ラグビーのワールドカップの余韻がまだ残っているということでしょうか。 ラグビーの解説やドラマにも俳優として出演したりしていた元ラグビー日本代表のキャプテン廣瀬俊朗さんの記事をたまたまネットの記事でみました。廣瀬俊朗さんの「目的」と「目標」の違いという話は経営にもそのままあてまはまる話だと思って感心しつつ読みました。↴
https://www.j-cast.com/2019/11/12372341.html?p=all
大学入試でも、人生でも、「目標」を掲げる人は多いです。実際「目標」というのは目に見えやすいものですし、それを達成するために頑張るというのは分かりやすいです。しかし、「目的」というのはあまり考えないことが多いかもしれません。私は経営者にこそ「目標」よりも「目的」が必要だと思って、日々、それを実感しています。
経営目標というと、一番わかりやすいのは「売上年商○万円」というようなものです。 「目標」というのはそれを目指してがんばっているときはいいんです。山の頂上をみながら歩いているようなものです。しかし、「目標」を達成してしまうとそのあとはどうなってしまうのでしょうか?もしくは、「目標」が達成できなかったら、どうなってしまうのでしょうか?
大学入試などは典型例だと思います。○○大学に合格する、といって頑張って勉強しても、必ずしもその結果を得られるとは限りません。では、目標を達成できなかったらやってきたことは全て無駄になるのでしょうか?そうではないです。問題なのは、何のために頑張ってきたのかという「目的」なわけです。
先ほどの廣瀬さんは、次のように話をしています。
「『目標』っていうのは、例えば『日本一になる』とか『試合に出る』とか、皆さん、あると思います。それは最後、天候だったり、監督が決めることだったり…。自分自身では決められない。でも、『目的』っていうのは違う。『なぜ自分はラグビーをしているのか』ということ。周囲の子どもたち、クラブハウスを毎日、キレイにしてくれていている方々…。そういった方々に『自分の姿勢』を見てもらうこと。ラガーマンなんて選手寿命はそう長くない。皆さん、いずれは引退する。その時に『何を残せたのか?』というのが『目的』だと思います」
「目標」というのは自分以外のモノにも影響されます。達成できるとは限りません。しかし、「目的」はまさに自分自身が決めることです。つまり
「目標」・・・他者に影響されるモノ
「目的」・・・自分が決めるモノ
これは経営にも当てはまる話だと思います。 「経営目標」を掲げて、年商(月商)○万円!というのは大事なことです。否定はしません。それに向けて頑張ることも大事なことです。しかし、それは「目的」を達成するための手段でしかないわけです。そもそもなぜ、その年商(月商)○万円を達成したいのか、そこです。年商(月商)○万円を達成すれば、資金繰りが楽になる、銀行からの融資が受けやすくなる、給与が上がる・・・それもそうかもしれませんが、それらは「目標」を達成した結果、起こることです。もっと根本的な「目的」が必要です。
なぜ、その事業で売り上げを上げたいのでしょうか?自分のやろうとしているビジネスモデルをより多く広げて社会に貢献したいとか、目の前の○○というお客さんを喜ばせたいとか・・・それが「目的」です。
私が見ていると、特に長く経営に携わっているとその部分を見失いがちです。見失うととたんに「カネもうけ」に走りがちです。「カネもうけ」自体は私は悪いことではないと思っています。悪いのは「カネもうけ」は目的を見失ってしまうことが多いということです。「カネもうけ」は多少、悪いことをしたとしてもお金を持ってくる人を評価することにつながります。そうなると、経営者に軸がなくなります。何のためにやっているのかがわからなくなるわけです。従業員や周りの人はそうした経営者の姿勢に敏感です。たちまち雰囲気が悪くなります。しかも、「目的」を中心に考えないと、どこに向かっているのかわからなくなります。
また、経営というのは様々な環境に影響されます。「カネもうけ」が思うようにいかなくなることも出てきます。そうした悪い状況に陥った時、自分はなぜこの事業をしているのか、その「目的」があれば頑張れます。「目的」というのは忘れがちなのですが、悪くなった時にとても大事なものになってきます。
よくスローガン(標語)を掲げている会社があります。 会社のスローガンというと私が真っ先に思い当たるのが電機メーカーのソニーの「It’s a sony」です。 Sonyというのは会社の名前ですから固有名詞です。固有名詞の前に「a」があるのは文法的には正しくはありません。ここには、固有名詞としてのsonyではなく、sonyの製品が「a」を付けるほどにあちこちに存在するようなものを目指すという意思があるそうです。それほど社会の役に立つ商品を作る、これがソニーという会社の存在する「目的」なわけです。
このように「目的」をスローガンという言葉にするのは、なぜこの事業をやっているのかという「目的」を忘れないためという側面もあるのではないかと私は考えています。
ちなみに、私は自分の事務所の名前にその事業の目的を「スローガン(標語)」として入れています。HPにも書かれていますが、「ヴァンガードマネージメントオフィス」の「ヴァンガード」は先駆者という意味です。私は事務所名前に自分の「目的」を入れました。詳しくは下記のHPの会社概要をご覧ください。↴
会社概要
皆さんの会社でも「目的」を忘れないよう、スローガンにしてみてはいかがでしょうか?