さて、今日は顧問先からも質問の多い雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)の特例措置のことです。現状でこの特例措置はどういう制度で、いつまで延長されるのかという話です。
まず、どういった場合に雇用安定助成金(雇用保険の被保険者でない場合には緊急雇用安定助成金)が使えるのかという話です。
新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
2.最近1か月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
単に休業して休業手当を支払えば雇用調整助成金(もしくは緊急雇用安定助成金)が受給できると思っていらっしゃる経営者の方も多くいらっしゃいますが、上記の2の要件を忘れないでください。売り上げが1か月比較で5%以上減少している要件があります。
また、要件の1の「新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している」というのも忘れないでください。そもそも事業が拡大していて売り上げが伸びているような場合、当然ながら対象外です。
この雇用調整助成金の特例措置ですが、該当すると、受給額は9/10(解雇がある場合には4/5)となります。1日当たり上限額は13,500円となります。
これが、現在ある雇用調整助成金の原則的な内容です。
この上記の措置を「原則」とすると、それに対する「特例」が2種類あります。
一つは、「業況特例」です。
下記のAとB、それぞれの月平均値の生産指標(売上げ高等)を比較し、Aが30%以上減少している事業主が対象となります。
A:判定基礎期間の初日が属する月から遡って3か月間の生産指標 【対象となる休業等】
B:Aの3ヶ月間の生産指標に対して、前年同期または前々年同期の生産指標
もう一つは「地域に係る特例」です。
以下を満たす飲食店や催物(イベント等)を開催する事業主等です。
⑴緊急事態措置の対象区域またはまん延防止等重点措置の対象区域(職業安定局長が定める区域)の 都道府県知事による要請等を受けて
⑵緊急事態措置を実施すべき期間またはまん延防止等重点措置を実施すべき期間を通じ、 ⑶要請等の対象となる施設(要請等対象施設)の全てにおいて
⑷休業、営業時間の変更、収容率・人数上限の制限、飲食物提供(利用者による酒類の店内持ち込み を含む)又はカラオケ設備利用の自粛に協力する
これらの要件に該当する事業主が対象です。
この特例の場合には、受給額が10/10(解雇がある場合には4/5)となります。また、1日当たり上限額は15,000円となります。
雇用保険被保険者以外の場合の緊急雇用安定助成金についても、同様の措置となります。
さて、こうした雇用調整助成金の特例措置はいつまで延長されるのか、というのがよくされる質問です。
現状では、9月30日まで延長されます。
ただ、現在、今年の年末まで延長されるように協議されているというマスコミ報道がありました。決定しているのは9月末までですが、年末まで延長される公算は大きいというところです。
コロナ禍で休業を余儀なくされている事業主の方たちは、現在の雇用調整助成金の概要を把握し、活用をご検討されてはいかがかと思います。
以上、今日は雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)の話でした。