仕事がかなり詰まっていて、ブログの更新ができずにおりました。
今日は、本ブログでもっともアクセス数とご質問の多い項目が住民税の特別徴収です。この住民税の特別徴収について、本ブログに寄せられた質問から改めて考えたいと思います。
ご質問の内容は以下のようなものです。
事業を経営しております。
創業して15年程度、従業員数も増えてまいりましたが、
今までかたくなに特別徴収を拒否してまいりました。
理由としては、
住民税に関しては各個人に課税されるためのものであり、
行政の代わりに会社側が代理で徴収して納付、ということに対して納得がいかなかったからです。
自分たちで徴収しなければいけないお金なら、
自分で頭を下げて苦労してでも徴収してくればいいのに。という偏屈な考え方です。
たしかに、払っていない従業員もおられるようで
代理で徴収するにあたり、行政に手数料等を請求することは、
全く無意味なことなのでしょうか。
その他の法律で決まっていることなのでしょうか
ご質問の内容は正直、「う~ん」と言わざるを得ない内容です。
実際、私の顧問先の会社さんからこうしたことを言われたら「お気持ちはわかりますが、特別徴収の義務化は必須なのでやるようにしましょうよ」となだめるという感じの内容です。
特別徴収の義務化というのはもともと地方税法で決まっているものです。地方税法の231条の4という条文できちんと規定されています。
地方税法231条の4は次のように規定しています。
「市町村は、前条の規定により特別徴収の方法によって個人の市町村民税を徴収しようとする場合には、当該年度の初日において同条の納税義務者に対して給与の支払をする者(他の市町村内において給与の支払をする者を含む。)のうち 所得税法第183条の規定により給与の支払をする際所得税を徴収して納付する義務がある者を当該市町村の条例により特別徴収義務者として指定し、これに徴収させなければならない。」
つまり、所得税を源泉徴収する事業者に住民税も特別徴収させると法律で規定されているのです。そういうわけで、「なぜ勝手に住民税の徴収も義務化させるのか」という疑問を持たれる方も多いのですが、それは認識がそもそも違っていて、もともと法律で所得税だけでなく住民税も事業者が徴収することになっているのです。そもそも法律がそう規定されているのに、実際には市区町村の実務上の取り扱いとして、特別徴収しない形で給与支払報告書が出される場合、応じてきたわけです。事業者側が「特別徴収は面倒だからうちの会社はやらない」と言えば、市町村側が実務上の取り扱いとして、「わかりました。では、普通徴収でやってもいいですよ」というのを認めていただけの話なんです。
ただ、この市町村側の法律よりも緩いこうした取り扱いは、住民税の徴収率が下がるということにつながっていて、市町村にとっては深刻な問題となっていたわけです。そのため、もともと特別徴収は事業者側の義務と法律で規定されているのだから、事業者側にきちんと住民税を徴収させよう、という話になったわけです。
ご質問の方も、所得税は源泉徴収して国に納付しているのではないかと思います。住民税の特別徴収もそれと同じ話なわけです。いずれも法律で規定されている話です。ここはおとなしく従わざるを得ないのではないかと思います。
ただ、この特別徴収について、実務上、市区町村の現場では、そこまで強硬に対応していない自治体もあるように思えます。実際、いったん特別徴収となった従業員について、給与所得者異動届を出して普通徴収に切り替えの届け出を出したものは認めていたりしているようです。私も顧問先で実際、そういった例に出くわしました。以前よりは特別徴収する形にはなっていますが、実際には所得税の源泉徴収ほど強制はしていないといったところだと思います。その辺は自治体にもよりますので、各市区町村に確認してみてください。
それから、特別徴収について、このご質問は事業者側からのご質問でしたが、従業員側からもご質問をいただくことが多いです。それが、ダブルワークをしている場合の住民税という話です。これは、以前の私のブログにも書きましたので、参考にしてみて下さい。↴
以上、今日は住民税の特別徴収の話でした。