今日は、本年最初のブログになります。なるべく1週間に2回か3回は更新しようとは思っています。今年も最新の情報や経営者の皆さんや会社の総務・経理担当者の役に立つ情報を配信していければと思います。
さて、今日は、面接時に経営者側が聞いてはいけないことがあるという話です。
厚生労働省が「採用選考に関する基本的な考え方」として、採用時面接で聞いてはいけないことというのを具体例を交えて書いていますので、それをご紹介していこうと思います。
たとえば、面接で聞いてはいけないこととして「家族のこと」があるのをご存じでしたでしょうか?出生地のことや住んでいる環境のことなども聞いてはいけないこととされています。
一般的に、宗教ことや政治に関すること(支持政党など)は聞いてはいけないというのは何となく感覚的にわかると思います。しかし、たとえば、読んでいる新聞や愛読書のことなんかも聞いてはいけないこととされています。なんとなく話の流れで「どんな本を読んでいらっしゃるの」なんて聞きたくなる場面もあるかもしれませんが、基本的に採用時面接においては聞いてはいけないとされている項目です。
さて、採用時面接で聞いてはいけないことがあるというのはどういう基準で厚労省は言っているのでしょうか。基本にあるのは「基本的人権」です。
採用選考に当たっては
・ | 応募者の基本的人権を尊重すること |
・ | 応募者の適性・能力のみを基準として行うこと |
の2点を基本的な考え方として実施することが大切です。
厚労省は上記のように言っています。あくまでも採用選考というのは応募者の適性や能力のみで判断されるべきであって、生活環境や家族のことは本人の能力とは関係のないことだというわけです。
なかでも、「家族に関すること」を面接時に聞いてしまうというのが、違反事例として最も多いと厚労省のHPにも掲載されています。
「家族のこと」というのは具体的には、ご家族の職業や地位、学歴、収入、資産などの家族の状況のことを指しています。もちろん、本人の学歴や職歴は聞かないと面接にならないことも多いでしょうから本人のことは問題はないのですが、家族のそうした情報は採用面接の判断に必要のない事柄とされているため聞いてはいけないこととされているわけです。
また、「現住所の略図」を求めることも生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があることからしてはいけないとされていますし、採用選考時に健康診断を実施することも、合理的・客観的に必要性が認められない場合にはしてはいけないとされています。
仕事に影響のある程度の健康状態についての質問はいいのでしょうが、必要以上に面接時に健康状態について尋ねるのもやめておいたほうがいいでしょう。
それからひょっとしたらやってしまいかねないこととして、面接時に「戸籍謄(抄)本」の提出を求めたり、本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることも違反事項とされています。これは私見ですが、採用時面接の段階では、住民票などの提出自体求めることはしないほうがいいでしょう。住んでいる場所などを確認したいのであれば履歴書に記載されている事項でまずは判断すべきかと思います。
上記は採用時の面接の話なので、もちろん、入社後に必要に応じて社会保険の手続きなどで必要ということで、本籍地の記載のある住民票の提示を求めるのは問題はないでしょう。また、入社した後に会話の中でご家族のことを聞いたりということもあるでしょう。それは問題ないわけです。(もちろん、しつこく家族のことを聞くなどということは問題がありますから注意しましょう)厚労省の言っているのは、採用に際して本人の能力などに関係のない事柄をもって判断することはフェアではないからやめようという話ですから、どの点を言っているのかを明確にしましょう。
こういう話をすると、「昔よりも細かくて面倒になった」というようなことをおっしゃる社長さんもいらっしゃいます。しかし、本来的に、面接で経営者が見るべき項目というのは本人の適性や能力のはずです。それ以外の項目について、たとえば、本人の家族のことなどは「採用時面接」という場面では聞かなくてもいいことのはずです。面接を受ける側のほうがどちらかというと緊張してうまくいかないことが多いものです。そうしたことにも配慮するような経営者でないといけないのではないかと思うわけです。
ということで、今日はいつもとはちょっと違うお話、採用時面接で聞いてはいけないNGなことというお話でした。