コロナの関係で日本政策金融公庫の借入を利用される方も多くなっています。 融資が決定され、契約書を取り交わす際に公庫の担当者に必ず聞かれるのが「団体信用生命保険に加入しますか」というものです。
そこで私が顧問先の皆さんから聞かれるのがこういった質問です。
「団体信用生命保険(団信)って加入する必要はあるの」「そもそも団信って何」
今日はこの「団信」についてみていきましょう。
団体信用生命保険というのは住宅ローンなどにもありますが、日本政策金融公庫の事業の借入金についてもあります。公庫団信制度と呼ばれています。 公庫団信制度とは何かというのは次のように書かれています。
死亡・所定の高度障がい状態になられた場合に補償します。 ご加入者が死亡または所定の高度障がい状態になられた場合、残りの債務が全額弁済されます。 株式会社日本公庫(国民生活事業)または沖縄公庫のご融資を受けられた方がご利用いただけます。 事業資金融資(貸付種類に限定があります)または恩給・共済年金担保貸付が対象です。 事業資金融資団信保険をご利用いただけるのは、満15歳以上 満68歳未満の方です。 恩給・共済年金担保貸付団信保険は、満15歳以上 満80歳未満の方です。 年齢の基準日は、告知日(申込書兼告知書の記入日)現在です。 (公益財団法人公庫団信サービス協会 HPより抜粋)
要するに、事業主が公庫の借入金をした後、死亡したり重度障碍者になったときに残債を保険で賄うというものです。
引受先の保険会社があり、明治安田生命や第一生命などの日本の保険会社となっています。 保険としては、全額掛け捨ての保険です。
保険料の金額としてはおおよそ借入額の0.25%前後のようです。
つまり、1000万円の借入金でだいたい年額25,000円くらいです。保険料がだいたいいくらくらいになるのかという参考としてみてください。
また、この保険の加入の有無が審査に影響するかということもよく聞かれます。これは審査上にはまったく影響がないようです。
そもそも契約書が送付されてきて(融資額や返済方法が決まっていて)同時に団信の資料も送付されてくるので、審査に影響がないことは明らかです。
ですから、純粋にこの保険自体に加入する必要はあるのかどうかという点から考えればいいということになります。
さて、ここからは私が顧問先の皆さんに「団信は入ったほうがいいですか」と聞かれたときに必ずお答えしていることです(もしこのブログをご覧になっている私の顧問先に方がいらしたらたぶん同じことを言っています。)
加入が必要な場合というのは、たとえば次のような場合だと思います。
・個人で他に保険に入っていない
・借入金の金額が会社の規模に比べて大きい
・役員に家族がおらず、社長自身に何かあった時に事業を引き継ぐ人がいない
他にもあるでしょうが、上記のようなケースに複数、該当しているのでしたら加入を検討してみてもいいと思います。
通常は個人で保険に加入済みであって、少なくとも借入金額が1000万円にみたないような場合には不要だと私は考えています。
また、加入した場合の保険料の経理処理についても注意が必要です。法人と個人とで処理の仕方が違うからです。
法人の場合には問題なく、全額損金として経理処理できます。
しかし、個人の場合には、必要経費にはなりません。
しかも、支払った金額は生命保険料控除の対象にもなりません。
一方で、この保険によって債務の弁済がなされた(つまり事業主が死亡するか、重度障碍者になった場合)にはどのように経理処理されるのでしょうか。
法人の場合には、弁済された金額が益金処理されます。つまり、利益になるわけです。
支払った金額が損金、つまり経費になるため、もらったら課税されます。
ということは個人はどうなるかというと、個人の場合には所得税は課税されません。個人は支払ってももらっても税金には関係しない形になっているわけです。
まとめますと、団信に加入するかどうかは、純粋に必要か必要でないかその一点で考えていただければと思います。 以上、日本政策金融公庫の借入の際の「団体信用生命保険」の話でした。