さて、今日は前回の続きです。
外国人を雇い入れた場合の手続きについてです。今日はまずは雇用保険についてです。
まずは、厚生労働省のQ&Aを参照してみましょう。
「外国人を雇用した場合、社会保険や労働保険に加入させなければいけませんか。」
「雇用保険については、原則として、国籍を問わず日本人と同様に適用されます。健康保険等の社会保険や労災保険については、外国人労働者も日本人と同様に適用になります。」
つまり、外国人であっても社会保険や雇用保険に入るかどうかは同じ基準で適用されます。
至極、当たり前のことですが、これは経営者の皆さんからはよく聞かれる点です。社会保険の適用基準は同じなんです。
では、雇用保険や社会保険の手続きはどうなっていたのでしょうか。
雇用保険の場合、週の労働時間が20時間以上だったら加入義務があります。
社会保険の場合は、常勤の勤務者の4分の3以上の勤務だったら加入義務があります。
この基準で判断します。
その上で、雇用保険について、今日はご説明いたします。
その前に、外国人を雇った場合、雇用保険に加入している者だけでなく、雇用保険に加入していない者についても届出をしないといけません。これはご存知でしたでしょうか。
雇用保険に加入する者については、「雇用保険被保険者資格取得届」の下の17~22という欄があります。そこに「国籍」「在留資格」「在留期間」などを書く欄があります。日本人の場合にはこの欄は空欄になりますが、外国人が雇用保険に入る場合にはこの欄に記入が必要です。この17~22の欄を記入するためには「在留カード」があればOKです。この欄に記載することを要求されている項目は、この「在留カード」にすべて記載されているからです。
前回、お話した通り、外国人を雇い入れる場合には、「在留カード」で就労資格の確認をすることが必要です。同時に、雇用保険の届け出にも必要なので「在留カード」の確認が必要ということです。
初めて外国人を雇う場合には、「在留カード」が必要。これは覚えておきましょう。
さらに、雇用保険に加入しない場合にも、外国人を雇う場合には、届け出が必要です。
「外国人雇用状況届出書」というのをハローワークに届出しないといけません。
必要な項目は、「氏名」「在留資格」「在留期間」「生年月日」「性別」「国籍」などです。
いずれも「在留カード」で確認できる項目です。
ちなみに、「氏名」については、「在留カード」に記載してある通りにローマ字で記載します。
いずれにしても、雇用保険に入る入らないにかかわらず、「在留カード」で確認が必要だということがわかりますね。
さて、これらの届け出ですが、いつまでに出す必要があるのでしょうか?
雇用保険被保険者資格取得届 ⇒ 雇い入れの月の翌月10日まで
外国人雇用状況届出書 ⇒ 雇い入れの月の翌月末日まで
となっています。
つまり、9月1日に雇い入れたのであれば、雇用保険に加入する場合には、雇用保険被保険者資格取得届を10月10日までに、雇用保険に加入しない場合には、外国人雇用状況届出書を10月31日までに提出すればいいということになります。
また、これらの届け出は、退職した場合にも必要です。
期限については、取得(入社)の場合と同じです。つまり、雇用保険資格取得届は「離職した日の翌月10日」で、外国人雇用状況届出書は「離職した日の翌月末日」までに届け出る必要があります。
実務的には、「雇用保険被保険者資格取得届」については、遅くなってしまうと、タイムカードは賃金台帳の提出が求められます。また、「外国人雇用状況届出書」については、遅くなっても早めに出せば問題ないと思います。気づいたら、遅くなっても早めに出しましょう。場合によっては、遅くなってしまうと、タイムカードや賃金台帳の提出を求められることもあるものと思います。
ちなみに、「永住外国人」に関しては、これらの届け出は必要ありません。あくまでも対象となるのは「在留カード」を持っている外国人ということです。「永住外国人」は「在留カード」ではなく「特別永住証明書」というのが交付されています。これを持っている外国人は、雇用保険のこれらの届け出の必要はありません。
今日のお話をまとめますと、外国人を雇用したら、まずはハローワークに届け出が必要、ということは知っておきましょう。そして、その届け出には「在留カード」がないと必要事項の記入ができません。「在留資格」などを確認する意味でも、「在留カード」をもらうようにしましょう!