今日は時々いただくご質問の中で、解雇すると雇用保険の助成金が受給できないというものです。これについて、ちょっと考えてきましょう。
「解雇すると助成金が受給できないというが、解雇したらもう助成金は受給できないのか」というようなご質問をいただくことがあります。
また、たとえば、有期雇用契約の社員がいて、期間の満了によって労働契約が終了したような人もこの「解雇」になるのか、というようなご質問をいただくこともあります。
雇用保険の助成金が受給できなくなる解雇というのは、会社都合の解雇のことを言っています。もっといえば、雇用保険の資格喪失の手続きの際に喪失理由を「3 会社都合」とした場合のことです。この喪失理由を「3」にしてしまうと、ほとんどの助成金は受給できません。また、助成金が受給できないというのはずっと受給できなくなるわけではありません。解雇の場合の助成金の受給制限は、解雇があってから6か月以内に申請する助成金が対象となります。したがって、解雇から6か月以上経過した後であれば、助成金の受給制限にはかかりません。
また、この場合の「解雇」とは雇用保険の資格手続きの際に、「喪失原因」を「3 事業主の都合による離職」にしている場合です。ですから、たとえば、「期間満了による労働契約の終了」は雇用保険の資格喪失届の手続きの際、「2 3以外の離職」に○を付すので、問題がないということになります。
また、「有期雇用契約の途中で労働契約を解除した」場合でも、本人の退職の意思表示があって退職した場合や、その社員に何らかの不正があるなどして就業規則上、処分をしたことに伴い退職したような場合などは上記の雇用保険の資格喪失原因が「2」になるため、問題はありません。「有期社員の期間途中解約」で解雇になるのは、会社の都合で有期雇用契約期間の途中で辞めさせた場合に限ります。
つまり、助成金の受給制限がかかるのは、手続きの際に「3 事業主都合による離職」にした場合と整理できるわけです。また、受給できなくなるのは、あくまでも、解雇してから6か月以内にする助成金の手続きということになります。
よく、解雇にすると従業員さんが雇用保険をすぐもらえるようになるから、解雇にしてあげるというような話があります。辞めた従業員さんがすぐに再就職しないような場合、雇用保険をもらってから再就職しようと考えて、会社に解雇にしてもらうようにお願いするわけです。解雇ですから、上記の雇用保険の手続きの際に「3 事業主都合による離職」を選択して手続きすることになります。もしその後6か月以内に助成金申請をするような場合には、助成金の申請ができないということになりますので、この点は注意が必要です。
そもそも「解雇」にするというのは労務管理上、リスクのある話です。雇用保険の助成金だけでなく、その解雇が正当な解雇だったのかとかという問題もあるわけなので、通常、退職の場合、なるべく「3事業主都合による離職」を選択した手続きは取らないほうがいいでしょう。
ということで、今日は、助成金の解雇による受給制限の話でした。