大手の広告代理店、電通の社員が過労が原因でうつ病にり患し自殺したことが労災認定受けた件で、労働局が強制捜査に入りました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161014-00000093-asahi-soci
この件に関しては、ネットでも結構、厳しい意見が多いようです。
それはそうだろうと思います。長時間労働もさることながら、上司からの言葉によるパワハラもあったようです。おそらく、ネットへ書き込みをしているのは同じ立場の会社員が多いのではないかと思います。長時間労働に加え、パワハラがあったということが、自身と重ねてみてネットでの厳しい意見につながっているのではないのかと思います。多くの経営者はかつてはサラリーマンだった人が多いはず。そのことを思い出せば、わかるはずです。
電通のこの件は、何らかの形で裁かれることになるのでしょうが、ここで経営者の皆さんが知っておきたいのは、労基法違反というのは刑事罰の対象だということです。
特に、過労死だったり事故になった場合には、経営者は実際に刑務所に入るような罪になるということです。
脱税もそういう傾向がありますが、労基法違反というのも結構、刑事罰という発想がない経営者が多いと思います。ここは経営者は肝に銘じないといけません。
もう一つ。今回の件もそうですが、近年の傾向として、長時間労働は労災の認定がされやすいということがあります。基準としては、1か月の時間外労働が80時間というものがあります。1ヶ月の時間外労働が80時間以上の月が2か月以上続くと、労災認定されやすいです。また、たとえばうつ病にり患した従業員さんが直近の1か月で時間外労働が100時間を超えた場合では、かなりの確率で労災認定されます。
労災認定されるということは、つまり、うつ病などの精神疾患の原因は会社にあるということです。言い換えれば、会社に安全配慮義務が足りなかったということになり、もっと言えば、経営者が刑事罰の対象になるということを意味しています。つまりは、単に労災の話だけではないわけです。1ヶ月で80時間以上も残業があると、いろいろな意味で会社としてはリスクが高いということは肝に銘じておくべきです。
ちなみにですが、今回、電通の元社員が問題になりました。
我々社労士もそうですし、もちろん弁護士もそうだと思いますが、労働問題に携わっている人にとって、「電通」という会社はよく出てくる会社なんです。
ネットで、「電通 裁判(例)」とかで検索すると出てくると思います。以前にも(2000年の裁判です)電通では、過労が原因でうつ病で自殺した社員がいました。その遺族が電通を相手に裁判をしたケースがあります。過労とうつ病の因果関係について、裁判例が確立されたのはこの事件が契機になっています。2000年の裁判例はメンタルヘルスの問題の基準になっているんです。
労働局の強制捜査が入ったのも、以前にも同じようなことがあった会社でまた同じようなことが起こったことがあると思います。正直言って私は、「また『電通』なんだね」といった感じで捉えています。電通という会社の社内のことは良く知りませんが、長時間労働が常態化するような雇用環境があるのかもしれません。
電通という会社にとってもこういう一件があると採用が難しくなるなど、大きな影響があるでしょう。会社のイメージという面でも損失は大きいです。
いずれにしても、経営者はこの電通の一件から知っておくべき重要なことがあると思うわけです。
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