時間外労働について、認識がない事業主も多いので、そのことについて触れたいと思います。
軽井沢でバス事故がありましたよね。大学生などの若い人が多く、大変痛ましい事故です。私も学生のころ、こうしたバスを利用したことがありました・・・
思えば、バスの事故というと、労務管理が問題になることが今までにもたびたびありました。要するに、残業時間が多く、過重労働になっているという問題です。
その軽井沢のバス事故ですが、バスを運営する会社が36協定を締結せずに時間外労働をさせていたとして書類送検されました。記事は↴
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160121-OYT1T50002.html
ところで、36協定ってご存知でしょうか?
従業員さんに時間外労働をさせる場合、この36協定というのを労働基準監督署に提出しないといけません。この36協定が出ていないと、時間外労働をさせられないんです。
それで、よく勘違いされるのが、時間外労働の割増賃金ってありますよね。残業をさせるのであれば、割増賃金を払わないといけないというものです。通常の時間外は2割5分増、深夜労働(夜10時~翌朝5時まで)は2割5分増、休日労働は3割5分増、というものです。
残業代を払っていれば、それでいいと思っている経営者が意外と多いんですね。つまり、残業代は払っていても36協定は提出していない事業者が多いということです。
これは違います。時間外労働をさせる予定があるのであれば、36協定は必ず出さないといけません。違反すると刑事罰の対象です。つまり、ひどければ逮捕されることもありうるわけです。
「うちの会社は残業させない」と言い切れるのであれば別ですが、基本的には事業をやっている人で、従業員さんを雇っていれば出さないといけないでしょうね。
ですが、たとえば、所定労働時間が9時~17時だったとします。12時から13時は休憩時間とします。そうすると、労働時間は休憩時間を除くと7時間ですよね。その場合、17時~18時はどうなるのかというと、これは、所定時間外ですが、法定時間(1日8時間)には収まっています。これは、36協定の対象となる時間外労働とは言えません。割増賃金も支払い義務はありません。
この場合には、18時以降も残業させるのであれば、36協定を提出したうえで、時間外労働の割増賃金を支払う義務があることになります。
ちなみに、この36協定ですが、提出せずに時間外労働をさせると刑事罰の対象になりますが、36協定を提出すれば提出した日以後は刑事罰を逃れることができます。ですので、たとえば、1月1日から1年間が有効期間として提出して、提出したのが1月20日だったとすると、1月1日~1月19日は時間外労働をさせることができない(その期間にもし時間外労働をさせていたら、刑事罰の対象)ということになります。
また、この36協定は通常は有効期間が1年以内の期間でないといけません。つまり、毎年、36協定は提出しないといけないわけです。決算期だったり、年度(4月から翌年3月)だったり、わかりやすい時期に設定して忘れないようにしましょうね。
ということで、今日は36協定の話でした。