手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

この時期は7月10日までの労働保険の申告書作成・提出、算定基礎届の作成・提出、納期の特例の源泉所得税の計算などがあるうえ、介護事業所は7月末までに処遇改善加算の実績報告書を提出しなければならない等、実は事務手続きが多く、なかなかブログが更新できませんでした。

今日は、顧問先からいただいた質問について、ブログを書いていこうと思います。

いただいたご質問はこのようなものです。

「講演をしていただいた方に対して報酬の源泉所得税を引かないといけないと思うのですが、この場合、交通費もあわせて支払う場合には給与のように非課税の規定が適用されないと聞きましたが、どのように取り扱ったらいいのでしょうか?」

 

この会社では社内研修の一環で講師を招いて講演をしていただいたわけです。その報酬を支払うわけなのですが、その源泉所得税についてのご質問です。

これについて、国税庁のHP(タックスアンサー)に答えがあります。

報酬・料金等を支払う場合の注意事項として次のように書かれています。

 

「謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。しかし、報酬・料金等の支払者が、直接交通機関等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。」

 

つまり、交通費という名目も含めて源泉所得税がかかるわけですこのことから、報酬の支払調書は交通費の金額も含めて報酬額として支払調書を作成し、ご本人にお渡しするということになります。

私の経験上、これは勘違いの多い点だと思います。「交通費という名目で渡したお金は非課税」と思っている方が多いのではないでしょうか?交通費が非課税になるのはあくまでも給与所得者の話です。報酬の源泉所得税にはこの非課税の適用がないのです。あくまでも、報酬の対象者の交通費に源泉所得税がかからないのは、直接、宿泊費や滞在費を支払った場合に限定されるという話なわけです。実費相当額を含めて報酬を支払った場合には、交通費も含めた全体に対して源泉所得税がかかるわけです。交通費部分は非課税として、報酬の支払調書を作成してしまうと、交通費部分の課税漏れが生じてしまいます。報酬の支払いの相手先にも影響のある話ですから注意が必要です。

(ちなみに、報酬を受け取る側からすると、交通費も含めた金額を報酬額として収入に計上し、実際にかかった交通費を経費に計上するため、結局、交通費部分を除いた実際報酬額に所得税がかかることになるため、仮に交通費部分が報酬の支払調書から抜けていたとしても、交通費部分を経費に計上していないのであれば所得金額自体はかわらないはずなので、交通費部分を報酬から除いた支払調書を受け取った側についても所得税に関しては課税漏れが生じないことになります。)

 

また、その国税庁のタックスアンサーには次のような記載もあります。

「報酬・料金等の額の中に消費税及び地方消費税の額(以下、「消費税等の額」といいます。)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額が源泉徴収の対象となります。ただし、請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません

源泉所得税の対象となるのは、原則は消費税込みの金額に対してです。ただし、報酬本体部分と消費税部分を分けて表示していれば消費税抜きの報酬本体部分に対して源泉徴収すればいいことになっています。相手方の請求書などが消費税が別に計算されているのか、込みで計算されているのか、よく確認しましょう。

それから、

「支払を受ける者が研究会、劇団などの団体で、個人か法人かが明らかでない場合は、その支払を受ける者が、法人税を納める義務があること又は定款、規約、日常の活動状況などから、団体として独立して存在していることを明らかにした場合は法人として取り扱い、そうでなければ個人として取り扱います。」

報酬を支払う相手方が個人なのか法人なのか、よくわからない場合もあると思います。支払う相手方がなんらかの団体だったりする場合には、その団体が法人税を納めている法人なのか、そうでないのか、わからない。こんな場合は個人として取り扱う、つまり、源泉徴収して支払うということになっています。実務上は、その団体の代表者名で源泉徴収することになるだろうと思います。相手側が個人なのか法人なのか、個人の場合には誰の名前で支払調書を作成したらいいのか、相手側に確認して支払う必要があります。

また

「懸賞応募作品などの入選者に対する賞金や新聞、雑誌などの投稿欄への投稿の謝金などは、原則として原稿料に含まれますが、一人に対して支払う賞金や謝金の金額が、1回5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。」となっています。

原稿料などの場合、報酬額が源泉徴収する前の金額で5万円以下であればそもそも源泉徴収しなくていいことになっています。ただし、源泉徴収する必要がないのは懸賞金や謝金の場合です。5万円以下の報酬全てではないですから注意が必要です。

そして、源泉徴収する金額は次のようになっています。

支払金額(=A) 税額
100万円以下 A×10.21%
100万円超 (A-100万円)×20.42%+102,100円

これについては、たとえば、受取額を10万円ちょうどの金額にするような場合、どのように計算したらいいのかということがあります。これはいわゆる割り戻しの計算になります。

100万円以下だったら、0.8979で割り返すことになります。

10万円÷0.8979=111,370円

 

これは余談ですが、最近、報道で一部の芸能人によるいわゆる「闇営業」というのが問題になりました。これも支払いをした側が法人なのであれば源泉徴収義務があったことになります。この問題で受け取った芸能人側は修正申告をしたと報じられていますが、この辺はどうなっているのだろうかというのは私の感じた素朴な疑問です。

報酬の源泉所得税については、上記のようにいくらか複雑な部分もあるので確認しながら経理処理が必要な部分です。源泉徴収する際には注意しながら経理処理しましょう。


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