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今日は、社労士を使わずに自社で助成金申請をする場合に、どんな点に注意したらいいのかを書いていこうと思います。

  • 書類の日付に注意しよう

これは、実際に私が窓口で提出しに行ったときに、隣の窓口で職員さんと提出した会社の事務担当者がやり取りしていたのが聞こえてきたという話です。

どうやらその隣の窓口では、話の内容からすると、特定求職者雇用開発助成金という助成金の申請を扱っているようでした。労働契約書の日付が問題になっていたようで、このようなやり取りがありました。

ハローワークの担当者:「労働契約の日付が〇月×日になっています。これは雇用保険の加入年月日の後になっていますが、この前の契約書があるのですか?」

会社の事務担当者:「労働契約の日付が〇月×日なのは最初は試用期間になっているからです。最初の3カ月は試用期間なので契約書がないんです」

ハローワークの担当者「ということは、最初の3カ月は契約書がない状態なんですか?」

会社の事務担当者:「最初の3か月の契約書は特に交わしていません」

このケースがこの後どうなったのかはわかりません。ただ、労働契約がないというのは助成金ではありえない話です。私からすると、なぜ提出する前に日付の確認をしていなかったのだろうと思わざるを得ません。おそらくこの会社さんでは「試用期間だから契約書はいらない」という認識で事務処理を進めていたのでしょう。しかし、特に助成金上は契約書の根拠のない期間があること自体、あり得ないことなんです。

このケースのように「日付」というのはかなり重要です。

たとえば、キャリアアップ助成金の書類で就業規則に「正社員化の規定」が必要というものがあります。就業規則に正社員化する規定があってはじめて助成金申請に該当するわけです。この就業規則の改定についてもいつ就業規則を改正したのかという、やはり日付が重要なわけです。通常、就業規則を改正したもしくは就業規則を定めた場合には、規定の後ろの方の「附則」という部分に「令和〇年△月×日改定」というような文言を書きます。この日付がいつになっているのかが重要なわけです。就業規則の改定は対象となっている人が正社員化する前の日付でないといけません。

一方で、たとえば、キャリアアップ助成金に様式1-2「正社員化コース対象労働者詳細」というのがあります。ここに記載する日付は、書類の意味からしても、申請期間内で、なおかつ、提出日かそれ以前の日付でないといけません。申請期間が1/16からで、日付が1/15になっていたらいけないわけです。ですが、この書類の日付が仮に間違えたまま提出したとしても、おそらく、その点を提出した後からでも直せば問題ない話だと思います。先ほどの例のように労働契約書だったり、就業規則だったりという場合には、すでに終わっているものなので、日付の訂正というのは後からはできないわけです。助成金申請時の書類だったら後から訂正してもいいものが多いでしょうが、労働契約書や就業規則のようなものは後からの書類の訂正は難しいでしょう。

日付のつじつまが合っているのかというのは、提出前によく確認したほうがいい点です。

  • 書類の提出時にはチェックリストに書いてある順番通りに綴って提出しよう

これも社労士だったらたぶん普通にやっていることです。

各助成金には必ず「チェックシート」というのがあります。助成金には必要な書類が数多く必要です。その書類をチェックシートにのっとってそろっているのかチェックしていくわけです。

ハローワークや助成金事務センターに助成金の書類の提出をするとよくわかるのですが、ハローワークの職員もチェックリストを出してきて一つ一つ書類をチェックしています。たぶん、一般に公開されているチェックリストとは少し違うチェックリストなんだろうと思います。ただ、チェックリストに載っている順番はたぶん同じです。チェックリストになっている元は同じものだろうと推察されるからです。

チェックリストに載っている順番にそろえれば、ハローワークの職員もチェックがしやすいです。ハローワークの職員も人間ですから、スムーズにチェックできれば当然、助成金の審査自体も進みやすいです。同時に、提出する側も書類の不備や附則書類などに気づきやすいです。一番はハローワークの職員が見やすいようにしてあげるということですが、同時に提出する側も書類の不備を事前に見つけやすくなるので、チェックシートに従ってその順番に綴っていくというクセを付けたほうがいいと思います。

  • 一度出した書類は引っ込められない

たとえば、タイムカードの記載に不備があったとします。その不備の記載のあるタイムカードのとおりに時間外給与の計算をすると、実際の支給額に不足額があったとします。おそらくそういうケースではあとから指摘を受けます。時間外手当が法定通りきちんと支払われていないとなると、労働法規にのっとっていなかったことになるので不支給になる可能性もあります。タイムカードの記載が間違えでしたといってそれが認められるのかは不明です。

以前にあったのは、賃金台帳に労働時間数や時間外手当の時間数の記載がなかった時に指摘を受けたことがありました。この場合には、後からでも記載すれば済む話です。ですが、労働時間数が法定時間を超える時間数を記載していたり、時間外手当の支払われていない時間数があることになってしまうような記載の賃金台帳やタイムカードを提出してしまうと、間違いだったと修正するのはおかしな話になってしまいます。

記載がないものは後から追加で記載すればいいですが、記載されているものを修正するのは理由が伴います。

要するに、提出する前に書類に不備がないのか、きちんとチェックしておく必要があるということです。一度出した書類は引っ込められません。書類のつじつまがあっているのか、きちんと確認してから出すようにしましょう。

  • 曖昧だったら即答は避けよう

助成金というのはハローワークや助成金事務センターに書類を提出して、そこで受理されたら終わりというわけではありません。書類を出した後、助成金事務センターから問い合わせがあることはよくあります。ここでの答え方で不支給になるケースもあると聞きます。

電話があったからそれに対して答えるわけでしょうが、それが助成金の申請としては答えていいことなのか、その電話ではわからないケースもあると思います。その場合には、その場で即答することは避けたほうがいいです。

正直申し上げますと、助成金事務センターからあとから問い合わせの電話があると、私は少し緊張します。変な答えをすると、不支給になるケースもあるからです。形式的な話だったら即答しますが、そうでない場合、私は調べてから回答します、という感じで即答はしないようにしています。実際、急に電話があってもその助成金がどういうケースのものだったのか、すぐに思い出せるほうが少ないのでそうしているというのもあります。ですが、一番は即答が危険だからです。

特に会社の事務担当者が助成金の申請をするのでしたら、助成金事務センターから電話がかかってきたら即答は避けるということを頭に置いておくだけでも違うのではないかと思います。

今日は、会社で事務担当者が助成金申請する場合の注意点という話でした。参考にしていただければ幸いです。


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