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今年は実に台風の多い年です。台風15号のあと台風19号が来て、風水害の災害が多く発生しました。被害に遭わないまでも、非難を余儀なくされた方も随分、いらっしゃいます。

今年は同時期にラグビーのワールドカップがありました。中止になってしまう試合もあった中で、台風19号の影響で釜石で開催予定だったカナダとナミビアの試合が中止になりました。それを受けて、カナダの選手は釜石でボランティア活動をかって出たようです。日本代表の選手も富津市にボランティアに行ったということです。

それにしても、ますますラグビーの選手というのは国を問わずにこうした姿勢の人が多いのには感心させられます。ますますラグビーに対しての好感度が上がるような話です。

さて、災害の多い今年ですが、災害に遭った場合は税金の申告や納付期限が延長されることをご存知でしょうか。

延長される場合には2種類あります。

一つは地域が指定されるケースです。

これは国税庁が申告や納付が延期される地域を指定します。指定された地域にある法人やその地域に住んでいる人の確定申告は延期されます災害等の理由がやんでから2か月以内に延期されます。実際、東日本大震災は3月11日に災害がありました。確定申告の期限が3月15日と迫っていましたので、この地域を指定した申告期限の延期が適用されました。このときは、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県については、平成23年3月11日以降に到来する国税に関する申告・納付等の期限の延長をしたのです。

指定された地域以外でも災害にあった場合には同様に申告期限を延長することができます。

この場合には「災害による申告、納付等の期限延長申請書」という書類を税務署に提出する必要があります。

これは、仮に当初の申告期限が過ぎていたとしても大丈夫です。あとからでも提出すればいいのです。この期限を経過していてもあとからでも出せば認められるというのはこの制度の特徴的なことです。 この延長申請書を出すと、災害等の理由がやんだ日から2か月以内に申告すればいいことになっています。 今回の台風の被害の場合には、原則的には、この個別に延期する制度を使うことになります。

この届け出の際には、罹災証明書の写しなどの添付を求められることもありますから、税務署に相談しながらやったほうがいいとは思います。

また、対象になる税目は、法人税や所得税の他、消費税や源泉所得税も対象になります。 源泉所得税は毎月納付だったりすると、災害があった後、納付の手続きができないということは想定できます。その場合にも、災害がやんでから早めに「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を出したほうがいいでしょう。

それから、この災害に遭ったというのは対象になるのは関与している会計事務所側が災害に遭った場合にも適用されます。

国税庁のHPには次のように記載されています。

地域指定以外の地域に納税地がある法人が、災害により期限までに法人税、消費税及び地方消費税の申告をすることができない場合とは、

例えば次のような場合をいいます。  

本社事務所が損害を受け、帳簿書類等の全部又は一部が滅失する等、直接的な被害を受けたことにより申告等を行うことが困難な場合

交通手段・通信手段の遮断や停電(計画停電を含む)などのライフラインの遮断により申告等を行うことが困難な場合

会計処理を行っていた事業所が被災し、帳簿書類の滅失や会計データが破損したことから、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合

工場、支店等が被災し、合理的な損害見積額の計算を行うのに相当期間を要し、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合

連結納税の適用を受けている場合において、連結子法人が被災し、連結所得の計算に必要な会計データの破損があったことなどから、申告等を行うことが困難な場合

災害の影響により、株主総会が開催できず、決算が確定しないため、申告等を行うことが困難な場合

このような場合のほか、税理士が、 ・交通手段・通信手段の遮断や停電(計画停電を含む)などのライフラインの遮断 ・納税者から預かった帳簿書類の滅失又は申告書作成に必要なデータの破損等 の理由で、関与先法人の申告等を行うことが困難な場合

にも、個別指定の申請をすることができます。

また、このような災害による申告期限の延長の場合、通常は課される延滞税や加算税が課されることはありません

延長になった期限内に申告すれば、通常の期限内での申告と同じ扱いとなるためです。

それから、これは税金の申告・納付の話ですが、助成金の申請や社会保険・労働保険の申告納付には原則的にはこうした災害による延長というのはありません。「やむを得ない事由」がある場合には認められる場合もあるかもしれませんが、原則的には助成金や社会保険・労働保険には期限延長はないものだと思っておいた方がいいでしょう。

今回の台風や地震といった自然災害に限らず、火事といった災害にも適用できます。 私の顧問先にも申告期限近くに火事にあってしまい、申告期限を延期した会社がありました。

自然災害や火事などにあったらまずは災害と向き合うことですが、それが済んだら今度は申告期限のこともあるということを頭の片隅にでもおいておいていただければと思います。


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