今日は犬や猫は経費で落とせるのかという話です。
実はこの相談は受けることがたまにあります。犬を扱う商売の場合は、これは商売に直結するものですから、当然、経費計上できます。では、本来の業種が犬とは関係のない業種の場合でも、経費計上できるのでしょうか?
また、経費で計上するにしてもどういう勘定科目でどうやって経費に計上するのでしょうか?
牛や豚などの生き物は、その取得価額が30万円以上の場合、「生物」という勘定科目で資産計上します。一方で、犬や猫は同じ生き物ではありますが、「備品」として資産計上します。犬や猫が「備品」?と思われるかもしれませんが、税法上の扱いは「備品」です。また、30万円以上は資産計上ということは、逆に「30万円未満の場合には資産計上ではなく、経費で落とせるの?」と思いましたでしょうか?その通りです。青色申告の場合、10万円以上30万円未満のものは「少額減価償却資産」としてその購入した期に一括で経費計上できます。(10万円未満であれば「消耗品費」として経費計上できます)
減価償却資産になった場合、何年かにわたって経費に計上していくことになります。では、何年で減価償却を計算する(つまり、耐用年数は何年)でしょうか。
犬や猫は、税法上の「備品」の「その他」に該当するため、8年です。8年で経費に計上していくわけです。ちなみにですが、熱帯魚も「備品」の仲間に入ります。熱帯魚の耐用年数は2年となっています。
さて、冒頭に、犬を扱う商売ではない業種で経費計上するご相談を受ける場合があるという話をしました。では、犬を扱う商売ではない場合でどんな場合に経費計上できるのでしょうか。
たとえば、そのお店の看板犬だったり、番犬になっているようなケースが該当するでしょう。お店の看板ですから売上にも貢献しているというわけです。また、会社で飼われていて、社員全員で面倒を見ているようなケースでも「備品」として資産計上が認められるでしょう。
一方で、単なるペットとして飼われている場合、たとえば、たまに仕事場に連れてくる程度の場合には、経費計上するのは難しいでしょう。
「会社の犬」なのか、「個人として所有している犬」なのか。線引きが難しい話ですが、「会社の犬」として経費計上する場合には、会社で飼っているという実態が必要だということです。
要するに、業務との関連性がどの程度あるのかによってくるわけです。
また、その「会社の犬」のフードやペットシーツといったものは経費に計上できるでしょうか?
その犬が看板犬だったり、会社で飼われている犬なのであれば、問題なく計上できるでしょう。ここでも、業務の関連性が高い犬かどうかが問題なわけです。業務との関連性が高ければ、それに伴う費用ということで、ドックフードやペットシーツ、犬用の寝室であるクレートなども経費計上できるということになります。
さて、ここまでの話はそれなりに知られている話です。
ここからは税理士でも知らない人が多い話です。
では、犬や猫は償却資産(固定資産税)はかかるのでしょうか?
土地や建物は所有していると固定資産税がかかります。土地や建物以外でも、減価償却資産を所有しているとかかってくるのが、「償却資産」です。内装工事の費用だったり、パソコンや机などの備品、機械などが税金がかかる対象資産です。
さて、固定資産税について規定している地方税法ではどのように規定されているのでしょうか。その記述の一部を抜粋します。
次に掲げる資産は固定資産税の課税客体(固定資産税が課税される対象)とならない。
・自動車税、軽自動車税の課税対象となる自動車等
・・・・
・牛、馬、果樹その他の生物
牛や馬は勘定科目は「生物」です。ですが、犬や猫は勘定科目でいうと何でしたでしょうか?そうです。「備品」でした。つまり、「生き物」ではありますが、税法上の「生物」ではありません。ということは、犬や猫も償却資産となって、固定資産税がかかるわけです。
牛や馬は固定資産税がかからずに、犬や猫は固定資産税がかかるというのはなんだか変な感じもしますが、税法通りに解釈するとそうなるわけです。
ちなみに、10万円以上30万円未満の「犬」で、青色申告の場合の「少額減価償却資産」として1回で、購入した年に経費計上しているものについては、これは償却資産として申告する必要があります。つまり、10万円以上の犬は業務用の犬とした場合、「償却資産」として固定資産税がかかるわけです。
ということで、今日は「犬」の経理処理についてのお話でした。