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さて、今日は前回に引き続き、治療院の税金シリーズで、消費税の話です。

治療院経営にとって、消費税の知識は必須です。これを機会によく理解しておきましょう。

さて、前回は、消費税の課税事業者になる判定方法とどういう売り上げが消費税の課税売上になるのかの話でした。

今日は、もう少し具体的に数字を使って話をしようと思います。

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その前に、消費税の計算方法は本則課税と簡易課税と二通りありますが、それはご存知でしょうか。

 

本則課税は次のような計算方法です。

 

消費税のかかる売上・・・1万円(消費税は800円)

支払っている消費税・・・4000円(消費税は320円)

 

この場合、納める消費税は売り上げの消費税800円から支払った消費税320円の差額480円です。

支払っている消費税というのは、商品を買ったり、サービスの提供を受けたりして支払いをした時に消費税を払いますよね。そのことを指しています。

本来、消費者が直接、国に支払うべき税金を事業者が代わりに支払う税金が消費税です。つまり、

 

消費者(患者さん)800円⇒事業者(治療院)800円⇒国

 

という流れで、事業者である治療院は消費税を国に納めるわけです。

このとき、事業者である治療院が消費者の立場で支払っている消費税がありますよね。計算上はこれを控除するわけです。

 

消費者(治療院)320円⇒事業者320円⇒国

 

患者さんから受け取った消費税から消費者の立場で支払った消費税を控除して(消費税法では「仕入税額控除」と言います)、その差額を納付するのが消費税の基本的な仕組みです。

 

これに対して簡易課税は、この「仕入税額控除」の部分をだいたいで計算します。

治療院の場合、第5種事業に該当することがほとんど(次回のブログで詳しく説明します)なので、売上で預かった消費税の50%が仕入税額控除とみなして消費税の計算をします。

上記の例ですと

800円×50%=400円

を仕入れ税額控除とみなします

そうすると、消費税は800円-400円で400円を国に納めることになります

 

簡易課税というのは小さい事業者には消費税の仕入税額控除の計算が煩雑だろうということで、特別に売り上げから簡単に消費税が計算できる方法を認めたわけです。

 

さて、では、本則課税にすべきか簡易課税にすべきかというのがどちらでも選択できるのかということになります。これは選択できます。計算してみてどちらか少ないほうで申告すればいいわけです。ただし、簡易課税を選択する場合、その課税期間が始まる前までに届け出を出さないといけません。

たとえば、平成29年から簡易課税にしたいのであれば、平成28年12月31日までに税務署に「簡易課税選択届出書」という書類を出さないと簡易課税を選択できません。平成29年の計算をしてみたら本則課税よりも簡易課税の方が税金が少なかったと気づいても、平成28年12月31日までに出していなければ簡易課税では計算できません。

平成29年が消費税の課税事業者かどうかは、平成27年の申告書を出した時点ではわかっていますから、平成28年12月31日までには簡易課税の届け出は出せるはずですよね。

 

この簡易課税かどうかというのは治療院経営にとっては大変重要です。ちなみに、ほとんどの治療院では、簡易課税が有利になるはずです。一応、計算してみたほうがいいとは思いますが、治療院の場合、ほぼ簡易課税を選択することになるはずです。

 

また、簡易課税が有利でも簡易課税を選択できない場合もあります。

これにはいくつかありますが、代表的なものは 課税売上が5000万円を超えるケースがあります。課税売上が5000万円を超えるというのはほとんどが複数の治療院の店舗を構えているケースです。一店舗で課税売上が5000万円を超えるケースというのはほとんどないですよね?

2店舗、3店舗とやっていくと課税売上で5000万円を超えることはあり得ます。その場合には、一法人で本則課税でやっていくのがいいのか、あるいは、法人をいくつかに分けて簡易課税で計算していった方がいいのか、どちらが有利になるのかを計算する必要があります。まあ、ここまで売り上げが上がってしまっているのであれば、治療院の先生ご自身で計算するのではなく、税理士などの専門家に計算してもらったほうがいいと思います。

 

ちなみに、この課税売上が5000万円を超えた場合ですが、5000万を超えたら即、本則課税になるわけではありません。課税売上が5000万円を超えた翌々年から本則課税になります。この辺は前回、ご説明した消費税の判定の仕組みと考え方は同じです。この5000万円のルールは、簡易課税を選択していても、強制的に本則課税になりますので、注意が必要な点です。

 

さて、今日はもう少し数字を使ったお話をしていきましょう。

先ほどの本則課税の例というのは、わかりやすく説明するために書きましたが、実際には治療院の売上は、保険診療などの非課税売上と自費などの課税売上が混在しています。この場合には、実は計算が少し複雑になります。

できるだけ単純化した例で説明します。

 

<売上>

自費売上 1万円(消費税800円)

保険診療売上 1万円(消費税0円)

<仕入税額控除>

支払った消費税 8000円(消費税320円)

 

この場合、この支払った消費税が自費売上に対応するものなのか、保険診療に対応するものなのか、不明だったとします。(ほとんどが不明なものだと思います)

その場合、この320円は全額仕入税額控除できません。売り上げの割合で、自費に対応する割合しか控除できません。つまり、

 

320円×1万円(自費売上)/1万円(自費売上)+1万円(保険診療)=160円

 

という形で、売り上げ全体のうち、自費売上部分しか控除できません。

結果、治療院が納める消費税は800円-160円=640円 となります。

 

一方で、この支払った消費税が自費売上に対応する消費税というのが明らかにわかっていれば、全額控除できます。たとえば、支払った消費税は自費売上の鍼の仕入だったとします。そうすると、保険診療ではなく、自費売上に対応するものというのが明らかです。この場合には、全額、仕入れ税額控除できます。結果、治療院が納める消費税は

 

800円-320円=480円

 

となります。

 

この辺の話は税理士や会計事務所にお勤めの方にはいたって当たり前の話です。しかし、治療院の先生には縁遠い話なので、図を描いてみたりして説明はしますが、いつも説明に苦慮する部分です。できるだけわかりやすくは書いたつもりですので、上記のような基本的な部分だけは理解していただけるといいかなと思います。

 

次回は、この続きで、治療院の消費税で、簡易課税の計算について少し突っ込んだ部分も含めて話を進めていきたいと思います。


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