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さて、ブログの更新が何日間かできていませんでした。意外とこの11月は忙しかったためです。

今日はなぜか最近、ご相談の多い、従業員さんの退職時の話、特に自己都合退職の場合の話について、書いていこうと思います。

 

まず、退職に当たって、特に自己都合退職の場合には必ず「退職届」はもらってください。これは意味としては二つあります。

一つは、手続きに必要だからです。離職票を発行するのに、自己都合退職の場合、自己都合であることの証明が必要です。それが「退職届」です。「退職届」は退職者本人の意思で退職したということを示す何よりの証明書です。ハローワークで手続きを取る際に、「離職票あり」の手続きをする場合と「離職票なし」の手続きをする場合があります。「離職票なし」の手続きの場合には特に証明書は求められないのですが、「離職票あり」の手続きの場合、自己都合退職であることの証明書が必要となります。その「自己都合退職であることの証明書」が「退職届」なわけです。「退職届」というのは自己都合退職であることのなによりの証明書と言っていいでしょう。だからこそ、ハローワークも手続きの際に「退職届」を出してもらうわけです。

 

「退職届」を取るもう一つの意味は、あとで揉めないためです。

その退職される従業員さんと良好な関係のまま退職に至る場合にはいいのですが、何かいろいろとあって辞める場合が問題です。よくあるのは、いろいろと問題があって辞めることになってその後、「やっぱりやめない。続けます。」とあとから言い出すケースです。ひどい場合には、確かに辞めると言ったのに、辞めるとは言っていませんとか言い出すようなケースもあります。いろいろとあって揉めている従業員さんがいたとして、その従業員さんが「辞める」言ってきたとします。社長としては「ああ、辞めると自分から言ってくれた」とホッと一安心だったとします。つまり、辞めてほしい人が自分から辞めると言ってきたようなケースです。このような場合、あとから話をひっくり返すようなことがないように、まずは「退職届」をもらうことが肝要です。その場で書いてもらえれば書いてもらったほうがいいでしょう。

実は、この手の相談は結構あります。

本人的には「辞める」と言ったものの、いざ再就職活動をしてみると、再就職が厳しいのがわかって本人から前言を翻したいと言ってきたようなケースです。社長としては、次の人材確保のために採用活動を始めていたり(場合によってはすでに代わりの人材確保をしていたり)していて、もう、あとには引けないというような状況です。こんな状況で「やっぱり辞めるのを止めます」と言われると、これは困るわけです。「ウチは二人も採用している金銭的な余裕はない」となるとますます困った話です。

そのようなことにならないためにも、辞めるという話があって会社としては了承した場合、まずは「退職届」を取ることが重要となるわけです。

 

また、退職届のひな形ですが、これは特にきまった雛形があるわけではありません。

最低限、以下のような項目があればいいでしょう。

 

① 宛名に「会社名」「社長名」が入っているか(もしくは社長名の代わりに責任者の名前になっているか)

② 退職年月日(退職予定年月日)があるか

③ 自己都合退職である旨が書いてあるか(通常は「一身上の都合による」という文言があるか)

④ 本人の名前が入っているか

 

なお、名前が自筆であれば印鑑は捺印してあってもしてなくてもいいでしょう。また、ご自身のお名前くらいは自筆で書いたほうがいいでしょう。すべてパソコンで打ったものだと本人の意思で書いたかどうかが判然としません。せめてお名前くらいは自筆にしたほうがいいです。

 

さて、自己都合退職の場合、「退職届」が必要というのはお分かりいただけたのではないかと思います。では、(これもよくある質問ですが)「退職確認書」のようなものを取ったほうがいいかということです。

たとえば、退職後も顧客情報を持ち出さないとか、一切の金銭債権債務は存在しないとか、退職後は在籍中に知ったことを他に漏らさないとか、そういったことを書いた書類に署名・捺印をしてもらうというようなものです

 

私はこれに対しては「ケースバイケースで対応したほうがいいでしょう」とお答えすることが多いです。要するに、どんなケースなのかで「退職確認書」を取ったり取らなかったりという形になるものだと思っています。

なぜでしょうか?

基本的には「退職届」を取っておけば「自己都合退職」で「○月○日に退職」という合意は出来ているわけです。私はそれだけで十分だと思います。

ですが、改めてそれとは別に書面を取るということは、何かあるから取るわけです。例えば、未消化の有給休暇について揉めているとか、未払の残業代があるとか、あるいは従業員さんが在籍中に情報を持ち出そうとしているとか、そういうことです。

そういうような「別に何かある」ような場合、これは書面を別途、取らないといけないとなるわけです。

逆に、何も問題がないのに「退職確認書」のような書類を別途取るというのはどうでしょうか?その従業員さんからしたら「信用されていない」と捉えかねません。わざわざ波風を立てるようなことはしないほうがいいというのが私の考えです。

 

また、仮に「退職確認書」を取ったとしても、あとから「未払残業代」について訴えを起こされることはあり得ます。いくら書面を取ったところで、実際に「未払残業代」があったような場合、この「退職確認書」は無効になる可能性はあります。たとえば、「この退職確認書を取った時点ではよくわからなかったが、あとから調べてみると未払残業代があった」とか言われたらどうでしょうか。また、『「この退職確認書にサインをしないと退職の手続きをしない」と言われたので、とりあえずその場ではサインしただけです』と言われたらどうでしょう。そのように言われた場合、せっかく取った「退職確認書」は無効になる可能性はあり得るのです。つまり、なんでも書面を取ってサインさせれば安心といって書類にサインさせるのは意味がない(場合によっては逆にもめ事を誘発してしまうのでむしろやらないほうがいい)というわけです。

 

繰り返しですが、自己都合退職であれば「退職届」は必ず取ったほうがいいでしょう。その上で、「退職確認書」を取ったほうがいいのかどうかは慎重に判断したほうがいいでしょう

 

以上、今日は自己都合退職の場合の会社のやるべきことというお話でした。


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