今日は会計事務所選びの話です。
私の事務所へある介護事業所の経営者の方からお問い合わせをいただきました。早速、お伺いしてお話をお聞きしましたが、その方はこんなことをおっしゃっていました。
「今の会計事務所は経理のことはきちんとやっていただいているし、お伺いしても対応はすごく丁寧なんです。法人設立時からお世話になっているのですが、居宅と在宅の違いすら分からないようで、その説明をまずしないといけない感じなんです・・・」
会計事務所の専門は経理などの会計処理のことや税金の申告です。あとは給与計算なんかも会計事務所の守備範囲です。しかし、介護の経営者の皆さんにとっては経営って、経理だけでしょうか?たとえば、介護保険の相談とかは誰にしていますか?
来年、処遇改善加算に新区分Ⅰができます。また、訪問介護の生活援助(掃除、洗濯、料理など)は市区町村へ移譲されるという話は介護の経営者だったら聞いたことがあるはずです。厚労省の社会保障審議会での議論で、平成30年改正では見送りになるようです。このような話は聞いたことがありますか?
また、たとえば、介護の事業所だと数多くの助成金を受給できる可能性があります。そういった助成金情報をどこから得ていますか?
介護保険改正の情報、助成金の情報など、どこから聞くのが一番いいかといえば、経営の専門家である会計事務所です。ところが、多くの会計事務所というのは「経理」の専門家であって「経営」の専門家ではないのです。ですが、これでは経営者の役に立ちません。経営者にとっては、「経理」だけでなく、「社会保険・労働保険」のことだったり、就業規則などの「労務管理」の問題、「助成金情報」、「融資の相談」など、相談したいことは山のようにあるはずです。つまり、「経理」というのは「経営」の一部に過ぎないはずです。
介護事業所をみるのに、「居宅支援事業所」というのが何なのかすら知らないようでは、今後のことは先が思いやられます。はっきり言いますが、そのような会計事務所とは関与すべきではありません。厳しい言い方をすれば、せっかく払っている顧問料がもったいないと思います。
最初にご紹介した私の事務所へお問い合わせいただいた介護事業所の経営者の方もまさにそのようなことを感じていたようです。このままでいいのか・・・と。
私は、経営者の皆さんにとって「経理」以外にも様々な経営にかかわるいろいろな問題について気軽に相談できる、そんな事務所を目指して今の事務所を立ち上げました。
会計事務所の業界は、業界的にはまだこの事務所のように「経理」しかみない事務所がほとんどです。しかし、自分の会社のことを最もよくわかっている人は、会計事務所であるはずです。そのためにも、経営者自身がきちんとその分野の専門家を選別していく姿勢が大事なのではないかと思います。
医者には「内科」や「外科」「眼科」「耳鼻咽喉科」「皮膚科」・・・など様々な専門分野があります。会計事務所も同じはずなんです。
「蛇の道は蛇」という言葉があります。会計事務所選びもその道に詳しい専門家につくことが会社のためにも不可欠だと思います。
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