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10月1日からは社会保険・雇用保険などが法改正でいろいろと変わります。10月1日という日付でここまでいろいろと変わるというのも珍しいかもしれません。今日は経営にかかわるという視点から10月1日から変わるものを見ていきたいと思います。

 

〇雇用保険料率の改正

10月1日から雇用保険料率に改正があります。給与計算にも影響がありますから注意が必要です。

 

4月1日~9月30日についても改正がありましたが、労働者負担分には変更がありませんでした。

労働者負担分は、一般の事業の場合、3/1000、農林水産・清酒製造の事業・建設の事業の場合、4/1000でした。

これが、10月1日からは一般の事業の場合、5/1000、農林水産・清酒製造の事業・建設の事業の場合、6/1000に改正になります。

 

ちなみに、労働者負担分も含めた雇用保険料率は4月1日から9月30日では一般の事業は9.5/1000、農林水産・清酒製造の事業では11.5/1000、建設の事業は12.5/1000でしたが、10月1日以降は一般の事業は13.5/1000、農林水産・清酒製造の事業では15.5/1000、建設の事業は16.5/1000と変わります。

 

労働者負担分の変更があるため、給与計算に影響がありますので、10月以降に支給する給与では注意が必要です。特に給与の締め日が9月末で支給日が10月以降になるような場合です。この場合、支給しているのが10月でもあくまでも9月分の給与なので、9月分の給与(10月支払い分)は従前の雇用保険料率で、改正後の雇用保険料率で給与計算するのは10月分の給与(11月支払い分の給与)となりますので注意が必要でしょう。

 

〇最低賃金の変更

 

都道府県ごとにことなりますが、10月1日から変わります。

首都圏が一番高い時給となり、東京都は1041円が1072円に、神奈川県は1040円が1071円にそれぞれ変わります。変更するのは10月1日からですが、たとえば給与の締め日が15日締めの場合、9月16日から9月30日の時給と10月1日から10月15日の時給を変更しないといけないかというとそこまで厳密に考える必要はありません。この場合、10月16日~11月15日締めの給与から改定すればいいとされています。あわせて確認してみてください。

 

〇出生時育児休業の新設と育児休業分割取得、育休開始時期の柔軟化

育児休業制度が改正され、パパ休暇が出生時育児休業と育児休業分割取得に見直され、施行されます。新しくできる出生時育児休業の対象となるのは、産後休業をしていない労働者(日雇い労働者を除く)です。男性は産前産後休業がないので、この「出生時育児休業」の対象となるのは、原則的には男性になるはずですが、一定の場合(養子縁組している場合や、専業主婦【主夫】の場合)には女性が対象になる場合もあります。

対象期間は子の出生後8週間以内に4週間(28日)までです。休暇の取得回数分割して2回までで、分割して取得したい場合には初回申請時にまとめて申出をする必要があります。

また、1歳以降の育児休業開始時期が柔軟化され、夫婦交代での取得が可能となります。配偶者が1歳以降の育児休業を原則の育休開始日から取得する場合、もう一人は配偶者の育児休業終了予定日の翌日以前を育児休業開始日とできるというものです。原則として、この1歳以降の育児休業は、1歳到達日の翌日から1歳6ヶ月到達日まで、1歳6カ月から2歳までの育児休業は1歳6カ月に到達した日の翌日から2歳までとなります。

これら改正に合わせて、企業側は就業規則の改正等の措置をして、対応する必要があります。

 

〇雇用保険に出生時育児休業給付金が創設

上記の育児休業の改正に伴い、雇用保険の育児休業給付も改正され、新しく「出生時育児休業給付金」が創設されます。この「出生時育児休業給付金」は、雇用保険の被保険者の方が、子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、出生時育児休業を取得した場合、一定の要件を満たすと支給を受けることができるというものです。

主な支給要件は次の通りです。

  1. 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するため出生時育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
  2. 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。
  3. 休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること。
  4. (期間を定めて雇用される方の場合)子の出生日(出産予定日前に子が出生した場合は、出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、その労働契約の期間が満了することが明らかでないこと。

 

また、出生時育児休業給付金の支給対象期間中は最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)まで就業することが可能です。休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。たとえば、14日間の休業の場合には、最大で5日(5日を超える場合は40時間)が就業可能日数となります。

 

〇育児休業期間中の社会保険料の免除要件の見直し

育児休業期間中の社会保険料の規定が10月1日から変わります。従来は月末時点に育児休業期間がかかっていれば社会保険料が免除される規定でした。そのため、月の途中から育児休業を開始し、月の途中で育児休業が終了する場合、社会保険料が免除される対象にはなりませんでした。これが10月1日以降は育児休業期間が同月中に14日以上ある場合、社会保険料が免除されることになります。

また、賞与の社会保険料についても、従来は育児休業期間に月末が含まれる月に支給された賞与に係る社会保険料は免除されていました。これが、賞与の社会保険料の場合、1か月を超える育児休業を取得したときに限り、育児休業期間に月末が含まれる月に支給された賞与の社会保険料が免除される形に規定が改正されます。

 

この論点は前回の私のブログを参照してみてください。

育児休業期間中の社会保険料免除制度が10月1日から変わります!

〇社会保険の適用拡大

社会保険の適用対象が拡大されます。

従来は事業所の規模が常時500人超の事業所について、賃金要件(月額8.8万円)、労働時間要件(週労働時間20時間以上)、勤務期間要件(1年以上継続して使用される見込み)であり、かつ学生でない場合、という要件に該当する場合、健康保険・厚生年金への加入義務が生じる形でした。

これが、事業所の規模が常時100人超に変更され、また、勤務期間要件が1年以上継続して使用される見込みというのが2か月を超えて継続して使用される見込みに改正されます。

 

また、2か月を超えて継続して雇用されるというのも、細かく要件が見直され、「2か月以内の期間を定めて使用され、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれない方」のみが社会保険の加入義務がない形となっています。したがって、たとえば2か月の雇用契約を更新していくような場合は加入義務があるということになっていますのであわせて注意が必要でしょう。

 

なお、社会保険の適用拡大は令和6年10月からは、常時100人超の事業所から常時50人超の事業所に変更となります。該当する中小企業の数が大幅に増えることが予想されますので今から確認しておく必要があります。

 

〇個人経営の士業も社会保険の適用対象

これはいわゆる士業の個人事業所の話です。

護士、税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、弁理士など士業の事務所で個人事業としてやっている場合、これまでは社会保険の適用対象ではありませんでした。それが常時5人以上を雇っている士業の事務所も社会保険の適用対象となります。

 

税理士向けの新聞などを私も読んでいますと、この点について書かれていることが多いので税理士はご存じの方が多いようですが、該当する場合には注意が必要です。

 

〇安全運転管理者によるアルコールチェック義務化等

従来、緑ナンバーの自動車に課されていたアルコールチェックが、乗車定員11人以上の車を1台以上、または、その他の自動車を5台以上使用する事業所の白ナンバー自動車を使用する企業にも適用されることとなりました。運転前後のアルコールチェックでアルコール検知器を用いなければならないこととされています。該当する場合には、早急に対応が必要でしょう。

 

〇  「介護職員等ベースアップ等支援加算」がスタート

介護事業所特有のもので、処遇改善のための加算はこれによって3本立てとなります。

新設されたベースアップ等加算は、今年2~9月に実施された介護職員処遇改善支援補助金の目的を引き継ぐ施策です。既存の介護職員処遇改善加算を手厚くする位置づけで設定された介護報酬になります。

加算はこの他に、経験・技能のある介護職員にフォーカスした介護職員等特定処遇改善加算があります。ベースアップ等加算は、処遇改善加算を算定している事業所であれば申請でき、加算額の3分の2を介護職員等のベースアップ等に使用することが要件となります。

 

10月からの改正項目を列挙してみましたが、ご覧にように改正される項目が多いことがわかります。このほかにも後期高齢者のうち一定所得以上の者の窓口負担の割合が2割になったり、企業型DC加入者のiDeCo加入要件の緩和などもあります。ほかにも、職業安定法の改正などもあります。求人の際の情報を的確な表示が義務付けられるなどすることから、求人の際にも影響が少なくないでしょう。

4月1日ではなく10月1日という年度の途中での改正でこれだけ多いのも珍しいのではないかと思っています。

上記の改正項目について、ご存じなくてまだ対応していないものがあればこれからでも遅くないです。早めに対応していきましょう!


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