さて、前回の続きです。
前回は「定期預金」の話をしました。今回は「定期積金」について考えてみましょう。
定期預金と並んで定期積金も銀行から要求されることが多いものです。
まず、定期積金というのはどういう商品かの確認です。
定期預金と定期積金とは似て非なるものです。
定期預金は位置づけとしては、「預金」です。つまり、銀行的には普通預金や当座預金と同じような扱いで、預金の一つとして「定期預金」があるわけです。では、「定期積金」はというと、これは「金融商品」に近いものです。感覚的には、個人年金保険とかに近いです。定期積金というのは毎月、一定額が口座から「定期積金」という口座に振替えられます。毎月一定額が振り替えられることから、ある一定金額を貯めたいというような場合には適した商品です。ただ、たまったお金の意味としては「定期預金」と同じです。ある一定額の拘束されているお金があるという意味では同じだからです。
さて、銀行から「定期積金をやってもらえませんか」と言われた場合、どう考えればいいのかというのが今回の論点です。
銀行としては前回の定期預金と同じで意味としては二つ考えられます。つまり、
1.借入金の保全を図ろうとしている
2.実効金利を上げることを考えている
ということです。ですが、定期積金の場合、もう一つ意味があるように思います。それは、
3.「定期積金」という商品を販売したことが営業マンの営業成績となる
ということです。
定期積金はどちらかというと、信用金庫や信用組合のような金融機関でよく勧められる商品です。これは信金や信組では営業マンのノルマの一つに上がっていることが多いことが要因になっているようです。銀行の営業マンは、通常、融資だけでなく、様々な金融商品の販売もノルマになっています。「定期積金」の販売実績もその一つだということです。
「定期積金」のそもそもの目的は「毎月、少しずつお金を貯める」ということです。つまり、定期積金は何か購入したり消費したりする目的のものがあって始めるというのが本来の趣旨です。「定期預金」はある一定期間、当面、使う予定のないお金を普通預金ではない口座よけておく(しかも普通預金よりも金利が高いことから投資的な側面も少しある)というのとは意味が違います。
たとえば、車の買換えに備えて毎月積み立てておくというような趣旨であれば、「定期積金」にするのは意味があるということです。
ただ、定期積金も銀行は崩す際には「何の目的に使うのか」というのは聞かれます。場合によっては抵抗される場合もあるでしょう。その意味では、定期預金と同様に、拘束性のある預金と言えます。
仮に「定期積金」をやるとしても、ポイントは毎月一定額を振替えるのが負担にならないかということが一番に考慮に入れるべきことです。別に積み立てられているとはいえ、普通預金のように簡単には引き出せないわけですから、「資金繰りの邪魔にならない」ということを考える必要があります。また、定期積金にも満期があります。満期が来てたまったお金を今度は「定期預金」に回すというのであれば、本来の「定期積金」とは意味が違ってしまいます。何かの目的でためていて、その金額まで積みあがったお金をまた拘束性のある口座に入れてしまうことなので、せっかく「定期積金」をやった意味がないです。「満期が来たら普通預金に入れる」のが常道です。
定期預金と同じように、定期積金についても、「なぜ銀行は『定期積金』をするように言ってきたのか」をよく考えてみましょう。その上で、やるにしても資金繰りに影響のない程度の少額にとどめておくのが常道だと思います。