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コロナ禍にあって、日本政策金融公庫から昨年、融資を受けた事業者の方も多いと思います。

日本政策金融公庫から受けた融資がコロナ禍にあっての特別な融資だった場合、「新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度」というのが使えることがあります。今日はこの制度についての話です。

この「新型コロナウィルス感染症特別利子補給制度」、通称、「特別利子補給制度」というのは、日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関からコロナ禍の貸し付けを受けた場合、最大で3年間、利子相当額を一度に受け取ることができるものです。

この制度は、コロナ禍にあって、政府系金融機関から借り入れをした場合、小規模の個人事業主は無条件に受けられるもので、小規模の法人事業主は、確認する最近1か月に加え、その後の2か月も含めた3か月間のうちのいずれか1か月で⽐較(前年⼜は前々年と同期⽐較)売り上げが15%以上減少している場合や、小規模事業者でない中小事業主の場合、売り上げが20%以上減少している場合に受けられるものです。(以前の私のブログを参考になさってください↓)

この特別貸付制度に該当すると、対象期間分の利子が一括で振り込まれます

問題なのはこの経理処理です。

入金があったときに一括で収入計上すればいいのでしょうか。

収入はいつ計上すべきなのか。法人税や所得税では、「収益計上時期」の原則というのがあります。原則として収入は、「その収入すべき権利が確定した日」に計上すべきであることになっています。法人であれば、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度、個人であれば、その収入すべき権利が確定した日の属する年分に、それぞれ計上することとなります。

そこからすると、この利子補給の入金は入金が確定したときに全額、収入計上すべきであることになります。

ですが、これについては、令和3年2月26日に更新した国税庁のFAQに回答があります。

該当する部分をそのまま以下に抜粋します。

「この特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、その融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものです。
 そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
 加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。
 このようなことから、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
 なお、この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、一旦前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。」

つまり、入金時にはいったん前受金で経理処理します。

(普通預金)/(前受金) ×××

そして、決算時に支払っている利息と同額の分を前受金から収入に振り替える形で以下のような処理をします。

(前受金)/(雑収入) ×××

このように処理することで支払利息(費用)と雑収入(収入)が同じ期にそれぞれ同額が計上され、実質、無利子化が図れるというわけです。

また、特別利子補給制度に似ているものとして、民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度というのがあります。これを使って融資を受けた事業者の皆様も多いことと思います。この制度は、都道府県などが一定の制度融資について、保証料や利子を補助する制度です。これらの制度はほとんどが保証協会等に対して国等から補助分が直接支払われ、事業者が支払うことがないものになっています。そのため、これらの補助分は処理は特に必要とされていません。(国税庁のFAQにもこのことが載っています)

政策金融公庫などの政府系金融機関の場合との違いに注意しましょう。

ということで、今日は政府系金融機関からの利子補給を受けた場合の経理処理の話でした。


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