新型コロナウィルスに関連した融資について、私のところにも連日、問い合わせがあります。
この融資は主に、4つに集約されます。よりいい条件の融資を受けるためにも、この際この4種類について知っておきましょう。
まずは、それぞれがどんな要件があるのか、次に融資限度額、返済期間、据え置き期間、金利の4つで比較してみてみましょう。
- セーフティネット貸付
この融資は売上高が5%以上減少といった要件にかかわらず今後、売上が減少すること中小企業であればこのセーフティネット貸付が受けられます。
【融資限度額】中小事業 7.2億円 国民事業4,800万円
【貸付期間】 設備資金15年以内 運転資金8年以内
【据置期間】 3年以内
【金利】 中小事業1.11% 国民事業 1.91%
「国民事業」というのは、主に「小規模事業者」や「個人事業主」のことです。小規模事業者というのは、製造業・建設業・運輸業などの業種の場合には従業員数が20名以下の事業、サービス業やその他の事業の場合には従業員数が5名以下であることを言っています。この条件に当てはまれば「国民事業」に該当します。一方で、「中小事業」は資本金が1000万円以上で5年以上の貸し付けをする場合が原則です。また、国民生活事業に当てはまらない場合に「中小事業」に該当することになります。どちらに該当するのかをまずは判断しましょう。
- 新型コロナウィルス感染症特別貸付
この融資は次のいずれかに該当する場合に受けられる融資です。
〇直近の売上高1か月分が、前年もしくは前々年とくらべて5%以上減少している
〇業歴が3カ月以上1年1か月未満の場合には、最近1か月の売り上げが次のいずれかと比較して5%以上減少していることが要件です。
・過去3か月(最近1か月を含む)の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月~12月の売上高の平均
またこの融資は「無担保」融資であることも特長です。
【融資限度額】中小事業 3億円 国民事業6,000万円
【貸付期間】 設備資金20年以内 運転資金15年以内
【据置期間】 5年以内
【金利】 当初3年間は0.21%(基準金利1.11%-0.9%)
4年目以降はその時点の基準金利
すでに別の融資を政策金融公庫で受けている場合にも、さかのぼって適用することが可能です。すでに別に融資を受けていてもこの枠に変更することも可能ですので検討してみましょう。
- 特別利子補給制度
この融資がいわゆる「無利子」融資です。
この「無利子」融資に該当するには、前提として、前回のブログで書いた商工中金の新型コロナウィルス対策の融資に該当するか、もしくは、日本政策金融公庫の新型コロナウィルス対策感染症特別貸付に該当する(上記の②に該当する)か、というのが前提にあります。
その場合に、売上の減少が大きい事業者には借り入れの当初3年間は利子補給があるという制度です。
「利子補給」というのはいったん利子部分を負担しておいてあとからその利子部分についてお金を返してもらえるというものです。
この「特別利子補給制度」を利用できる要件は以下の3つの形態があります。
個人事業主:要件なしで「無利子」融資に該当します
小規模事業者:売り上げの減少が前年同月比で15%以上
中小企業者(小規模事業者以外の中小企業):売り上げの減少が前年同月比で20%以上
小規模事業者というのは法人形態の事業所で、製造業・建設業・運輸業などの業種の場合には従業員数が20名以下の事業、サービス業やその他の事業の場合には従業員数が5名以下であることを言っています。いわゆる「国民事業」に該当する場合です。「国民事業」に該当しなければ中小事業者です。日本政策金融公庫の融資が「国民事業」と「中小事業」に区分することから、この判断基準が特別利子補給制度にも使われています。
個人事業主だと、売り上げの減少が何%かに関係なく、実質無利子の制度が使えるというのも非常に特徴的なところです。
- マル経融資の金利引き下げ
マル経融資というのは、商工会議所などを通じて行う小規模事業者の融資制度です。
以前にこのブログでもご紹介したことがありますので、下記を参照してみてください。
さてこの商工会議所(商工会)を通じた日本政策金融公庫のマル経融資にも新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえた特例措置というのがあります。
要件としては上記の①から③と似ていて、最近1か月の売り上げが前年または前々年の郷月と比較して5%以上減少していることです。
【融資限度額】1,000万円
【据置期間】 3年以内
【金利】 当初3年間は0.21%(基準金利1.11%-0.9%)
4年目以降はその時点の基準金利
これらの日本政策金融公庫の融資は、一般枠と呼ばれる通常の融資とは別枠の融資となります。融資枠が別になっているということは、たとえば政策金融公庫で最近、借入をしていてもそれとは別の融資という意味です。ですから、最近、融資を受けていてもそれとは関係なく融資を受けることができるわけです。
新型コロナウィルスの影響で売り上げの減少がみられるような場合、この際、積極的にまずは日本政策金融公庫のこうした融資制度を活用することをお薦めしたいと思います。