手技療法の治療院、介護事業の経営に役立つ最新情報や知って得する情報満載のブログです!

今日は、税務のちょっと変わった話?をしていこうと思います。

ロータリークラブの会費が経費になるのかという話です。

その前にロータリークラブって何か、ご存じでしょうか。

ロータリークラブというのは地域の慈善事業などを行う団体で、様々な慈善事業への参加を通じで会員同士の親睦を図ったりするものです。多くは会社経営者だったり、地主といったような地域の名士の集まりといったものです。

これに近いものにライオンズクラブというのがあります。会の趣旨などはほとんど同じです。ライオンズクラブのほうが加入条件が緩やかであったりするようです。

このようなロータリークラブやライオンズクラブの会費は個人と法人で経費になるのかどうなのかの取り扱いが違うのはご存じでしょうか。

ロータリークラブの会費が経費になるかどうかというのは、実は、国税不服審判所という国税に関する国と納税者の裁判所のようなところで何度か裁決がされています。そのほとんどが、個人の場合には必要経費にならないと裁決されています。(平成26年3月6日裁決、平成28年7月19日裁決など)

なぜ経費にならないかというと、ロータリークラブの会の目的が関係しているようです。

平成26年3月6日の裁決は、司法書士がロータリークラブの会費を経費として計上していたのが認められなかった裁決ですが、このように書かれています。

本件クラブの綱領は、有益な事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹し、これを育成することとしており、本件クラブは、当該綱領に基づき奉仕活動を行うことが目的であるところ、当該奉仕活動は、請求人が司法書士として行う事業には該当しない。

この裁決では、商工会議所の会費と比較して論じられています。商工会議所の会費が経費になるのは、事業との関連性があるからであって、ロータリークラブの会費はその会の目的からして事業との関連性が認められないというものです。

また、別の裁決例(平成28年7月19日裁決)では、ロータリークラブの会費は「顧客獲得のための積極的な営業・広報活動等」とまではいえず、その営業効果は「間接的、副次的に生ずる効果に過ぎない」として経費計上を認めていません。

上記の裁決例は個人事業の場合の話です。面白いのは同じロータリークラブの会費でも法人の場合には経費計上を認めています。法人税法基本通達の9-7-15の2 という部分にそれが書かれています。

法人がロータリークラブ又はライオンズクラブに対する入会金又は会費等を負担した場合には、次による

(1) 入会金又は経常会費として負担した金額については、その支出をした日の属する事業年度の交際費とする。

(2) (1)以外に負担した金額については、その支出の目的に応じて寄附金又は交際費とする。ただし、会員たる特定の役員又は使用人の負担すべきものであると認められる場合には、当該負担した金額に相当する金額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。

なぜ、個人と法人が取り扱いが違うことになるのか、釈然としない部分はありますが、個人は必要経費不算入、法人は交際費で損金算入、というのが通説的な解釈です。

さてここからは私見も含めての話になります。

ロータリークラブの会費が必要経費になるのかならないのかというのは、実務的に言えば税務調査で指摘されるかされないかによってくるものと思います。

税務調査官の目に触れて、このロータリークラブの会費の取り扱いを知っている調査官だったら個人の場合には否認される可能性があります。法人の場合には、諸会費等の交際費ではない勘定科目で処理されていたら交際費として処理するように言われる(その結果、損金不算入になる部分が出てくる可能性がある)というところだろうと思います。

たとえば、個人であっても、ロータリークラブの会員から仕事を依頼されたとかという具体例があったとき、担当する調査官が「それでもロータリークラブの会費は必要経費にはならないんです」と言い切れるのかどうかは何とも言えません。

税務調査の立ち合いをしたことのある社長さんや経理担当者ならわかると思いますが、実際の税務調査では調査官とのやり取りで決まってきます。その中でロータリークラブの会費が事業と密接に関係していると訴えたとき、調査官がどういうとらえ方をするのかによって来るのではないかと思います。

この論点に関しては、裁決例は個人に厳しい裁決例ですが、法人が交際費で損金算入なのに対して、個人は経費にできないというのは、私自身も釈然としない部分があります。

ただ、間違っていただきたくないのは、私は個人であってもロータリークラブの会費を経費にしてもいいと言っているわけではありません。裁決例は個人には不利な判断はされていますが、経費に計上していても、実務上、税務調査で否認されないこともあり得るということを知っておいていただければという話です。上記のことをわかっているうえでどう処理するのかは事業主の皆さんにお任せするという感じです。

ちなみにロータリークラブのほかにライオンズクラブというのもあります。これも同じです。また、地域によっては40歳までの加入を条件とする「JC」という組織もあります。このJCの会費も同様の取り扱いだろうと思います。

参考になさってみてください。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

免責事項

当ブログで記載されている情報においては、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めています。しかし、誤情報が入り込んだり、情報が古くなったりすることもあります。必ずしも正確性を保証するものではありません。また、合法性や安全性なども保証しません。

当ブログに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。