確定申告時期が重なり、ブログの更新がだいぶされていませんでした・・・
確定申告のこともたくさん書きたいのですが、国会でも、今、毎日審議されている「働き方改革」の助成金、キャリアアップ助成金の改正について、ご案内したいと思います。
キャリアアップ助成金の改正については、現在、キャリアアップ計画書を出している事業所にはリーフレットが送られているのでご承知の方も多いはずです。
今回、改正の柱は「正規雇用に転換する」場合の話です。キャリアアップ助成金で最も該当することが多い点が改正されます。どこが変わるのか、ご存じない方はこのブログで是非、把握しておいてください。
正規雇用に転換する際に転換前6か月と正規雇用転換後6か月で給与が5%以上、上がっていることというのが要件に加わる予定です。現在、国会で審議中ですが、おそらくこの改正は施行されるものと思います。
従来は(というか「現在は」と言ったほうがいいですね)、正規雇用に転換する前と転換した後で給与の金額に変動がなくても問題はありませんでした。雇用契約で正規雇用に転換する旨が明記されていれば、正規雇用に転換したものと考えたわけです。
通常、正規雇用に転換するというと、給与が上がったり、休暇が増えたりして待遇面が良くなったりという改善があるはずです。従来は、仮に給与が転換前と転換後で変更がない場合、正規雇用に転換するとどういう点が改善されるのかを、労働局で確認されることもありました。正規雇用になると何が変わるのかを確認されるわけです。
たとえば、正規雇用に転換する前と転換する後で、時給のままだとするとこれは必ず確認されるポイントです。たとえば、就業規則などで、「全員時給で給与を支払う」となっていれば問題ないわけですが、そうではなく、月給者もいて時給者もいるような場合、時給のままで正規雇用に転換といってもこれは正規雇用に転換したといえないのではないかと言われるわけです。
さて、正規雇用に転換する前と後の給与が5%というのは何を指して5%というのでしょうか。
労働局のリーフレットの小さい文字で書いてある部分が非常に重要です。そこには、賞与があれば含みますが、時間外給与があって5%以上上がったとか、歩合給が上がって5%上がったとか、通勤手当が上がったとかというのは考慮しないと書いてあります。
時間外手当や歩合給は除いて、基本給や諸手当で5%以上上がることが要件だと書いてあります。
必ずしも基本給である必要はありません。何らかの手当でもいいです。賞与を入れて5%上がっていてもいいです。たとえば、正規雇用にしか支給されない手当を作って5%以上給与を昇給させるというのは分かりやすいですし、私は中小企業に向いている方法だと思います。ただし、賞与の場合には、就業規則などで支給要件が明確化されているものに限ります。業績によって支払わない場合があるようなものでは対象になりません。就業規則などで、基本給の2か月分とか書いてあってそれに従って支払っているようなものが5%基準の対象になる賞与です。
それから、この改正は、平成30年4月1日以降に正規雇用化する社員がいる場合に適用になる話です。平成30年3月31日までに正規雇用化する場合には、給与が5%以上上がっていなくても正規雇用化していれば該当します。正規雇用する時期によっては改正があたらないケースもありますので注意が必要です。
あとは1事業所で1年度に15人までだったのが20人まで受給できるようになった点も改正点です。ですが、中小企業にとっては、1年間に15人とか20人とかといった人数の正規雇用かというのは通常、あまりない話なのでほぼ関係のない論点です。
やはり、今回の改正のポイントは「正規雇用化する前と後で給与が5%以上上がること」という点です。私の関与先では、「正規雇用に転換するからには給与を上げたほうがいい。5%程度上げておいた方が正規雇用化したことがわかりやすく、労働局からも受け入れやすいからそうしたほうがいいですよ」とアナウンスしていました。これは、将来、このような改正があるのではないかと考えていたためでもあります。今回のこの改正は、私はある意味、当然といえるような内容だと思っています。
これから正規雇用化してキャリアアップ助成金の受給を考えている事業主さんは、もしこの改正をご存じないようでしたらこの機会に知っておきましょう。