経理処理についても注意が必要です。法人と個人とで処理の仕方が違うからです。

法人の場合には問題なく、全額損金として経理処理できます。

しかし、個人の場合には、必要経費にはなりません。

しかも、支払った金額は生命保険料控除の対象にもなりません。

一方で、この保険によって債務の弁済がなされた(つまり事業主が死亡するか、重度障碍者になった場合)にはどのように経理処理されるのでしょうか。

法人の場合には、弁済された金額が益金処理されます。つまり、利益になるわけです

支払った金額が損金、つまり経費になるため、もらったら課税されます。

ということは個人はどうなるかというと、個人の場合には所得税は課税されません。個人は支払ってももらっても税金には関係しない形になっているわけです

まとめますと、団信に加入するかどうかは、純粋に必要か必要でないかその一点で考えていただければと思います。 以上、日本政策金融公庫の借入の際の「団体信用生命保険」の話でした。



もうこの2ヶ月近く、仕事の中心はコロナの関係の話です。このブログもここ2カ月はコロナ関係の話を書いています。

コロナ関係で私のところへのお問い合わせが多いベストスリーは、①雇用調整助成金 ②持続化給付金 そして、③無利子無担保融資です。

実質無利子無担保融資として日本政策金融公庫の融資制度があり、先行して運用しています。この4月30日に補正予算が通り、民間金融機関でも実質無利子無担保融資ができるようになったことはご存知でしょうか。今日はその制度の概要についておさらいしていきたいと思います。

まず、日本政策金融公庫の実質無利子無担保融資はどんなものだったかというと、以下の私のブログを参照してみてください。

実は国が進める民間金融機関の無利子の融資制度とは別に、自治体によっては無利子で保証料なしの融資制度を設けているところがあります。東京都内でも世田谷区や新宿区などでもそうした民間金融機関の無利子・保証料負担なしの融資が4月1日から始まっています。今回は、それを住んでいるもしくは事業をやっている地域にかかわらず全国的にできるように整備されたという話です。

民間金融機関の融資制度は都道府県ごとにある信用保証協会を通した融資となります。信用保証協会の融資とは、信用保証協会に保証料を支払い保証人の代わりになってもらうものです。信用保証協会に保証人の代わりをやってくれることで銀行は融資をすることができます。通常、銀行は今までまったく取引のない会社とはこの信用保証協会の融資を進めてきます。銀行としては保証協会があることで円滑に融資ができているわけです。

信用保証協会の絡む融資制度には「一般枠」と「セーフティネット保証」といわれるものがあります。通常の銀行融資は「一般枠」という枠を使って融資をします。「セーフティネット保証」というのは景気が悪くなったり、災害があったりという通常ではない状態があると使われる制度です。この「セーフティネット保証」には従来から4号5号という制度があります。

まず、「セーフティネット保証4号」とは、1年以上その地域で事業を行っている事業者が対象となります。直近1か月の売り上げが前年と比較して20%以上減少している場合に受けられるものです。その特徴は信用保証協会が100%保証することです。つまり、仮に借入金が返せなくなった場合、信用保証協会が100%肩代わりする融資です。金融機関的には4号融資は仮に返せなくなっても信用保証協会が100%肩代わりしてもらえるノーリスクの融資であるわけです。そのため、できればこの4号の融資を使いたいわけです。

そして、「セーフティネット保証5号」ですが、これはまず指定業種があります。今回のコロナ対応でほとんどの業種が対象となっていますが、まずは対象業種かの確認が必要です。また、最近3カ月の売上が5%以上減少した場合に受けられるものです。4号と比較するとわかりやすいのですが、5号の方は信用保証協会が保証するのは80%までです。つまり、仮に借入金が返せなくなった場合、信用保証協会は80%部分を肩代わりする融資です。売り上げの減少割合が5%と低くなる分、金融機関の負担割合も少し上昇します。

これらの4号・5号の「セーフティネット保証」のほかに、今回、「危機関連保証」というのが新たに加わりました。

この「危機関連保証」は前年同月比で売り上げが15%以上減少している場合が対象となります。保証の割合は100%です。つまり、借入金が返せなくなったとしても100%信用保証協会が負担する融資なわけです。また、この「危機関連保証」というのは、業種の縛りがありません。その意味では、4号に近いものです。

さて、ここからが民間金融機関の無利子融資の話になります。

まずは、上記の「4号」「5号」「危機関連保証」のいずれかを受けたうえで、以下に該当すると、金融機関に支払う利子や信用保証協会に支払う保証料が実質的な負担なしで受けられることになります。

個人事業主・・・売上5%以上減だったら、保証料・金利が実質ゼロ

法人・・・売上5%減だと保証料の1/2

     売上15%以上減だと保証料・金利がゼロ

【融資額】3000万円が上限

【据置期間】5年以内

【融資期間】10年以内

当初3年間は国から利子部分と保証料を利子補給されます。つまり、いったん利子の負担をしておいてあとから利子や保証料の分のお金をもらえるということです。4年目以降は通常の利子となります。日本政策金融公庫の無利子・無担保融資とこの辺は同じです。

さて、今回の民間金融機関の実質無利子を含むこれらの制度ですが、最大の特徴は、私は「既往債務の借り換え」にあると思っています。「信用保証付き既往債務も対象要件を満たせば、制度融資を活用した実質 無利子融資への借換が可能」だといっているのですが、これは、言い換えると、信用保証協会の融資がすでにある場合、それを借り換えして今回の融資に一本化し、返済期間を延ばした形で実質無利子の融資に組み替えることができるというものです。

たとえば、従来から保証協会の融資が2つあって合計で2,000万円の残高だったとします。一方で、今回、1,000万円の融資を受けたいとします。複数ある借入金を一本化して返済期間を10年に延ばすことで月の返済額を減らすことができ、なおかつ、当初3年間は実質無利子にできるというわけです。

今回の制度を上手に使えば、新規の融資も受けつつ、資金繰りを大幅に改善することにも役立ちます。

ただ、保証協会の融資でも一本化できないものがあります。

信用保証協会の保証割合が違うものは一本化できないというルールがあります。4号融資は100%信用保証協会が負担します。一方で、従来、「一般枠」で借りた信用保証協会の融資はほとんどが信用保証協会の負担割合は80%のはずです。この負担割合が違う融資は一本化できないというルールがあります。(保証協会の負担が100%のものと80%のものとで銀行側の入る保険の種類が違うためだそうです)

ですから、たとえば、既往債務の借り換えを同時に進めたいのであれば、あえて4号融資ではなく5号融資(保証割合80%)を受けておいて、既往債務との一本化は5号融資で進めるという手はあります。先ほどの例でいえば、2000万円の既往債務は5号融資で一本化しておいて、1000万円の方は「危機関連保証」の枠で融資を受けるという組み合わせも可能なわけです。

すでに信用保証協会の融資を受けている場合には、どういう組み合わせにしたらいいのかということもよく考えたほうがいいでしょう。

さて、では、これらの「4号」「5号」「危機関連保証」の融資を受けるにはどうしたらいいのでしょうか?まずは、各市区町村の産業振興課などで「認定申請書」に印鑑をついてもらわないといけません。この「認定申請書」をもらうためには月の売上高の確認できる資料をもっていかないといけません。通常は「月次損益計算書」といわれるものです。売上高や経費が月ごとに記載されている書類です。会計ソフトに入力すればそのソフトで出力可能な書類になります。結構、きちんとこの部分はチェックされますから、変に調整したりするようなことはしないほうがいいです。顧問税理士や会計士がいるのであればまずはご相談が必要です。

また、これはよく聞かれるのですが、日本政策金融公庫から融資を受けていても民間金融機関の無利子制度を使ってもいいのかということです。これらは別の制度であり、問題はありません。私の顧問先もほとんどの方が日本政策金融公庫の融資と民間金融機関の無利子制度と両方を申請する形になさっているところがほとんどです。審査の過程で両方で借り入れの申請を出していることが考慮されることはあるとは思いますが、そのために融資が受けられないということでもないと思います。私見ですが、今回は公庫と民間銀行の両方に同時に申請しておいたほうがよろしいかと思います

それから、今回ご紹介した民間金融機関の融資制度はすべて「前年」との比較で〇%の売り上げ減少としています。一方で、日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」は「前年」だけでなく、「前々年」と比較してもいいことになっています。昨年の同月がたまたま売り上げが低かった場合、さらにその前の年を見て前々年との比較で売り上げ減少がある場合には、民間金融機関の融資ではなく、日本政策金融公庫の融資を検討するということも可能性としてあります。

また、事業を始めて1年未満の場合には、今回のコロナ関係の貸し付けを受ける場合、4号融資は受けられません。1年以上事業を行っていることが要件にあるためです。この場合もやはり、日本政策金融公庫の融資をまずは検討していくことになります。

現在、日本政策金融公庫の融資、民間金融機関の融資、いずれも時間がかなりかかってしまっているようです。融資の申し込みをしてから1か月以上たってしまうケースも多いです。上記を参考にして早め早めの対応をなさってはいかがかと思います。

VMO新型コロナウイルス対策支援


新型コロナウィルスに関連した融資について、私のところにも連日、問い合わせがあります。

この融資は主に、4つに集約されます。よりいい条件の融資を受けるためにも、この際この4種類について知っておきましょう。

まずは、それぞれがどんな要件があるのか、次に融資限度額、返済期間、据え置き期間、金利の4つで比較してみてみましょう。

  • セーフティネット貸付

この融資は売上高が5%以上減少といった要件にかかわらず今後、売上が減少すること中小企業であればこのセーフティネット貸付が受けられます。

【融資限度額】中小事業 7.2億円 国民事業4,800万円

【貸付期間】 設備資金15年以内 運転資金8年以内

【据置期間】 3年以内

【金利】   中小事業1.11%  国民事業 1.91%

「国民事業」というのは、主に「小規模事業者」や「個人事業主」のことです。小規模事業者というのは、製造業・建設業・運輸業などの業種の場合には従業員数が20名以下の事業、サービス業やその他の事業の場合には従業員数が5名以下であることを言っています。この条件に当てはまれば「国民事業」に該当します。一方で、「中小事業」は資本金が1000万円以上で5年以上の貸し付けをする場合が原則です。また、国民生活事業に当てはまらない場合に「中小事業」に該当することになります。どちらに該当するのかをまずは判断しましょう。

  • 新型コロナウィルス感染症特別貸付

この融資は次のいずれかに該当する場合に受けられる融資です。

〇直近の売上高1か月分が、前年もしくは前々年とくらべて5%以上減少している

〇業歴が3カ月以上1年1か月未満の場合には、最近1か月の売り上げが次のいずれかと比較して5%以上減少していることが要件です。

 ・過去3か月(最近1か月を含む)の平均売上高

 ・令和元年12月の売上高

 ・令和元年10月~12月の売上高の平均

またこの融資は「無担保」融資であることも特長です。

【融資限度額】中小事業 3億円 国民事業6,000万円

【貸付期間】 設備資金20年以内 運転資金15年以内

【据置期間】 5年以内

【金利】   当初3年間は0.21%(基準金利1.11%-0.9%)

4年目以降はその時点の基準金利

すでに別の融資を政策金融公庫で受けている場合にも、さかのぼって適用することが可能です。すでに別に融資を受けていてもこの枠に変更することも可能ですので検討してみましょう

  • 特別利子補給制度

この融資がいわゆる「無利子」融資です。

この「無利子」融資に該当するには、前提として、前回のブログで書いた商工中金の新型コロナウィルス対策の融資に該当するか、もしくは、日本政策金融公庫の新型コロナウィルス対策感染症特別貸付に該当する(上記の②に該当する)か、というのが前提にあります。

その場合に、売上の減少が大きい事業者には借り入れの当初3年間は利子補給があるという制度です。

「利子補給」というのはいったん利子部分を負担しておいてあとからその利子部分についてお金を返してもらえるというものです。

この「特別利子補給制度」を利用できる要件は以下の3つの形態があります。

個人事業主:要件なしで「無利子」融資に該当します

小規模事業者:売り上げの減少が前年同月比で15%以上

中小企業者(小規模事業者以外の中小企業):売り上げの減少が前年同月比で20%以上

小規模事業者というのは法人形態の事業所で、製造業・建設業・運輸業などの業種の場合には従業員数が20名以下の事業、サービス業やその他の事業の場合には従業員数が5名以下であることを言っています。いわゆる「国民事業」に該当する場合です。「国民事業」に該当しなければ中小事業者です。日本政策金融公庫の融資が「国民事業」と「中小事業」に区分することから、この判断基準が特別利子補給制度にも使われています。

個人事業主だと、売り上げの減少が何%かに関係なく、実質無利子の制度が使えるというのも非常に特徴的なところです。

  • マル経融資の金利引き下げ

マル経融資というのは、商工会議所などを通じて行う小規模事業者の融資制度です。

以前にこのブログでもご紹介したことがありますので、下記を参照してみてください。

さてこの商工会議所(商工会)を通じた日本政策金融公庫のマル経融資にも新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえた特例措置というのがあります。

要件としては上記の①から③と似ていて、最近1か月の売り上げが前年または前々年の郷月と比較して5%以上減少していることです。

【融資限度額】1,000万円

【据置期間】 3年以内

【金利】   当初3年間は0.21%(基準金利1.11%-0.9%)

4年目以降はその時点の基準金利

これらの日本政策金融公庫の融資は、一般枠と呼ばれる通常の融資とは別枠の融資となります。融資枠が別になっているということは、たとえば政策金融公庫で最近、借入をしていてもそれとは別の融資という意味です。ですから、最近、融資を受けていてもそれとは関係なく融資を受けることができるわけです。

新型コロナウィルスの影響で売り上げの減少がみられるような場合、この際、積極的にまずは日本政策金融公庫のこうした融資制度を活用することをお薦めしたいと思います。



今日も中小企業向けの新型コロナウィルスに関しての情報提供をしようと思います。

今日のテーマは商工中金の新型コロナ対策融資の情報提供です

日本政策金融公庫でも新型コロナウィルスに関連して融資制度がありますが、同じような制度が商工中金にもあります。

対象となる中小企業の新型コロナウィルスに関連して直近の売上高1か月分が、前年もしくは前々年とくらべて5%以上減少していることが要件です。

また、業歴が3カ月以上1年1か月未満の場合には、最近1か月の売り上げが次のいずれかと比較して5%以上減少していることが要件です。

 ・過去3か月(最近1か月を含む)の平均売上高

 ・令和元年12月の売上高

 ・令和元年10月~12月の売上高の平均

昨年との比較というのがよく要件になっていますが、業歴が短くても対象になる可能性があるので、最近事業を始めたようなケースではそこも検討してみましょう。

そのうえで、融資限度額、返済期間、据え置き期間、金利は以下のようになっています。

【融資限度額】3億円

【貸付期間】 設備資金20年以内、運転資金15年以内

【据置期間】 5年以内

【金利】   当初3年間は0.21%(基準金利1.11%-0.9%)

4年目以降はその時点の基準金利

また、売上が中小企業の場合には前年同月比で20%以上減少している場合、小規模事業者の場合には前年同月比で15%以上減少している場合、貸付残高が1億円までは金利の0.21%の部分も利子補給を受けることができます。利子補給というのはいったん利子を負担し、そのあとでその利子部分のお金をもらうことができるものです。あとから利子補給を受けることで実質的に「無利子」になる融資制度です。

商工中金の融資を受けるには商工中金の組合員になる必要がありますからその点は注意点です。また、これらは政策金融公庫の融資とほぼ同じ条件ですから、政策金融公庫の融資とどちらがいいのかを検討する必要があります。

その辺を考えると、日本政策金融公庫の融資をまずは検討したほうがいいのかもしれません。

次回は、日本政策金融公庫の4つの融資制度についてまとめてみましたので次回のブログと合わせて参考にしてみてください。



最近はニュースを見れば連日、「コロナ」です。

ニュースだけではなく、実体経済がいろいろとまずい状況になっています。私の顧問先からもコロナ関連で連日、多くの方からたくさんのご質問を受けます。

そこで、今日は、コロナ関連の金融機関の貸付制度について、説明していきたいと思います。

コロナ関連の借り入れというとまず聞かれるのが、「無利子・無担保の融資があると聞いたのでそれを受けたい」というような話です。これには要件があります。順を追って説明しますので、このブログで概略を理解していただければと思います。

まず、今回のコロナ関連の融資としては大きくは2種類あります。

一つは信用保証協会を通じた融資制度です。

信用保証協会は都道府県ごとにあるので、都道府県独自の制度もありますが、ここでは国が支援するコロナ関連の貸付制度についてご説明します。

信用保証協会の融資には「一般枠」というのと「特別枠」というのがあります。

一般枠というのは通常の保証協会を使った融資です。銀行と保証協会の責任割合(借りている人が返せなくなった場合にどちらが何割負担するかという割合)が銀行が2割、保証協会が8割というものです。

一方で、特別枠というのがあります。これは今回のように国が保証協会を資金的に支援して金融機関が貸し付けをしやすいようにする融資枠のことです。この特別枠には、さらに「4号融資」と「5号融資」とがあります。

4号融資は国が100%保証してくれる融資です。借りた人が仮に返済できなかった場合、保証協会に国が100%お金を出してくれるというのが4号融資です。金融機関としてはできればこれでやりたいわけですが、要件のハードルが少し高いというわけです。前年同月比で売り上げが20%以上減少していることが要件となっています。通常はこの4号融資は対象地区などに制限がありますが、今回のコロナの関係では対象地域の制限が外れ、3月2日に全都道府県が対象になりました。前年の同月(1か月でいいです)で比べて売上の減少が20%以上ある場合、4号貸付が考えられます。

もう一つの「5号融資」は国が保証してくれる割合が80%になるものです。もし貸していた人が返せなくなった場合の保証協会の負担が2割はあるというのが5号貸付です。5号貸付は保証協会の負担割合が多少、ある分、やや要件が緩くなります。売り上げの減少が前年同月比で5%以上だったら5号貸付が使えます。20%まで減っていない場合、5号貸付を検討することになります。ただ、この5号融資には対象業種があります。対象業種になっていないと5号融資ができないのですが、今回のコロナの件で、対象業種がかなり広がっています。対象業種になるのであれば5号貸付も考えられます。

この信用保証協会の4号・5号の融資は、ほかで保証協会を使った融資があってもそれとは別枠として判断されます。金融機関側もこの4号や5号の枠を使ったほうが貸しやすいので、コロナ関連で売り上げの減少がみられる場合、この4号・5号を使った融資を勧めてきます。4号・5号の融資は是非、検討したいところです。

そして、もう一つが日本政策金融公庫を使った融資制度です。

新型コロナウィルス感染症特別貸付」というものです。これは売り上げの減少が前年同月と比べて5%以上減少している場合に使えます。比較するのは前年同月の1か月でいいとされています。

日本政策金融公庫の貸付制度では、「国民生活事業」と「中小企業事業」という二つの区分があります。このどちらになるのかというのがまずあります。

国民生活事業」というのは、主に「小規模事業者」や「個人事業主」です。小規模事業者というのは、製造業・建設業・運輸業などの業種の場合には従業員数が20名以下の事業、サービス業やその他の事業の場合には従業員数が5名以下であることを言っています。この条件に当てはまれば「国民生活事業」に該当します。一方で、「中小企業事業」は資本金が1000万円以上で5年以上の貸し付けをする場合が原則です。また、国民生活事業に当てはまらない場合に「中小企業事業」に該当することになります。日本政策金融公庫の融資では、「国民生活事業」に当てはまったほうが金利が安くなるなど有利になります。

さて、ここから多くの方から質問をいただく「無利子・無担保」というのを説明します。

まず、「無担保」ですが、この「新型コロナウィルス感染症特別貸付は現在、原則「無担保」です。 そして、「無利子」の方ですが、これは正確には、借入当初から最大で3年間、利子の部分について補助を受けるというものです。4年目以降は利率が変更になるのですが、その利率が変更になる前の3年間が実質、無利子になるというものです。

この「新型コロナウィルス感染症特別貸付」に該当しているうえで、次の要件に当てはまった場合に「無利子」となります。

  • 個人事業主・・・要件なし
  • 小規模事業者(法人事業者)・・・売上が前年同月比15%以上減少している
  • 中小企業者(上記➀➁を除く事業者)・・・売上高が前年同月比で20%以上減少している

上記の②の小規模事業者というのは、従業員数が5名以下(製造業等は20名以下)の場合です。売り上げの減少が著しい場合、これを使って実質、無利子にできるという話です。

また、日本政策金融公庫の融資制度では、借入当初から最大で5年間は利子のみの返済とする返済の据え置きが可能です。加えて、設備資金なら最大で20年以内、運転資金なら最大で15年以内の貸し付けが可能となっています。また、貸付額も最大で国民生活事業なら6000万円、中小企業事業は3億円が限度額となっています。もちろん審査次第なので、据え置きや返済期間、借入額については限度額いっぱいまでできるということではないですが、余裕をもって融資を受けることは可能であるということです。

せっかくこうした融資があるのでこれを使わない手はありません。保証協会を使った融資や日本政策金融公庫の融資などを組み合わせてこのコロナ関連での不況を何とか乗り切ってもらいたいと思います。



今日は私の顧問先であった話を元に書いていきます。

この顧問先の介護事業所は、介護保険法の改正のたびに影響を大きく受け、改正後に経営状況が悪くなるということを繰り返していました。年々、経営状況が厳しい状況にあり、いよいよ介護保険外のサービスを中心に事業所経営をしていこうと舵を切っているところです。介護保険外サービスの新規事業に参入するということは資金が必要なわけで、金融機関からの借入が必要な状況なわけです。ところが、ここ数年、あまり経営状況がよくないためほとんど銀行に顔を出さなくなっていたということです。

そこで、銀行融資についてのご相談を私が受けたということです。

そもそもなぜ銀行に行かなかったのでしょうか?

おそらく、経営状況が悪い状況で行くといろいろと自社に不都合なことを言われると嫌ったということなのでしょうか。これでは状況が悪いから行かないなどということでは銀行との関係も上手くいくはずはありません。

銀行にはいいところを見せておきたい。

銀行にいちいち状況を説明しなくてもいい。

決算時以外に試算表を銀行に提出することはしたことがない。

そもそも決算書も銀行から言われるまでは出さない。

このような意識の経営者の方は要注意です。

考えてもみてください。

ちょくちょく会っていて、家族のことや仕事のことなど、その人のことを良く知っている人が「お金を貸してほしい」と言われた場合と、一方で、高校の同級生で何十年ぶりかに会う友人に「お金を貸してほしい」と言われた場合とで比較して考えてみたらわかると思います。何十年ぶりに会って状況がどうなのかわからない人にお金を貸すでしょうか?

銀行だって同じなわけです。

状況が悪い時はなおさらです。銀行に足繁く通って、自社の企業の状況を報告に行っていないといけません。これからこうするから業績は回復するという説明を聞いていて、金融機関側も状況が悪いことを把握していたとしたら、いざというときに頼りにできる存在になる可能性が大きいです。

件の社長さんも経営状況がいい時には毎月のように銀行に試算表をもって自社の経営状況を報告に行っていたものです。私も同席してほしいと言われて、よく一緒に銀行に行っていました。ところが、経営状況が悪化するにつれて、銀行へ行く頻度が減っていきました。私も行く回数が減って、一緒に行くことはなくなりました。ついには、社長さん自身が決算が終わっても決算報告すらいかなくなってしまったのです。その状況でいきなりお金を借りに行っても借入することは難しいでしょう。

銀行といっても担当者は「ヒト」です。信用というのは、頻繁に経営状況を報告しに行ったりして、少しずつ醸成されていくモノです。時間をかけて銀行との信頼関係を築いていくことがあとでお金を借りるときに活きてくるわけです。

ちなみに、件の社長さんですが、銀行からの融資が難しいため、結局、日本政策金融公庫からの融資を受けることになりました。公庫であれば、経営状況がかなりひどい状況でなければ銀行よりは可能性があると判断したためです。公庫の特徴として、書類上のやり取りになることが多いため、担当者との意思疎通などがあまりなくても、融資を受けられる可能性があるのです。この辺の公庫の融資の考え方は私の以前のブログを参考にしてみてください。

以上、参考になさっていただければ幸いです。




今朝の国会の参議院決算委員会(平成31年4月4日)での議論は企業経営の考え方にも参考になる議論だと思って、しばし聞いていました。どのような議論だったのか、そのサマリーをここで書いていきたいと思います。

 

お金の正体は何かといえば銀行が集めたお金の預貯金の額で貸しているわけではなく、要するに、銀行はこの会社が信用に足りるからお金を貸す、つまり、信用創造をしているわけです。貸したお金によってだれかの預貯金の額が増えている。借り入れが増えれば誰かの預貯金が増える。これが実際に起こっていることなんです。」(自民党 西田昌司議員)

 

マネーストック、マネーサプライというのは銀行預金が企業や家計の資金需要を受けて銀行が信用創造を行うことによって資金貸付を行っていることは確かです。」(黒田東彦日銀総裁)

 

借金は預金を集めて借金をしていると思っていたわけですが、そうではなく、預金は誰かが借金をすることによって出ているんだと、まさにこれは地動説から天動説という話なんです。

通貨がモノだったら、商品だったらそうなんですが、そうではないんです、信用創造なんです。地動説から天動説への大転換が必要なんです。」(自民党 西田昌司議員)

 

この議論は、いわゆる「MMT理論」というものを議論しているものです。MMT理論というのは「政府は紙幣を印刷すれば借金を返せるのだから、政府が破産することはありえない。したがって、財政赤字を気にすることはない。もっとも、財政赤字は無限には増やせない。そんなことをしたらインフレになる。つまり、増税するのはインフレを抑制するために必要だからなのだ」という理論です。つまり、「増税は財政赤字を減らすためではなく、インフレを抑制するために行うのであって、インフレが心配ないのであれば増税は不要である」というのがMMT理論です。(よくわからない方はMMT理論の部分は読み飛ばしていただいて結構です)

 

西田議員と政府とのやり取りはこのMMT理論の是非についてというのが主な論点ですが、これは企業経営においても重なる部分のある考え方だと思いますので、今回のブログで取り上げたいと思います。

 

企業が借金をするということの従来の考え方は銀行が集めた預金を貸しているという考え方でした。しかし、今はこうした考え方は実務的ではないといわれています。むしろ逆なのではないかと考えられているわけです。つまり、銀行が「この会社にはお金を貸せる」と評価してお金を貸すと、その企業の預金残高が増えるわけです。その預金残高が増えることで、様々な企業活動をすることにつながり、様々な用途にお金が使われ、景気が良くなると考える考え方です。銀行は「集めたお金を貸している」のではないというのが前提にあります。銀行がお金を貸すのは「貸せる会社だから貸している」わけです。これを「信用創造」といっているわけです。「実際にあるお金」という「モノ」を貸しているわけではないというわけです。これは私は企業経営の(もっといえば経済の)本質をついている話だと思うわけです。

 

企業経営においてはこの「信用創造」という考え方を理解する必要があります。銀行が「お金を貸せる企業」だと思わせる状況、そのことこそが重要なわけです。それを「信用創造」といっています。この「お金を貸せる企業」と思わせる状況を作ると倒産という企業経営の究極的な状況から遠ざけることができます。つまりは企業経営を存続できる状態にすることができるわけです。企業経営の肝は「倒産から遠い状況に置くこと」だという話は以前のブログでもしました。↴

https://vanguardwan.com/blog/%e9%8a%80%e8%a1%8c%e8%9e%8d%e8%b3%87%e3%81%ae%e9%89%84%e5%89%87%e3%80%81%e3%80%8c%e6%99%b4%e3%82%8c%e3%81%9f%e6%99%82%e3%81%93%e3%81%9d%e5%82%98%e3%82%92%e5%80%9f%e3%82%8a%e3%82%8b%ef%bc%81%e3%80%8d

 

それが「信用創造」なわけです。

 

先日、「整骨院の倒産件数が年間で50件だったという記事があった」と話をしていただいた整骨院の先生がいらっしゃいました。その先生もおっしゃっていましたが、そうなんです。これだけの整骨院の数があっても、昨年1年間で倒産した整骨院はたったの50件なんです。

介護事業所についても、東京商工リサーチの記事に次のような記事があります。

「2018年(1‐12月)の「老人福祉・介護事業」倒産は106件(前年比4.5%減)だった。介護保険法が施行された2000年度以降では、7年ぶりに前年を下回った。ただ、倒産件数は過去3番目に多く、高止まり状況が続いている。」(東京商工リサーチ)

しかし、介護の事業所の数はデイサービスだけでもコンビニエンスストア並みかそれ以上に件数があるそうです。しかし、昨年1年間の倒産件数は100件程度しかないわけです。

そのように考えると、整骨院や介護事業所の企業経営は他の業種と比較すれば、むしろ、経営環境においては他業種に比べ、有利な状況にあると言えます。

 

企業経営にとって重要なことは「信用創造」です。そのためには、銀行などの金融機関から信用される企業を作ることが大事です。今日の参議院の決算委員会の審議をみていて改めて思ったのは、企業経営とは借金の多寡を気にした経営ではなく、銀行などの金融機関から信用される企業を作ること(信用創造すること)が最も大事なことだと改めて認識したわけです。

 

中小企業の経営者の皆さんにとって、今日のこの話が何らかの参考になればと切に思います。