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今日も昨日と同じ雇用調整助成金の話です。

4月1日から6月30日は緊急対応期間として、雇用調整助成金の支給要件がさらに緩くなり、使いやすくなっています。どういう要件なのか、この際、「要件」という点に着目すると理解しやすくなると思います。確認してみましょう。

まず、雇用調整助成金の基本的な要件として、通常時では最近3カ月の売り上げの平均が前年同月比で10%下がっていることが必要なわけですが、この新型コロナウィルスの特例として、最近1か月の売り上げが10%下がっていることでいいとされています。それがさらにこの4月1日から6月30日の緊急対応期間であれば、売り上げの減少が5%でいいとされました。

それから、この雇用調整助成金というのはそもそもは計画的に休ませて初めて受けられる助成金です。通常時の場合には計画届というのを休業を開始する前までに提出する必要があります。初回申請は休業開始の2週間前までに出す必要がありますが、この新型コロナウィルス感染症対策としては、計画届は令和2年5月31日までに後から出せばいいことになっています。また、4月1日から6月30日の緊急対応期間中であれば、計画届は6月30日までに出せばいいことになっています

通常の場合には、計画届を出して、その計画届に出した期間を経過してから2カ月以内に支給申請という流れでしたが、今回のこの新型コロナウィルス感染症対策として、計画届と支給申請を同時に行うことができることになりました。

これは、4月1日から6月30日の緊急対応期間中の申請も同様です。計画書と支給申請を同時に出す形になるという少し特殊な流れとなります。ただ、この計画書の後出しがOKになったというのは、この雇用調整助成金が使いやすくなった要因になっています。

そして、この雇用調整助成金の受給対象者は、通常は雇用保険の加入者が対象になるわけですが、雇用保険の加入者以外も対象となっています。パート・アルバイトやたとえば、給与が乙欄の者であっても雇用調整助成金の対象となります。(正確には、パートアルバイトなどの雇用保険に加入していない方の場合、「緊急雇用安定助成金」という助成金の対象となります)これらの雇用保険の加入者以外の者の場合、通常勤務時がどうなのかとの比較が必要となります。通常勤務時のシフト表やタイムカードなども必要になってくる点は注意点でしょう。

また、クーリング期間というのが1月24日以降の休業については撤廃されています。

クーリング期間というのはこの助成金は一度受給すると次の受給まで1年以上の期間を開けないと受給できないというものです。これがなくなっています。

さて、この新型コロナウィルス感染症対策としての基本的な要件は上記のようなものですが、実際の受給額はどうなっているのでしょうか。

通常時は休業手当の3/4ですが、これが4月1日からの期間については、解雇を行わず雇用を維持した事業所については9/10と拡大しています。

「平均賃金の日額×休業手当の支払い率(60%~100%)×9/10(1日8,330円が上限)」

となっています。

ただし、注意点があります、上記の算式のように休業手当の支払い率60%~100%となっているので、たとえば、給与を減額せずに100%休業手当として支払った場合、その100%支払った金額を基礎に計算されると思われてしまいます。

たとえば、日給1万円の人に休業を言い渡し、その代わり、給与の日額1万円は変わらずに支払ったとすると、1万円×100%×9/10=9,000円>8,330円なので、上限の8,330円支給されると思ってしまいます。

しかし、これはそうではなく、どうやら就業規則等の記載額が上限とされているようです。就業規則に通常、休業手当の規定が記載されています。その記載には平均賃金の6/10の支払いと記載されていることが多いと思います。それが根拠となり、仮に100%休業手当を支払っていたとしても休業手当は60%とみて計算されるということです。

結局、日給1万円の人については支給額は5,400円となるわけで、日給の約半分が支給額だと考えればいいだろうと思います。

ただ、この辺は見解が労働局によっても違うという話もありますので、60%以上の休業手当を支払った場合には確認が必要でしょう。

また、解雇していても雇用調整助成金を受給できるというのもあります。解雇がある場合、通常は受給できませんが、4月1日からは解雇を行っていても5分の4が支給されます。

解雇を行っていても雇用調整助成金が支給される点は特徴的な部分です。

また、支給日数には上限があります。

休業等を実施した労働者が1人でもいた⽇を1⽇とカウントするのではなく判定基礎期間ごとに以下の方法で⽇数を計算します。判定基礎期間というのは、判定基礎期間計画や⽀給申請の単位となる期間のことをいい、基本的には1か月単位(つまり、賃⾦締め切り期間)となっています。

休業の延日数(人数×日数)÷労働者数=支給日数

上記の支給日数が1年で100日3年で150日が限度とされています。

それが、4月1日から6月30日までの緊急対応期間中は過去の受給日数にかかわらず上限期間が「100日+4月1日から6月30日までの期間分」とされています。

それから、この雇用調整助成金を利用するにあたって、一つ注意すべき点があります。それは「休業規模が小さいと支給されない」というルールです。休業したといっても時間数が少なかったり、一部の従業員のみが休業になったりすると適用されない可能性があるという点です。4月1日以降の休業についてはこの休業規模は少し拡大されて40分の1以上となっています。(従来の要件は中小企業の場合、20分の1以上でした)

たとえば、判定基礎期間における所定労働延日数が22 日、「所定労働時間」が1 日8 時間の事業所において、10 人の労働者が1 日ずつ休業をする場合、「休業延べ日数」は10 人×1 日゠10 人日となります。この場合、10/220>1/40 となるため、この要件を満たすこととなります。たとえば、上記の場合でも5人の労働者が1日ずつ休んで5日の休みだった場合、「休業延べ日数」は5人×1日=5日となるため、5/220<1/40となるため、5日程度の休業だとたとえ休業手当を支払っていてそれ以外の要件は該当していたとしても対象外となります。

ある程度、休業期間がないと対象外となる点は注意点です。

もう一つ、緩和された内容として、いわゆる「残業相殺」が認められるようになっているという点もあります。本来は雇用調整助成金というのは、経済的理由により事業所の業務量が減少した状況下において、事業主が労働者を解雇せずに、休業によって雇用を維持した場合に助成を行うものです。その場合、労働者を休業させる一方で、残業や休日出勤をさせた場合、それが突発的・一時的なものであったとしても、労働者を休業させずに働かせる必要性が新たに発生したことになるため、助成の対象となる休業の延べ日数から、その残業や休日出勤をさせた分を控除することになっています。しかし、1月24日以降の休業についてはこの適用がないことになっています。

助成金そのものが助成金を普段、扱わない中小企業の事業主の皆さんにとってはとっつきづらいものかもしれません。しかし、雇用調整助成金は雇用保険被保険者以外に拡大するなど、利用が拡大し、使いやすくなっています。これを機に、まずは上記の要件を確認するところから始めてみましょう。そして、雇用調整助成金の利用の検討してはいかがかと思います。


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