10月の消費税率の引き上げに伴い、キャッシュレス決済のポイント還元が始まりました。
○○ペイやカードの決済などのキャッシュレスの方法で、ポイント還元されるものです。
さて、そうしたポイント還元があった場合、経理処理はどうしたらいいのでしょうか?
ポイント還元には4種類あります。
- ポイントを付与する・・・使っているカードなどにポイントを付与する
- 即時充当する・・・商品などを購入したときに購入額にポイントをすぐに充当して差し引く
- 引き落とし時に相殺する・・・カードなどの利用額が口座から引き落とされるときにポイント額を控除する
- 口座に充当する・・・1か月以内の期間ごとに口座にポイント相当額を付与し、その後に決済したときにポイント相当額を充当する
特に問題となるのは②のケースです。②のケースでは、キャッシュレスの決済をするたびに実際支払額のポイント還元分が会計時に支払額から引かれます。例を使ってみていきましょう。
消耗品 1,000円
消費税 100円
ポイント還元 ▲50円
支払額 1,050円
さて、この場合の経理処理はどうするのでしょうか?
上記のような場合、理解の仕方として購入額はあくまでも1,100円だということです。ですから、以下のような仕訳になります。(ちなみに税込み経理処理が前提です。)
(消耗品費)/(現金) 1,100
(現金)/(雑収入) 50
即時充当の場合、会計時に即時に充当されるため、上記のような仕訳になります。
「現金」は相殺されますから、現金を相殺すると以下のような仕訳になります。
(消耗品費)/(諸口) 1,100
(諸口)/(雑収入) 50
(諸口)/(現金) 1,050
もう一つ、別の具体例でみてみましょう。
上記の例は、10%対象のものでしたが、軽減税率対象のものと10%対象のものが混在していたらどうなるでしょうか?
消耗品 500円
飲み物 300円※
合計 800円
10%対象消費税 50円
8%対象消費税 24円
ポイント還元 ▲40円
支払額 834円
※軽減税率対象
さて、上記のように、10%と軽減税率の対象が混在していた場合ですが、これは10%対象と軽減税率対象とを一つ一つ別々に処理していくことになります。ちなみに、飲み物の購入は「福利厚生費」として処理したとします。また、処理は税込み経理処理が前提です。
(消耗品費)/(現金) 550
(福利厚生費)/(現金) 324※
(現金)/(雑収入) 40
※軽減税率対象
上記の現金を相殺すると、以下のようになります。
(消耗品費)/(諸口) 550
(福利厚生費)/(諸口) 324 ※
(諸口)/(雑収入) 40
(諸口)/(現金) 834
※軽減税率対象
ポイント還元以外はポイント還元がなかったとして処理し、ポイント還元分は「雑収入」とするということです。
さて、これとの違いとして、お店独自にポイント分を値引きした場合、どうなるのかも考えてみましょう。
消耗品 500円
ポイント値引き ▲25円
消費税 47円
支払額 478円
上記は以下のように仕訳します。
(消耗品費)/ (現金) 478
違いがお判りでしょうか?お店独自のポイント還元は、ポイントを値引きとしてみていることです。つまり、ポイントを引いた後の金額で処理するわけです。
税法的に言うと次のように表現できます。
キャッシュレスポイント還元・・・ポイント還元の控除前の金額を課税仕入れにする
お店独自のポイント値引き・・・ポイント控除後の実際支払額を課税仕入れとする
キャッシュレスのポイント還元は、別の言い方をすれば、経理処理上は値引きではないということで、ここに経理処理の特徴があるわけです。
また、キャッシュレスのポイント還元の形態のうち、③引き落とし時に相殺するや④口座に充当する の場合も、支払時に減額された金額を「雑収入」として処理することになります。
上記のキャッシュレスのポイント還元の仕方は、国税庁が公表している「即時充当によるキャッシュレス・消費者還元にかかる消費税の仕入れ税額控除の考え方」によっています。
参考にしていただければ幸いです。