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今日は、整骨院・接骨院・鍼灸院といった治療院の「広告規制」について、私見も交え少し書いていこうと思います。

その前に、私の顧問先で、大田区の治療院さんに今年の5月くらいに広告規制について、すべての柔整師の治療院に「施術所の広告について」というチラシが配布されました。

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治療院の広告規制については、開業されている先生方はみなさん周知のことかと思います。

ただ、具体的にどこまでがOKなのか、どうするとダメなのか、罰則とかはどうなっているのか、といったような実際のところとなると、あいまいなままになっている先生方が多いのだと思います。

大田区では、条文を掲げて、規制があるからむやみに広告してはいけないというのを全治療院に配布して注意喚起をしています。ですが、私が見るところ、その当の保健所自体が「広告規制」というのをよく理解していないために、治療院の先生方にも多少の混乱が生じているように思います。

広告規制の話は、このブログ1回で書けるようなものではなく、話をすれば1時間以上もかかるような大変複雑でわかりづらい話です。ですが、このブログでは、論点を絞って書いてみます。ご自身の認識とも照らして少し考えてみてください。

さて、まず、前提としてですが、柔整師法第24条とあはき法第7条の広告規制について、どう書いてあるのでしょうか。

要点をまとめるとこのようになります。

『「治療院の場所、連絡先、柔整師法もしくはあはき法に書いてある治療内容」くらいしか広告には書いてはいけない』

広告規制の問題はこの法律の解釈です。さて、ここで治療院の先生方に質問です。

「ホームページは広告規制の対象になりますか。」

これは対象外です。つまり、広告規制の対象にはなっていません。これは、厚労省がはっきりとそういう内容の文書を出していますので、間違いありません。

では、「なぜホームページは広告規制の対象になっていないのか」 ご存知でしょうか。

この「ホームページが広告規制の対象外」の理由が実は広告規制の論点の一つです。

広告というのは「誘因性」(患者さんを呼び込む意図があること)「認知性」(一般人が認知できること)「特定性」(どの治療院なのか特定できること)の3つの要因のすべてに該当したら広告とみなされる

つまり、逆にいえば、この3つのうちの1つでも満たさなければ広告にならないわけです。ホームページが広告にならないというのはこのうちの「認知性」が欠けているからなんです。

ホームページとか、ネットというのは積極的に情報を取りにいかないといけないものですよね?看板とかチラシとか、そういうものは不特定多数の人が「見たい」と思っていなくても見てしまうものですよね。この「不特定多数の人が見たいと思ってもいないのに見れてしまう」状態が「認知性」です。インターネットの情報というのは、自分から情報を取りに行きます。ですので、この「認知性」がないという判断なわけです。

わかったようなわからないような理屈ですが、要は「ホームページはセーフ」という認識でOKです。

ですが、「有料でのバナー広告などは広告規制の対象となる」というのが厚労省の見解です。

私の理解が不足しているのか、と思ってしまうのですが、有料のバナー広告だろうがホームページだろうがネットの情報という意味では同じなんじゃないの、と私は個人的には思います。何が違うの?と。ですが、厚労省は「ホームページはOK。でも有料のバナー広告は規制対象」とはっきりと言っています。

有料のバナー広告とかいう話はありますが、それはさておき、問題なのは「ホームページはセーフ」という結論よりも「なぜセーフなのか」という理由です。

違う例で説明しましょう。

たとえば、治療院の看板に「肩こり」「腰痛」「むち打ち」といった症状の内容が書いてあったとします。これは、上記の法律の条文からすると、柔整師やあはき法の治療内容ではないので、この看板に書いてある「肩こり」「腰痛」「むち打ち」ということが書いてあること自体、法律違反になります。

しかしです。これは私はOKだと思います。

なぜか?

これは、柔整師法やあはき法という以前に先ほど書いた「広告の定義」に当てはまらないからです。「肩こり」「腰痛」「むち打ち」といった症状だけ書いても「誘因性」という患者さんを呼び込む内容は書かれていないからです。

ですので、同じ「むち打ち」でも「むち打ち専門」と書いてしまうと「患者さんを呼び込む意図」が入ってしまうのでアウトなわけです。「むち打ち専門」ではなく「むち打ち対応」だったらOKかもしれません。(これは私の解釈ですが)

さて、もう一つ。広告規制の話で重要なのが「そもそもなぜ広告規制があるのか」という話です。

これは、広く医療法の範囲とも重なりますが、医療の根本的な考え方に「誇大広告をしてしまうと患者さんの利益が損なわれるから」というものがあります。これは、治療院に限らず、内科や整形外科、歯科などでも同じです。医療について誇大広告があると、国民の利益が損なわれる。それが根本にあります。

ですが、治療院で治せる症状を伝えることやどの治療に特化しているのかというのを表示することは患者さんの利益を損なうのでしょうか?むしろ患者さんは「むち打ちに特化しているのだったらこの治療院がいい」と思っていくわけで、それは患者さんの利益にかなっていると思います。その辺が私は大いに疑問があるのですが、一番最初に書いた大田区の「施術所の広告について」のチラシにも「むち打ち専門」は違反広告であると書いてあります。一般的にはそのように解釈されているようです。

今日はここまでとしておきますが、この治療院の広告規制については、ちょっと奥の深いテーマですので、何回かに分けて書いていこうと思っています。

 


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