医療や介護の従事者に向けて1人当たり5万円(新型コロナウィルスの濃厚接触者の場合には20万円等)の慰労金の支給が始まっています。
この慰労金は7月の終わりから申請ができましたが、7月の申請はあまり日数がなかったため、実際には8月15日~8月末までで申請し始めている事業者が多いと思います。その場合、入金になるのは9月末、つまり、今月末となります。私の顧問先からも、「どうやって経理処理すべきなのか」「給与明細のような明細は必要なのか」といったご質問をいただくことが多くなっています。この慰労金について、どう経理処理をしていったらいいのか、見ていきましょう。
医療・介護従事者に向けた慰労金ですが、そもそもこれは本人が請求するのに変わって事業所が国保連に請求するという関係になっています。つまり、事業所はあくまでも代理で申請するだけです。事業所としては代わりに申請しているだけなので、当然、事業所の収入にはなりません。預かっているお金を渡しているだけなので、経理処理としては以下のようになります。
入金時:(普通預金)/(預り金)もしくは(仮受金) ×××
支払時:(預り金)もしくは(仮受金)/(普通預金) ×××
過不足なく全員にお渡しする必要がありますから、預り金勘定もしくは仮受金勘定はゼロにならないといけません。
また受け取った従業員さんも非課税となります。所得税や住民税はかかりません。
税務のみを扱っている税理士の先生だとこの点を知らない方もいらっしゃると思います。この非課税の取り扱いについては、国税庁から出ているわけではなく、厚労省から出ているからです。
所得税や住民税がかからないということは、たとえば扶養親族になっている場合、この慰労金は除いて考えていいことになります。また、社会保険の扶養の判定についても除いて考えていいでしょう。
また、非課税ですから、この慰労金も給与の支給時にあわせて支給するような場合、注意が必要です。給与と一緒に支給するのであれば、課税されない形になるように給与明細の表示をしないといけません。通常の給与計算は事業所でやって、年末調整だけは税理士の先生にやってもらっているような場合も注意が必要です。単に給与明細を渡すだけで税理士の先生もよく理解していないと、課税して計算してしまう可能性があります。この点、よく注意しましょう。
それから、私の顧問先にお聞きすると結構多いのが、この慰労金は給与とは別に現金で支給するというものです。もちろん、現金で渡しても構わないのですが、その場合には受領書や領収書など、受け取ったということがわかるものを必ず取ってください。現金で渡す場合、たとえば、「まだもらっていない」とか「もらったが金額が足らない」とかといったことでトラブルになることもあり得ます。必ず渡したその場で金額を確認してもらって確かに受け取ったという受領書をもらうようにしましょう。
慰労金事業の詳細については、以下の以前私が書いたブログを参考にしてみてください↓
ということで、今日は慰労金の経理処理の話でした。