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今日はいわゆる「公庫の融資」の話です。

日本政策金融公庫(②)1

日本政策金融公庫は100%政府が出資している特殊な法人です。株式会社ですが、実質的には国の運営する金融機関です。

店舗数は日本全国に152店舗(平成29年9月現在)あり、貸出額は18兆3,397億円に上ります。貸出額だけ見れば、都市銀行のりそな銀行と三菱UFJ信託銀行の中間くらいに位置します。

中小企業への貸し出しがメインの金融機関で平均の貸出額は約700万円ということです。最も多い貸出額は300万円~500万円だと推測されます。

普通の銀行は、預金の預け入れをしてもらった資金を貸し出しに回すことで成り立っています。ですが、この「公庫」は銀行ではありませんから、預金を預け入れてもらうという機能はありません。

また、「保証」の機能もこの公庫自身で行います。民間の金融機関ですと、この「保証」の部分は担保を取ったり、保証協会での借り入れにして保証協会にしてもらったりするわけですが、そういった「保証」の機能は公庫自身で行います。

つまり、このような関係になります。

 

預金 貸出 保証
民間金融機関 ×
日本政策金融公庫 ×

 

保証協会の機能もあるけど、預金の預け入れ機能はない。そう考えると、民間の金融機関とはちょっと違う特殊な立ち位置にある金融機関だとお分かりいただけると思います。

 

さて、この公庫の融資ですが、まずはその特徴を知ることがまずは大事です。

 

公庫の融資と言えば、「創業融資」が特徴的です。

これは、政府が100%出資していることから由来しているものだと言えます。

国としても新しく事業を興すことを支援したいというメッセージでもあります。民間金融機関より、創業融資は積極的と言えます。

ただ、公庫の「創業融資」には決定的な特徴があります。その特徴を知っておくことが公庫の「創業融資」を成功させるコツだと言えます。

 

まず、公庫の「創業融資」は「ある決まったカタ」にはまっていることが非常に重要です。その「カタ」というのは、次のようなものです。

・経験を積んで来た業種での開業であること。

・開業までの準備期間にある程度の自己資金を用意していること。

・事業計画がきちんと立ててあり、資金使途が明確であること。

 

3つ目の要件はある意味、公庫の創業融資に限らず、どの融資でもいえることです。

 

特に、開業時の場合、定量評価(決算書など過去のデータによる評価)が当然、ありませんから、これからの部分の未来の評価となってきます。経営者の人柄や事業の将来性など目に見えない部分を評価しないと資金の貸し出しは出来ません。公庫の融資が「創業融資」で多いのは、政府系の金融機関であることから、民間の金融機関ではしづらいこうした「未来の評価」を積極的に融資の評価に入れる役割が期待されているためということもあるのではないかと思います。「定量評価」だけでした融資の評価がされなければ、いつまでだっても新しい事業をやる人が出てきませんからね。

公庫では、この「未来の評価」を一定の「カタ」に落とし込めて、その「カタ」にはまっていれば融資を受けつけるというスタンスを取っています。

 

たとえば、飲食店に10年勤務して、そのノウハウを活かしてお店を開くというようなケースです。この場合、かかる資金のうち、およそ3分の1程度を自己資金で用意しておくことができれば、融資を受ける際には有利に働きます。

 

さて、「公庫の融資」と言えば、まずは「創業融資」であることはいいと思います。

問題はここから先です。どういう特徴があって、どういうときに公庫の融資を考えるべきかということです。

 

公庫の特徴としては、今の話と多少矛盾する部分があります。それは、決算書などの定量評価が重視される傾向があること。それから、借り入れ実績があり、きちんと期日に返済していればそれも重視される傾向があるということです。

 

創業融資に積極的な「公庫の融資」ですが、実は過去の履歴が重要視されます。

最初は200万とか300万とかの融資であってもきちんと返済して決算書上も悪くなければ、次の融資では500万借りることも可能になります。それもきちんと返済していれば1000万借りることも可能ではなくなります。つまり、実際の公庫の融資は「過去の実績」という「定量評価」が重視され、その積み重ねがあって評価される形になっているのです。

 

一方で、「創業融資」は過去の評価である「定量評価」のない融資ですから、「定性評価」に重きを置かざるを得ません。「定量評価」を重視する公庫であっても「定性評価」を重視した融資をせざるを得ない、むしろ積極的に「定量評価」を重視した融資をしないといけないわけです。

 

そこで、公庫の融資は特徴的な考え方が融資に採用されます。つまり、「定性評価」といっても、目に見えるもの、創業融資の場合には、「過去の経験」だったり、「自己資金をいくら用意しているのか」だったり、といったことが融資の評価には非常に重要な要素になるわけです。

もし「過去の経験」や「自己資金」に問題があるのであれば、「保証人」を立てることも考える必要があります。

 

公庫の融資は、実務上は「名に見えない評価」、たとえば「将来性」とか、「事業の可能性」とか、は評価としては弱く、「過去の実績」「今までの経験」「自己資金」「担保」といった目に見える部分が重視されるということは知っておいていいでしょう。

 

こういうことは、顧問税理士がいても教えてくれないものです。それは、知らないからです。(税理士は銀行融資に対しては通常は門外漢です)

できれば、融資にも強い税理士を味方につけることが融資を成功に導くカギになるということも知っておいていいでしょうね。


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