さて、今日は平成30年の社会保険の算定基礎届について書いていこうと思います。
6月末から7月の初めにかけては、各企業ともに労働保険や算定基礎届、従業員数が10名未満の法人であればこれに加えて源泉所得税の納期の特例(1月~6月の源泉所得税の計算)があります。
事務処理する事項が意外と多く、各会社の総務担当者は忙しい日々なのではないでしょうか。
さて、その中で算定基礎届について、注意点を書いていこうと思います。
その前に算定基礎届というのは何をやるのかは大丈夫でしょうか。
4月~6月の給与の平均値を取って、それを1年間の社会保険料にするというものです。
さて、この算定基礎届の注意点はどのようなものがあるのかを順番に見ていきましょう。
まず、今年から算定基礎届の用紙が変わりました。
従来、算定基礎届総括表と総括表附票と分かれていたものが1枚の用紙になりました。その上で、算定基礎届の用紙自体も変わっています。
ただ、健康保険組合に加入している場合、年金事務所への提出も健康保険組合の様式で提出します。その点は留意してください。
たまに顧問先から聞かれることに、「今年から算定基礎届にはマイナンバーを記載しないといけないのですか?」というものがあります。算定基礎届の用紙をよく見ていただくと、用紙の一番上には「被保険者報酬月額算定基礎届」となっている下に少し小さめに「70歳以上被用者算定基礎届」と書いてあると思います。
70歳以上75歳未満の方の場合、算定基礎届を提出して社会保険料を算定はしますが、厚生年金はありません。そのため、70歳以上の方(正確には70歳以上75歳未満の方)は通常の算定基礎届とは少し違うという位置づけなわけです。そのため、70歳以上75歳未満の方の場合、算定基礎届と一緒に4月から6月の給与の報告はしてもらうわけですが、「算定基礎届」ではなく「70歳以上被用者算定基礎届」という別の報告様式になるわけです。
そして、この「70歳以上被用者算定基礎届」の場合には、「備考」欄の「70歳以上被用者算定」に〇をつけたうえで、17番の欄に個人番号(マイナンバー)を記載しないといけません。マイナンバーの代わりに基礎年金番号でもいいことにはなっています。
「今年の算定基礎届にはマイナンバーが必要」という認識がある方がいらっしゃるのはこの辺の話があるからだと思います。マイナンバーが必要なのはあくまでも70歳以上の方の話です。
ちなみに、75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」に移行するため、社会保険は資格喪失しないといけません。つまり、そもそも75歳以上の方の算定基礎届はないわけです。
また、算定基礎届の対象になる方は7月1日現在の在籍者です。
ですから、たとえば6月30日に退職した方は算定基礎届の提出の対象にはなりません。(7月1日に資格喪失になるため、7月1日現在には在籍していないことになります)
また、4月から6月の間に固定的賃金(基本給や毎月、変更のない手当)に昇給もしくは降給があって、2等級以上変更しそうな場合、算定基礎届の提出者の対象からは外れます。月額変更届の提出に該当します。
たとえば、4月に昇給があった場合、4月~6月の月額変更となり、7月10日までに月額変更届を提出する必要があります。また、5月に昇給があった場合、5月~7月の月額変更となり、8月10日までに月額変更届を提出する必要があります。
つまり、4月昇給の場合は算定基礎届と同時に月額変更届を提出することで、7月の月額変更となります。(通常は8月の給与からの社会保険料の変更になります)
5月昇給の場合には、8月月額変更となります。この場合、算定基礎届は提出しなくていいことになります。備考欄に「8月月額変更」と書いておけば、給与の金額を報告する必要はありません。
また、パートに該当する場合、備考欄に「パート」というのがあるので、そこに丸印をつけて提出する必要があります。昨年までの算定基礎届ではこれば備考欄に手書きで書き入れていたので、ここは用紙が変わって変更になった点です。
また、4月~6月の間で入社した方の場合には、これも備考欄の「途中入社」に〇をつけないといけません。
基本的な算定基礎届の報告の仕方は変わっていませんが、少し報告の仕方が変わっていますので注意が必要です。
次回も引き続き、算定基礎届の注意点について書いていきます。