ブログの更新が少し空いてしまいました。
今日は助成金の話で、「生産性要件」というお話を致します。
「生産性要件」って、何かご存知でしょうか。
いろいろな助成金にこの「生産性要件」があります。該当すると、助成金が割増になるというものです。厚生労働省の生産性要件に関する記事のページです。↴
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html
キャリアアップ助成金の正社員化コースであれば、この「生産性要件」に該当すれば57万円の受給額が72万円になります!これはチェックせずにはいられないでしょう。
生産性要件というのは、「3年前と比較して生産性が6%以上改善している」という場合に当てはまります。
具体的には
「営業利益+人件費+減価償却費+賃借料+租税公課」の合計を雇用保険の被保険者数で割ります。その金額が3年前に比べて、6%以上改善していると割増の対象になります。
1人当たりの利益が上がっている場合に対象になるということです。
算式をみますと、該当しそうなのが「利益が増えている」場合や、「雇用保険被保険者数が減っている」場合などです。
「設備投資をして減価償却費が増えた」(減価償却費が増えた)なんていうのも該当している可能性があります。何百万とかいう設備投資を直近の年度でした場合、該当する可能性がありますから、注意してチェックしましょう。
具体的には、上記の厚労省のページに生産性要件の計算シートがあるので、該当する数字を入力してみると確認できます。
その際のポイントは以下のようなものです。
・3年前の決算と比較する
たとえば、3月決算法人だったとします。直近の決算は平成29年3月期。この場合、3年前は平成26年3月期ということになります。これが上記の算式に当てはめて6%以上改善しているかどうかを確認するわけです。決算書をみながら該当する勘定科目を入力してみて改善しているかをチェックしてみましょう。
・勘定科目でしか判断されない
この生産性要件は勘定科目でしか判断されません。たとえば、人件費の中に「通勤交通費」というのも含まれます。ですが、「通勤交通費」を「旅費交通費」という勘定科目にしてしまっている場合には、「通勤交通費」とそれ以外の交通費(タクシー代とか電車代とか)が混在しているため、「この中に通勤交通費が入っているんです」と言ってもダメです。勘定科目を「通勤交通費」と分けていないといけません。
直近の事業年度は、「通勤交通費」といった科目を作って経理処理しましょう。
この辺は、助成金に理解のない税理士だと処理してくれません。「通勤交通費は『通勤交通費』という勘定科目で処理してください」と伝えないといけません。
また、たとえば、住民票や謄本取得の費用は「租税公課」で処理するようにすればいいことになります。ちょっとした会計処理で助成金の申請が有利になることは知っておいていいことです。
・1%~6%の改善でも「生産性要件」をクリアできる場合がある
生産性要件を計算してみた時、6%をわずかに上回らなかった場合というのがあります。その場合は、あきらめてはいけません。
「金融機関から一定の『事業性評価』を得ていれば、生産性要件が1%~6%であれば生産性要件を満たしたものとする」となっています。
金融機関の「事業性評価」というものについて、厚労省は次のように説明しています。
「事業の見立て(市場での成長性、競争優位性、事業特性及び経営資源・強み等)を与信取引のある金融機関に照会させていただき、その回答を参考にして、割増支給の判断を行うものです。なお、『与信取引』とは、金融機関から借入を受けている場合の他に、借入残高がなくとも、借入限度額(借入の際の設定上限金額)が設定されている場合等も該当します。」
これは、ちょっと解説が必要でしょう。要するに、借入金のある金融機関(借入金がなければ口座のある金融機関)に「事業性評価」の書類に捺印をもらってね、と言っているわけです。具体的には、「与信取引に関する情報提供に関する承諾書」(様式3号)という書類があります。通常は事業の借入をしている金融機関に照会することになるでしょう。
こうしたこともありますから、金融機関からいくらか借入金があった方がいいとも言えます。借入金のない金融機関にこうした書類に印鑑をもらうのはやりづらいでしょうからね。
助成金の上乗せ支給の対象になる「生産性要件」これは、実は会計や経理処理と密接に関係がある項目なわけです。
その意味でも、税理士業務と社労士業務を一体で見ている【弊社のような】事務所に依頼されるのがお得かと思います。
ということで、今日は、助成金の「生産性要件」の話でした。
3 comments on “助成金が増える!「生産性要件」とは何のことか、ご存知でしょうか?”
初めまして。この「生産性要件」を加味して助成金を申請しようとしている者なのですが、文中に出てくる「与信取引等に関する情報提供に関する承諾書」に捺印をするのは、社長でなくて金融機関なのですか?書類を見たところ、社長が押すのかと思っていたので不安になり質問させていただきました。ご回答いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
ご指摘の通りです。金融機関に捺印してもらうわけではないです。後日、労働局から金融機関に情報提供があった場合に情報提供してもらうことを承認するという意味の印鑑なので、会社の捺印になります。失礼しました。
ご返答感謝いたします。安心いたしました!情報ありがとうございます。